
明日香風
By KEN
風・・・
それは、僕にいろんな事を思い浮かばさせる・・・
嫌なこと・・・楽しいこと・・・みんなと話した事・・・
いろんな事を思い出す・・・
それに、彼女の事も・・・
今僕は、人里離れた場所にいる・・・
自然環境をテーマにした大学に入学して、いろんな事を学んだ・・・
自分達、人間がどのくらい環境を地球を傷つけているかが・・・
それに、どうすれば、環境・・・地球に優しい暮らしが出来るかなど・・・
案外簡単に見えて、一番難しい課題をテーマにして、卒業論文を書くことにした・・・
そして・・・僕は、一番目を置いているのは・・・
風である・・・
風は植物の種を遠くの場所まで運ぶ役割がある・・・
それに、人間にとっても大事だ・・・
自然環境に限らず、暮らしにとっても大事である・・・
それに・・・何か自分の心を満たしてくれる・・・
論文のテーマには関係ないけど・・・
何か風は特別な力を感じる・・・
そう・・・
風は香いだけじゃなくて、想いを運んでくれる・・・
風は不思議だ・・・
風は自分の知りたい事を教えてくれる・・・
今、自分の知りたい事・・・
それは・・・
あのバカが何処で何やっているのか・・・
アタシと同じ大学に入るや否や、いきなり、違う授業をとり、アタシとは、まったく別の事を勉強しだしていた・・・
アタシも、彼と同じ授業をとろうとした・・・だけど、彼に止められた・・・
別に、自分のやりたくない授業なんてとらなくていいって・・・
アタシは、何も言えず、彼の言葉に従い・・・
自分受けたい授業を受けた・・・
アイツもかなり、やるようだ・・・
今では、主席である・・・
やはり、彼は頑張ればなんでも出来る・・・
「早く帰ってこなさいよバカシンジ!」
アタシは、なんとなく感じるシンジの方向に向かって・・・
小さく呟いた・・・
別に聞こえるわけじゃないけど・・・
風が想いを運んでくれる・・・
ちょうど、いいタイミングに・・・
ヒュッと風が吹いて、アタシの言葉を運んで行った・・・
ヒュッと小さな風が僕の耳に届いた・・・
だけど、この風は何か、アスカの声がした・・・
昔、古典とか調べたら明日香風ってのがあったけ・・・
飛鳥地方に吹く風だから明日香風・・・
でも、僕には・・・何処にいたって、明日香風は現れる・・・
アスカが僕を呼んでくれるだけで、その風は起こる・・・
アスカ風が・・・
「アスカ・・・」
僕は、風の吹いてきた方向を見る・・・
やっぱり・・・奇麗な青空があった・・・
彼女を思い浮かべるに等しいほどの青空が・・・
「そろそろ帰ろうかな・・・」
僕は、家に戻ろうと思った・・・
前に家に戻ったのはいつだっただろう・・・
今は冬休みだし・・・いつもは、そのまま大学の寮に無断で泊まっちゃうし・・・
一応、一ヶ月に一日は家に戻っていたけど・・・
最近はホントに、一ヶ月一度しか帰ってなかった気がする・・・
やっぱり・・・僕も男だと想う・・・
加持さんが言っていた・・・
男には夢中になる夢があった方がいいって・・・
「でも・・・さすがにやりすぎかな?」
家に帰ると少し怒ったような、そして悲しそうな表情したアスカがいるだろう・・・
これは、ただの想像ではなく・・・風が伝えてくれた・・・
「それに、論文も終わったしね・・・」
今日で、もう論文は完成した・・・
一応、暫くは、家にいるだろう・・・
少しはアスカを安心させれるかな・・・
僕は、この土地を離れた・・・
アスカに逢うために・・・
「はぁ〜・・・つまんない・・・」
アタシの今いる場所は自分の家から近くの公園・・・
いつも、暇になるとここに来る・・・
退屈な時はいつもここで、つまらないと愚痴っている・・・
公園自体に人間のような感情があるのなら、さぞかし迷惑がっているだろう・・・
「あらぁ、アスカじゃない」
後ろから声をかけられた・・・
振り向くとそこにはミサトがいた・・・
「ミサトか・・・」
「何よ、ところでシンちゃんは帰ってきた?」
「うぅん・・・」
「また、あのぶぁかがうつったのか・・・」
「そうかも・・・」
ミサトが言うバカな奴・・・
それは、加持さん・・・
加持さんもミサトを置いてどっかに行っちゃう・・・
結構、男って勝手ね・・・
「で、アスカはシンちゃんに言ったの?寂しいって?」
「!?そ、そんな事言うはずないじゃない」
「そう?アンタもいい歳なんだから、早めにアレをしてって言ったら?」
「アレって?」
「そりゃ、アンタが女になる事よ」
「!!な、何言い出すのよ!?」
アタシは顔が真っ赤になった気がする・・・
確かにシンジはキス以降から何もしない・・・
もっと、自分を求めて欲しいと思ったことも少なくはない・・・
でも・・・
「やっぱり男は好きな女の子を完全にモノにしたいんじゃない?」
「そうかもしれないけど・・・」
「ま、良く考えることね・・・」
ミサトはそう言うと、そのまま何処かに行ってしまった・・・
「ふぅ・・・遠いなぁ・・・第三新東京都市は・・・」
今も僕は車を運転して・・・自分の愛しい人の場所へと向かって行った・・・
僕とて、自分の大切な人をほおってはいない・・・
だけど、今の状態で満足だから・・・
これ以上深い関係に進むとお互いバラバラになってしまうと感じた・・・
「でもなぁ・・・加持さんの言ったことも確かだけど・・・」
さっき、自分のPCを見た時、加持さんからメールが来た・・・
メールを開けてみると、大学の事はどうだ・・・とか書いてあった・・・
でも、最後に・・・ミサトさん経由の話で、アスカが寂しがっていると書いてあった・・・
アスカを悲しませるな・・・と最後に書いてあった・・・
「やっぱり・・・アレをした方が・・・」
僕は意を決して・・・アスカの元へと向かった・・・
「さて・・・そろそろ帰りますか・・・」
日も傾いてきたことだし・・・
そろそろ帰るか・・・
また一人・・・
やっぱり・・・一人って寂しいのね・・・
アタシってバカ・・・
こんな辛い想いをするなら・・・シンジなんか好きにならなければよかった・・・
ガチャ・・・
「ただいま・・・」
ゆっくりと家のドアを開ける・・・
アタシとシンジの家・・・
高校を卒業したと同時にミサトの家から脱出し、ここに住みはじめた・・・
それに、ずっと一緒にいたかった・・・
なりふりを構わず・・・ずっと・・・ずっと一緒に・・・
「でも・・・居ないのよね・・・アイツは・・・」
少し肩を震わせる・・・
寒さからじゃない・・・
胸の痛みから肩が震えてくる・・・
「寂しいのよ・・・シンジ・・・早く帰ってきて・・・」
アタシは涙を一筋流した・・・
「ゴメンね・・・」
アタシははっと後ろを振り向いた・・・
アタシの後ろには、笑顔のシンジがいた・・・
「ゴメン・・・一人にしちゃって・・・」
シンジはアタシを抱きしめる・・・
久しぶりの温もり・・・
懐かしく・・・アタシが一番落ち着ける場所・・・
「ホント・・・よ・・・寂し・・・かったんだから・・・」
涙が溢れてくる・・・
「ゴメン・・・」
ギュッと抱きしめてくれる・・・
お互いの鼓動が聞こえてくる・・・
安心出来る音・・・
「もう・・・離れたりはしない・・・しないよ」
シンジがそう言った・・・
あんまり・・・信じれない・・・
シンジが嘘を言うわけはない・・・
だけど・・・不安だ・・・
「アスカ・・・」
シンジがアタシの名前を呼ぶ・・・
呼んで・・・アタシが満足するまで呼んでほしい・・・
だけどそれよりも・・・満足したい事がある・・・
もっと触れ合っていたい・・・
「ん・・・」
お互いの唇を重ね合わせる・・・
静かに・・・お互いが求め合う・・・
温かい・・・お互いの気持ちが通じ合う・・・
「・・・ふぁ・・・」
お互いどちらともなく、唇を離し・・・
一息をついた・・・
だが、抱きしめ合っていることはやめない・・・
「ね・・・シンジ・・・」
アタシはミサトに言われた事を思い出した・・・
アレの事・・・
「していいよ・・・」
アタシは顔を真っ赤にしてシンジの胸に顔を埋めた・・・
「シンジ?」
いくら待ってもシンジは行動を起こさなかった・・・
「アタシ・・・魅力ない?・・・それとも、もうどうでも良くなったの?」
少し不安になってくる・・・
「ねぇ・・・アスカ・・・確かに僕たちがそ、その・・・キスから以降の事をしてもいいかもしれないよ・・・もう、大人だしね・・・」
「なら・・・」
「でもね・・・やっぱり・・・そういう事は・・・結婚してからね・・・」
シンジは微笑みかけながらアタシに言う・・・
結婚?
誰が?
「ちょっと、アスカ・・・外に行かない?」
シンジはアタシの手を取り、外に出て行った・・・
僕とアスカが出掛けた場所・・・
それは、公園・・・
僕はアスカに・・・
ある大事な事を言う・・・
「ん・・・着いたね・・・」
「うん・・・話って何?」
「うん・・・あのさぁ・・・・・・」
そう言わなくちゃ・・・
絶対に言って・・・
「大学・・・卒業したら・・・結婚しよ・・・」
「・・・・・・え・・・?」
いきなり・・・ポカンとアスカは口を開けた・・・
一体全体何か分かっていないようだ・・・
まぁ、たしかにそうか・・・
「やっぱりさ・・・僕だって・・・アスカの事を一人占めしたいんだ・・・だから」
「・・・・・・アタシでいいの?」
「うん・・・僕は君を完全に自分のモノにしたい・・・それに・・・一緒に生きていきたい・・・」
「・・・・・・」
アスカは涙を流しながら、僕の胸に飛び込んできた・・・
「うん・・・アタシも一緒に居たい・・・」
涙声・・・僕に言う・・・
「うん・・・ありがとう・・・」
抱きしめる力を強くする・・・
そして、もう一度、お互いの唇を重ね合わせる・・・
風が吹く・・・
僕とアスカの髪をなびかせる・・・
冬なのに・・・寒いはずなのに・・・
その風は冷たくもなく・・・温かかった・・・
お互いの気持ちを乗せた風が・・・
お互いの気持ちを伝え合ったんだ・・・
「帰ろうか?」
キスを終え・・・
だけど、アタシとシンジはまだ抱きしめ合っていた・・・
その時、シンジが言った・・・
「うん・・・帰ろう・・・」
お互い・・・手を握り締めて・・・
ウチに戻って行く・・・
そこで、アタシはふと思った・・・
「あのさぁ・・・今の事って・・・アタシと婚約・・・でいいのよね?」
「え?・・・う、うん・・・そうだよ。ゴメンね急に・・・まだ指輪も決まってなくてさ・・・明日・・・一緒に行かない?買いに・・・」
「ええ・・・」
お互い・・・顔を赤くして・・・
でも、お互い笑顔で・・・
冬の寒さなんてなんのその・・・
アタシ達に吹く風だって・・・
温かく感じる・・・
風は・・・
やっぱり・・・
人に、不思議な力を与え続けてくれる・・・
そう・・・
今もシンジと一緒にいるように・・・
もし、アタシ達が離れ離れになっても・・・
アタシは、風の力を借りてこの想いを届ける・・・
アタシの風・・・明日香風で・・・
FIN
後書き
うわ・・・なんか・・・
冬っぽくねぇ・・・
でも、案外気に入りました・・・
風ってホントに・・・凄いです・・・
独り身のときとかはかなり風当たりが強い気がします(爆
でも、な〜んか・・・好きな人がいると、風が緩やかに感じます・・・
やっぱり・・・人の気持ちに風は反応しているのでしょうか?
みなさんのご意見・・・よろしくお願いします・・・(涙
最近、なんの感想、意見もないので、少し寂しい想いをしてます・・・
KEN