
漆黒の闇…。 果てしなく広がる空。 その空を綺麗に彩る光り輝く儚い星々。 辺りは静寂と波の音が支配し人の心に安らぎ 或いは悲しみをもたらすだろう…。 浜辺には二人の子供が寝そべっていた。 少年は心から人々の存在を願った。 しかし少年の側に存在したのは栗色の髪の少女だけだった…。 少年は恐怖と悲しみ…様々な悲しい感情心を染めていく。 …そして少年は… 人々はこの星に二人の少年少女を残したまま 遠い世界へと旅立ったのだろうか? この物語は二人が辿る辛さと安らぎを記されているだろう…
THE END OF EVANGELION 絶望から始まるこの世界。 そんな終わりの世界で見つけた 想い 第3話 ―make peace―
白い砂浜。赤い海は静かにザァァァザァァァと波立たせていた。 遠くでは様々な蝉の鳴き声が聞く者を何処か懐かしい感覚に陥らせる。 だがそんな波の音、蝉の声が響く中、 一人の少女が何かに怯え頭をかき乱していた。 「ねぇっ!誰か私の存在を確かめてよっ!!」 辺りは頭がおかしくなるくらい穏やかだった。 自分はこんな誰も居ない世界で本当に生きているのか? 浜辺に背を預け、両腕で自分の両目を覆いアスカは涙が流れるのを 一心にこらえる。 暫くすると少し離れた場所から足音が聞こえてきた。 それは自分に近づいて来て止まるのだった。 「アスカ……」 アスカは人の声に自身の存在を確認する。 そして顔を覆っていた両腕を静に動かし声を出した者に視線を送る。 「ぁ…どうしてあんた…此処に戻ったの?」 怯えた感じの眼で見つめられたシンジ…。 「……アスカ、僕と居るのはイヤだと思うけど…少し… 本当の少しだけ話を聞いてほしくて此処に戻ってきたんだ…」 「……いいよ。…私もあんたに言いたい事があったからね」 「…隣…座ってもいい?」 シンジは視線だけで自分が座る場所をアスカに教え、答えを待つ。 「…うん…」 重い雲に覆われ二人へ降り注いでいた太陽の光は消えて 今はもう暗い色に染められていた。。 二人は疲れきった身体をいたわる様に暫く何も話さず ただ地平線の上空で電光を放っている雲を見つめていた。 「雷か…雷と言えばミサトさんの昇進祝いを思い出すよ」 「…偶然ね?私も思ってた…」 シンジは昨日のアスカの態度と今のアスカの態度に少し驚いていた。 昨日はあんなに自分に怒鳴りつけ、グーで殴ってきたにも関わらず、 今のアスカは疲れきってはいるが何処かおとなしい… 否、疲れているからおとなしいのだろうか? 「今更ながら僕は気がついたよ。…人と集まってささやかな宴会をする… それはとても面白い事だったんだね…。 でもあの頃の僕は人と接するのがイヤで…ずっと何も話さなかった」 「…私は面白かった…だって親友が…ヒカリが来てくれたんだもん。 ヒカリは委員長としての義務としてでは無く…私を親友として接してくれた」 アスカは心で思う。あんたはそれ以上に私と接してくれた…。と。 そんな心の呟きも届かずシンジは言葉を発した。 「僕は今まで人の顔色ばかり伺って… そして皆が言う事にしたがって流されてきた」 「そうね…その結果あんたは使徒にエヴァごと取り込まれた」 「うん…あの時は調子に乗っていたよ。相手の強さも解からず…」 あの時まさか自分の挑発にシンジが乗ってくるとは思わなかった アスカは後悔する…。 そしてシンジがこんな事を言いに戻ってきたのでは無いと解かっていた。 「…あんた、こんな事を言いに戻ってきたんじゃないでしょ?」 「…うん…僕が戻ってきたのはアスカに一言言いたい事があって」 「あっそう……私も言いたい事があるのよね。……で、何?」 シンジは少し深呼吸をすると話し出した。 「僕はカヲル君を殺し…頭がおかしくなったんだ…。 でもそんなの罪から逃れようとする都合の良い言い訳にしかならない… 僕は…アスカに酷い事をしてしまった…勿論それは許されない事…。 でも…僕は最後にアスカへ言いたかったんだ…本当の気持ちで… 心から…アスカ今までゴメン…どんなに謝っても、 アスカの心の傷は治らないけど…僕はもうこれしか出来ないんだ。 ……アスカが望むなら今此処で死んだって」 パン!! 突然自分の左頬をアスカに叩かれシンジは涙ぐみながらアスカを見つめた。 「…あはは、そうだよね?…僕はアスカを汚した…!見殺しにした…! …殺そうとも…!そんな奴がこんな謝り方しても… 駄目にきまってる……でも僕は言いたいこと言ったからもう思い残す事は… 無い…生きていてもアスカの邪魔だから僕…死ん」パチィン! 今度は右頬を叩かれるシンジ…。 そしてもう一度アスカを見つめる…。 「…あんたねぇ…!」 アスカは悲しい表情をして少し身体全体を震わせていた。 「私が望んでいるのは皆が戻ってくる事っ! …あんたの死なんか望んでないわよっ! ………どうしてあんたはそうなるのよ…。 結局死んでこの地獄の様な世界から逃げようとしてるだけじゃないっ! ………死ぬなんて…そんな悲しい事言わないでよ… 本当は自分だって死にたく無いって思ってるくせに…」 シンジが話した言葉にアスカは幼い時の記憶を思い出した…。 病院で人形を自分だと思っていた母親がその人形の首を握り締める… そんな記憶がアスカを襲う…。 「……僕はもう一人は…イヤだ…」 アスカの言葉にシンジは苦しそうに呟いた…。 「………あんたが言いたい事…解かったわ…。 …今度は私の話を聞いてくれる?」 シンジは俯きながらコクッと頷いた。 アスカはそんなシンジの無気力そうな態度に少しやりすぎたかな? と思いつつユックリとシンジにはっきりと聞こえる声で話し出した。 「…私はね…何故だか解からないけどあんたが過去に見たもの考えたものが 手に取る様に……思い出せるの…それであれよ、 あんたがあの時私の病室に来た時にしてしまった事…あれは あんたが本心でやったんじゃないってぇのも私は知ってる… それなのにあんたに私は怒鳴り、強姦魔て言った事… 思い切り殴りつけた事……悪かったわ。…ほんとにごめんね」 シンジは俯きながらも何処かおしとやかなアスカに驚きながらもポツリ呟く。 「アスカが僕にした事は当たり前の事だと思う…。 …そんな自分を汚した奴に何もしなかったら おかしいよ………アスカがやった事は正しい。 …でも今のアスカは間違ってる…どうして僕なんかに謝るのさ?」 言葉の最後でシンジはアスカを見つめる。 その眼はアスカと同じように疲れきった眼だった。 「…私は自分がした事に罪悪感を感じたからこうして謝ったのよ? あんたも私にやったことで罪悪感を感じてるんでしょ?」 「うん…でもそれは謝っても許される事じゃない…一人はイヤだ… でも他人と居ると僕はその他人を傷つける事しか出来ない…だったら」 「だからもう言わないでよっ!どうしてあんたは悲しいことばかり 言うのよぉ!……あんたねぇ…私達は仲間よ… そして血の繋がりはないけど大切な家族なのよ? …また初めて出会った時みたいに一緒に笑おうよ…ぐすっ… 一緒にご飯を食べようよ………一緒にぃ…ひっく… 苦しみを乗り越えてよぉ…」 今まで泣くのをこらえていたアスカだったが少しずつ涙が溢れてきた。 アスカは悲しみに打ち震え俯いてしまう。 二人に吹き付ける少し強めの風… アスカの髪が悲しそうに揺れる… 大粒の涙を流しながら泣くアスカを見つめシンジはまた傷つけてしまった…。 そして自分が死ぬなんて言った事は間違っている、 とアスカの涙を見てそう思う。 シンジも目尻に暖かいものがこみ上げながら呟く。 「…僕…僕だって…出来る事ならあの頃に戻りたいよ。 …ぐすっ、もう一人でご飯を食べるのもイヤだ…!…ヒック… 一人で苦しむのも…そんなの絶対イヤだ! ……僕もあの頃の様に笑いたい……」 シンジの言葉を聞きアスカは顔をシンジに向け 「だったら…仲直りしよ。……私だって少しずつあの頃に戻りたいのよ… 素直な気持ちで…」 「……ぅぅう…ぐすっ……アスカは…こんなぁ…僕を…許してくれるの…?」 「…うん、私は今までどおりあんたと接していきたい…あの頃以上に…」 涙まじりで微笑むアスカを見つめてシンジは嬉しさの所為で身体全体の 力が抜けていく様な錯覚に襲われた。 「だからさ、仲直りの為の握手するのよっ」 アスカは何処か頬を赤くしてシンジに包帯が巻かれた右手を差し出してきた。 シンジはアスカの差し出してきた手を見つめてそしてアスカの赤くなった頬を見てしまい 自分も頬が赤くなったのを感じた。 「アスカ…今まで本当にゴメン。…それからありがとう… これからも僕はアスカを傷つけるかもしれない…… でも僕はそれ以上にアスカと仲良くしていきたいんだ。……… 本当にありがとう」 お互いの手を握り合ってか、二人はより頬を真っ赤にする。 そんな真っ赤になった一人のアスカはシンジの手を弱々しく包み込みながら 「…昨日はほんとゴメンね。……それにさっきも殴っちゃったわね… 大丈夫?」 アスカはシンジの顔を見つめる… 「な、何赤くなってるのよっ!こっちも恥ずかしくなるじゃないっ!」 と、アスカはシンジの顔全部が赤くなっているから自分もさらに 顔を真っ赤にしてシンジの眼を見つめる。 シンジは手を繋ぎながらも立ち上がり 「…だ、だって何かアスカらしくないんだもん…」 そんな事を言われたアスカは沸騰しているヤカンの様な甲高い声をあげ シンジに飛び掛る 「な!何ですてぇぇ?!このバカっ!」 アスカはシンジと繋いでいた手を離し、両手で地面を押して勢いよく 立ち上がる。 シンジは襲われそうになりアスカから素早く二歩下がった。が、 勢いをつけたアスカは一度は立ち上がれたものの、 自分は立てない事を思い出した。 「わっ!あっ!ちょっ!受け止めてっ!!」 「えぇ?!」 転びそうになるアスカの肩を素早く掴み受け止めるシンジ。 「あ、危なかったね?」 「そうだった…私、立てないんだ…」 「大丈夫?」 アスカは恨めしそうに海に立ち尽くしているエヴァシリーズを見上げながら 恨みを込め呟いた。 「…くっ…戦いで大怪我しちゃったからね。 ………シンジ?すまないけど私立てないの」 シンジはアスカが何を言いたいのか解かった。 そしてアスカが自分の名前を呼んでくれたのだ… 「アスカ…」 「はぁ?どうしたの?」 突然神妙な顔つきで話し掛けられたアスカはシンジを見つめる。 「ありがとう…その、僕の名前を呼んでくれて…」 「…ぁ…うん、そ、そんなに嬉しい?」 恥ずかしそうに頷くシンジ、アスカも普通にシンジの名前を言えたので 何処か嬉しそうだ…。 そしてシンジはアスカに自分の両肩に手を置かせ、 静にしゃがみこむと 「…はい、アスカ…おんぶするから乗って」 「すまないわね。これから先シンジに頼り切るかもしれないから…よろしくね」 アスカの両足を持ち上げながらシンジは後ろに振り返り 「…僕こそよろしく。………あ、…やっぱり降ってきた」 後ろに振り返ったシンジは真っ黒な空を見上げた。 アスカも釣られる様に空を見上げる…。 「…こりゃドシャ降りになるかもしれないわね…」 雨音と共にゴロゴロと雷の音が二人の耳に聞こえた…その時。 ガラガラガッシャァァァァ!! 「ぅわっ!?」 「いっ?!」 突然大きな音の雷が二人の耳に大音響を響かせ シンジとアスカは情けない驚き方をしてしまった。 そんな二人は互いを見詰め合って 「「ぷっ…くくく…あははははは………」」 「はははは…はぁ〜疲れた…。シンジ…出発しない?」 「そうだね。……とりあえず雨が降っているから何処か入ろうか」 シンジは歩き出した。 背中にアスカをおぶさり…。 運命は二人の言い争いを終わらせ、新たな始まりを与えるのだった…。 二人は何も無い破滅の世界でどうやって生きていくのだろうか? 最後にシンジはミサトのお墓の前に立った。 「ミサトさん…このお守りお借りしていきます…。 どうか僕たちを守ってください」 アスカはボロボロに腐った十字架の木を見つめ 「ミサト……加持さんと仲良くやってるのよ…」 アスカは微笑みながら十字架に話し掛けた。 暫くお墓を見つめていた二人だが、シンジは雨がこれ以上激しさをますと 厄介だと思い、アスカに振動があまり伝わらない様な歩き方で歩を進めていった。 「…ミサトさん、また来ます」 「またね、ミサト」 つづく 容赦なく降りしきる雨の中、二人はようやく疲れた 身体を癒せそうな古びた旅館を発見…。 ただならぬ恐怖を感じつつもシンジは玄関を潜る…。 そして二人が見たものとは…。 次回 ―暗い旅館― KENとEVAキャラの座談会!! KEN:うぅ・・・・・・やっと、二人が仲直り・・・ ヒカリ:・・・・・・・・・・・・(TT) KEN:どうしたヒカリ嬢?まさか、自分が出られないのが悲しいのか? ヒカリ:それもあるけど・・・・・・いい話ね・・・・・・ KEN:そうだな・・・・・・素晴らしい作品を投稿してくれたNOBさんへの感想はこちら!