人を想う優しさ

 

BY KEN


 

 

「僕は・・・優しくしてくれる人がいれば・・・なんでもいいのかもしれない・・・」

 

 

僕は一人呟いた・・・

僕の背中には、一人の少女が負ぶさって眠っていた・・・

 

 

「・・・そんな、今の言葉を聞かれたら・・・怒られちゃうね・・・」

 

 

僕は失言だったと気づいた・・・

 

 

でも・・・

 

 

僕は、さっきの言葉は嘘ではないのかもしれない・・・

 

 

人から優しくされれば、気持ちがいい・・・

だって、自分を見ていてくれるのだから・・・

 

 

馬鹿にされたって、その言葉が僕を支えてくれる・・・

優しさが僕を支えてくれる・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アンタバカ〜?今日のお弁当は、肉料理がいいって言ったでしょ!」

 

 

そんな事言われてもな・・・

昨日の残りなんだから・・・

それに、朝時間がないんだから、それで我慢してほしい・・・

 

 

「それに、今日のお弁当・・・昨日の残りじゃない!残りモノはアンタだけでいいのよ!」

 

 

また、この言葉か・・・

それなら、勝手に作ってくれればいい・・・

君から、優しい言葉を望もうとなんて、思っていないから・・・

 

 

でも・・・

なんで、君から遠ざかれないんだろう?

 

 

「ホント、アンタの親はどういう風に育てていたのかしらね?」

 

 

僕を哀れみを持つ目で訴えてくる・・・

僕は、一瞬頭に血が上った・・・

 

 

別に僕の事はどうでもいい・・・

僕の父さん、そして、母さんの事はとやかく言わないでほしい

まるで、僕の両親が駄目だと思えてしまうから・・・

 

 

「そうだね・・・。なら、明日から勝手に作ってよ」

 

 

僕は少し、怒りの力を借りて、言ってみた・・・

 

 

「なんですって!このアスカ様の命令が聞けないの?」

 

 

五月蝿いなぁ・・・

僕は静かに過ごしたい・・・

 

 

騒ぐと目立つ・・・

 

 

僕は目立つのが嫌いなんだから・・・

 

 

「じゃ、さよなら」

「ちょっと!何処に行く気よ!さよならって、アンタ、アタシの家の同居人でしょ!?」

 

 

そう・・・

 

 

僕は、アスカの家に住み込ませてもらっている・・・

去年母さんが、ホームステイをしろと言ってきた・・・

自分の研究が忙しくて、僕を一人にするのが辛いとか・・・

 

 

別にいいのに・・・

 

 

一人には慣れている・・・

別に寂しいとも思わない・・・

 

 

ただ、優しい人が隣にいると、心が温かくなる・・・

ただ、それだけだ・・・

 

 

「いいよ・・・別に。僕は、何処に行ったって構わない人間だしね・・・」

 

 

僕は教室を後にした・・・

世話になっている分際だ・・・

そんな事を言えば、二度とあの家には戻れまい・・・

 

 

別にいいさ・・・

 

 

昔も今も、これからもいつまでも一人なのだから・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、なによ!」

 

 

アタシは少し、血の気がひいていくような感じがした・・・

顔は少し青いであろう・・・

 

 

体温が低くなって行くような気がしている・・・

 

 

「居候しいている分際で!アンナ勝手な事言って!」

 

 

でも、アタシでも無茶を言わせている気がする・・・

 

 

家の家事は全部アイツに任せている・・・

そりゃ、嫌になるかもしれない・・・

 

 

今まで、ちゃんと何も言わずにやってきたんだから・・・

だから、大丈夫だと思った・・・

 

 

現実は違った・・・

結局、アタシの周りの人間はどんどん去って行く・・・

 

 

「アスカ!早く碇君を追いかけなさいよ!」

 

 

だけど、一人だけ、アタシの元を去らない子がいた・・・

親友のヒカリ・・・

アタシの勝手な行動にちゃんと注意をしてくれる子・・・

 

 

「・・・駄目よ・・・。今まで勝手な事を言ってたんだから・・・。追いかけても説得出来ないわ・・・」

 

 

アタシは、そのまま席についた・・・

結構・・・

良い奴だったのに・・・

 

 

「最低・・・」

 

 

アタシに聞こえる程度の小声がアタシの耳に聞こえた・・・

最低なのかもしれない・・・

 

 

だけど・・・アイツをアタシは

 

 

異性の中では、何か違う存在で見ていた・・・

 

 

特別?

 

 

初めて、人がつくった料理を食べた・・・

 

 

ママは、いつも研究でいなかった・・・

だから、自分で生きた・・・

 

 

アイツも同じみたいだった・・・

 

 

だから、共感できたのかもしれない・・・

 

 

そして、アイツの料理も食べた・・・

初めて、思いやりの篭った料理を食べた・・・

 

 

その感動を忘れきれず・・・我が侭を何度も言ってしまった・・・

 

 

その結果がこれなのであろう・・・

 

 

甘えたかった・・・心で好きだと思っている相手に・・・

我が侭を言いたかった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま・・・」

 

 

アタシは学校から帰宅した・・・

自分の心の隅で、シンジは帰る所がないから、ここに戻ってくるハズであると思っていた・・・

 

 

でも・・・

 

 

現実では違った・・・

 

 

「もう・・・駄目かな?」

 

 

もう・・・帰ってくるような事はなさそうだった・・・

お金もないのに何処をほっつき歩いているのだろう?

 

 

意地でも帰りたくないのかもしれない・・・

 

 

それか、もっと、別の人の所にお世話になっているとか?

アタシより優しい誰かに・・・

 

 

 

 

 

今更・・・

 

 

遅いけど・・・

 

 

今なら、アイツに優しく出来ると思う・・・

 

 

アイツが好きなのだから・・・

 

 

「やっぱり・・・探しに行こう・・・」

 

 

アタシは急いで外に出た・・・

そして、この見慣れた街を走り出した・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ・・・」

 

 

僕は一人公園にたたずんでいた・・・

誰もいない・・・

 

 

「あれ?シンちゃん」

 

 

いたようだ・・・

 

 

「綾波か・・・」

「どったの?また、アスカと喧嘩?」

 

 

髪の毛の青い少女が人懐っこく聞いてくる

 

 

「もう駄目みたいだよ・・・。二人で暮らすのは限界。もとより、仲が良くないしね・・・」

「そうなんだ・・・」

「おかげで、帰るところがなくなっちゃった」

 

 

僕は、はははと空笑いで言う

 

 

「アスカはシンちゃんの事好きなんだよ?」

「そっかなぁ・・・。でも、お互い、優しい言葉も掛けられない仲だよ?」

「アスカが我が侭言うからでしょ?」

「うん」

「アスカの我が侭はシンちゃんに甘えたいからだよ」

 

 

そうなのかな・・・?

 

 

僕に甘えたい?

 

 

僕が他人を思いやれるの?

 

 

「ホントにそうだと・・・いいね・・・」

「う〜・・・ホントなんだけどな〜。ま、早く帰りなさいよ!じゃね」

「うん、バイバイ」

 

 

綾波は家に帰ってしまった・・・

僕は帰る・・・所がないのに・・・

 

 

早く帰れだなんて・・・

 

 

おかしいや・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ホント・・・アイツったら何処に行ったのよ!」

「どったの?アスカ、うちの前で?」

「え?あぁ・・・そっか、アンタの家ね・・・ここ」

「そよ。所で、何か探し物?」

「・・・そうよ」

「ふ〜ん。じゃあ、ヒント上げようかな?」

「何のよ?」

「探し物のありか・・・」

 

 

レイは何か訳を知っていそうな顔でにんまりと笑っていた・・・

コイツ・・・何か知っているわね・・・

でも、探し物・・・ホントに分かっているのかしら・・・?

 

 

「アスカの探し物ってシンちゃんでしょ?」

「!!??」

「ビンゴ〜!」

「ホント・・・に・・・公園にいるの?」

「さ、どかな〜?さっき、私の事信じてくんなかったし・・・」

「ホントにいるの!」

「・・・ええ。いるわよ」

「ありがと」

 

 

アタシはそう言うと、走って公園に向かった・・・

 

 

 

 

 

「ホント・・・手のかかる二人ね〜。早くシンちゃんがアスカに捕まってくれないと、カヲルが私を見てくんないじゃない」

 

 

レイが一人家の前で呟いていた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと!いつまでもこうしてはいられない!駅にでも行こう!」

 

 

僕は、ブランコに座っていたが、気分を明るくしようと

いきなり立ち上がった・・・

 

 

「駅にでも行って・・・何処かいろんなとこに行こう・・・」

 

 

切符代くらいは、ある・・・

だから、行かないと・・・

 

 

「さぁ・・・」

 

 

僕は公園を後にしようとすると、何か背後から気配を感じた・・・

 

 

この気配は人である・・・

 

 

僕は最初、何処かのホームレスかと思った・・・

この公園にちょくちょく出るらしい・・・

 

 

「ん?・・・あ、アスカ!?」

 

 

だが、後ろにいたのは、ホームレスでもなんでもなく、

アスカが僕の後ろにいた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シンジ・・・」

 

 

アタシは、少し悲しそうな声が出てしまった・・・

弱いアタシを見せてはいけないのに・・・

 

 

「何?」

 

 

シンジは、何か冷たい感じがする・・・

なんか、とても近寄りがたい・・・

 

 

「帰ってきなさいよ・・・」

「嫌だよ・・・。家に住ませてもらったのは、感謝しているけど・・・もう、耐えられないよ」

「アタシも家事をやるからさ・・・。もう少し優しくするから・・・」

「でも・・・いつかは、またこんな状態になると思うよ?繰り返すのは嫌だ」

 

 

そうかもしれない・・・

こんな、馬鹿な事を繰り返すかもしれない・・・

 

 

「ほら・・・」

 

 

アタシは手を引っ張る・・・

シンジの・・・

 

 

「やめてよ!」

 

 

だけど、シンジはアタシの手を振り払った・・・

 

 

「構わないで・・・ほしい」

 

 

シンジはそう言った・・・

でも、駄目・・・

構わないなんてできない・・・

 

 

アタシは・・・

 

 

さっき、答えが出たのだから・・・

 

 

「駄目よ・・・。アタシは、嫌でもアンタを家に引っ張って行くわ・・・」

「・・・・・・」

「ねぇ・・・シンジ・・・。アンタはアタシの事どう思っているの?」

「苦手なタイプ・・・。でも、離れれない不思議な子・・・」

「・・・じゃあ、アタシが好きって言えば、好きになってくれる?」

「・・・それは・・・」

「そんな虫の良い事はいけないか・・・」

「そうだね・・・。でも、嫌いじゃない・・・。好きって言う感じには近いよ・・・」

「結局、アンタは優しくされればいいんじゃないの?」

「そう・・・かもね・・・。でも、自分だって、優しく出来るのならしたいけどね・・・」

 

 

そうね・・・

今すぐに答えを出してもらっても困る・・・

 

 

だから・・・

 

 

今は、その言葉で十分・・・

 

 

「さ、帰るわよ」

「・・・うん」

「って、言うけど・・・。アタシ、足が痛いのよ・・・おぶってくれる?」

「・・・ええ?」

「何よ?アタシに優しくしてくれるんじゃないの・・・?」

「・・・分かったよ・・・」

 

 

 

アタシはシンジの背中におぶさった・・・

重くないかしら・・・?

 

 

「よいしょっと・・・」

「何よ?アタシが重そうに感じるんだけど・・・」

「さぁ・・・どうかな?人なんだから、それなりの重さはあるだろうしね」

「む〜・・・」

「いいよ・・・アスカはこのままで・・・まぁ、欲を出して言うと・・・もう少し暴力はふらないでほしいだけだから」

「・・・分かったわよ・・・」

 

 

シンジはアタシをおんぶして、家へと向かった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で・・・結局、こんな感じか・・・」

 

 

それほど、一生懸命に僕を探していたのだろうか?

僕が彼女をおんぶすると、彼女はすぐに眠ってしまった・・・

 

 

少しは・・・何か、彼女の優しさを感じられた・・・

捻くれているけど・・・彼女がとても優しく感じられた・・・

 

 

僕は・・・彼女の事が好きになってきているのかもしれない・・・

 

 

「もうちょっとしたら・・・答えを出すから・・・」

 

 

僕は、夜道でそんな事を呟きながら、アスカを起こさないように

優しく歩いて行った・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オマケ

 

 

「で、結局、二人はかわりなしと・・・」

 

ヒカリは頭を抱えながら言う・・・

 

 

「そでも・・・ないんじゃない?」

 

 

レイは、隣でそういう・・・

 

 

「そう?」

「ええ・・・あれ見たら?」

 

 

 

 

 

「ホント、今日は、魚料理がいいって言ったじゃない!」

「そんな事言ったって、アスカが無駄遣いするからだろ!明日からの食費がかかってたんだよ!それを、ゲーセン代に使って!」

「何よ!・・・まぁ、アンタのつくったのなら・・・いいけどね・・・」

「え?・・・う、うん・・・」

「いつも、ご苦労様!」

 

 

アスカは眩しいばかりの笑顔を向ける・・・

 

 

「ホント・・・あれで・・・まだ付き合ってないのよね〜・・・」

「ホント・・・目に毒・・・」

 

 

二人は溜め息をついた・・・

これから、二人はどれだけ溜め息をつく場面が増えるであろうか、

心の中で想像して・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オマケ2

 

 

「さ、帰るわよ」

「あ、うん」

「さ・・・」

 

 

アスカはそう言うと、シンジと腕を組む・・・

シンジは、あまり気にした風もなく自然に腕を組む・・・

 

 

本当に目の毒だ・・・

これで、カップルではないなんて・・・

 

 

とてもとても辛いであろう・・・

 

 

クラスの仲間は・・・

 

 

Fin

 

後書き

 

で・・・

結局、恋人同士には出来ませんでした・・・

でも、このままの方がいいのかも・・・?

 

 

あんまりいちゃつくと辛いですからね〜

 

 

KEN