
心のままに
byおきだ
巨大豪華客船で、挙式を終えた新郎が、甲板の手すりにもたれかかって
漆黒の海を見つめている。
否。
その目は何を映すわけでもなく、何か物思いにふけっている様に見える。
横を通り過ぎる親族はたいてい、そばにいるときは一応挨拶をするが、
ある程度の距離があくと、ひそひそと小声でなにやら話している。
「あの薄汚い男のどこがいいのかしら。お嬢様もだまされたんじゃないの?」
親族は小声で話したつもりだろうが、風上にいたため新郎にも聞こえていた。
「シンジ」
後ろで誰かが呼んだような気がしたので、振り返ると
新婦が立っていた。
「どうしたの?・・・もしかしてアタシと結婚したこと後悔してる?」
新婦―――アスカは、さびしげな目でシンジを見る。
「いや・・・そういうわけじゃないんだけど・・・」
「じゃぁ?」
シンジが後悔していないとわかったので、今度は甘えた声を出す。
「うん・・・さっきもだったんだけどね。親戚の人たちが僕を歓迎してないみたいなんだ。
僕みたいな孤児が親戚になるのを嫌ってるみたいで・・・」
シンジの瞳が悲しみの色をいっそう増す。
だが、次の瞬間、それは消えた。
「あんたバカァ?そんなん無視すればいいじゃない。どうせこんなときにしか顔出さない連中なんだから。」
「え・・・でも・・・」
「デモもストライキもないわよ。あんたはアタシと一緒になって不服なわけ?」
「そんなわけないだろ!」
「ならいいじゃない。ほかの人は関係ないわ。アタシ達のことだもの。」
このとき、シンジは思った。アスカと出会えて本当によかったと。
「・・・うん。そうだね。」
シンジはそういうとアスカの肩を抱き寄せた。
「こっ・・・今夜はちょっと照れるわよね・・・」
アスカは顔を真っ赤にして下を向いて言った。
シンジは何がという感じの顔で聞き返した。
「・・・え?何で?」
「・・・・バカ・・・」
シンジは、少し考えたが、ふと新婚初夜という四文字熟語を思いだした。
その瞬間、シンジも顔を赤くして言った。
「じゃぁ・・・今夜は寝させないよ?」
「うん・・・」
アスカの声が小さくなっている。相当恥ずかしいのだろう。
二人は顔が赤いまま、客室へと帰っていった。
・・・えっと、おきだです。
今回は設定を説明しないといけませんね。
シンジは天涯孤独の孤児で、アスカは巨大コンツェルンの令嬢という設定です。
KENさん、こんな変なもの送りつけてすみません(汗