You’ve got mail By KEN
『新着メールが一通届いています』 パソコンのメールソフトにそういう表示が出る・・・ 大体毎日チェックしているけど・・・ 送り主は分かっている・・・ そう・・・ 「今日も、メールありがと・・・アスカ・・・」 僕は、碇・シンジ・・・ 一応、なんとかと言っていいのか・・・ まともな大学を卒業して、結構いい会社に就いた・・・ そこで、僕の上司が僕の事を気に入って、今は結構忙しい日々・・・ 自分の時間は夜ぐらいしかない・・・ そんな時、僕はある人と知り合った・・・ それは・・・ アスカ・・・ 彼女も僕と同じく、夜にしか暇がないようだ・・・ 彼女も仕事が忙しいのだろう・・・ 彼女とは、最初、チャットで知り合った・・・ チャットでお互いのメルアドを教えあった・・・ だが、お互いの素性は知らない・・・ でも、そんな感じの関係もいいと思う・・・ お互いの事を知りすぎていてもあまり、楽しくない・・・ 知らない人と話す事は結構楽しい・・・ 結局知らない人間同士だから、気兼ねなく話せる・・・ 「さてと・・・読んで見ようかな・・・」 僕はそう言うと、メールを開く・・・ 彼女のメールは結構手が込んでいる・・・ 背景を花柄などにして、奇麗にしている・・・ 送られるたびにそんな感じだ・・・ だが、同じ花にはなった事はない・・・ 「ホント・・・手が込んでるよね・・・」 そう言いながらメールを読み進めていく・・・ メールの内容はこんな感じ・・・ 最近、涼しくなってきたとか・・・ 風邪には気をつけろ・・・ 仕事の方はどうなっているか? そんな感じの内容だった・・・ だが、一瞬目を疑ったモノがあった・・・ それは・・・ 一度、逢ってみないか?・・・と・・・ 僕は一瞬躊躇した・・・ 彼女の事は好きかもしれない・・・ だが、それは、コンピューターの世界の事である・・・ それに、相手の顔は分からない・・・ 自分の想像だけで、相手のイメージを決めているのだから・・・ 「う〜ん・・・どうしようかな・・・」 僕は悩む・・・ だって、逢ってもいいけど・・・ この自分の作り上げたイメージを壊したくない・・・ それに、自分に逢ったら相手の思っていたイメージも壊すのだろうし・・・ 結構、悩みがちだ・・・ 「まぁ・・・逢いたくないって言ったら嘘になるしね・・・」 僕はそう言うと、文字を打ち始めた・・・ 最近慣れた日本語入力・・・ 仕事では、英語ばかり・・・ うちの会社はアメリカの会社を相手にする事が多い・・・ それと、副業で喫茶店とか、モールとかを作ってたりする・・・ 「じゃあ、逢ってみようかな・・・」 僕は決めた・・・ 逢ってみよう・・・ イメージに違っていても、また、新しいイメージを持てると思うし・・・ 僕は、返信メールに、いつ逢えるかと書く・・・ 「まぁ、・・・こんな感じでいいのかな?」 僕はそう言うと、メールを送信した・・・ そして、パソコンの電源を切った・・・ そして、手元にあった、雑誌を読んで見る・・・ 「へぇ・・・あそこの会社も頑張るなぁ・・・」 僕の手元にあるのは、会社関連の雑誌・・・ 「惣流株式会社?・・・えっと・・・何々・・・喫茶から、モールを始め・・・ふ〜ん」 どうやら、ビルディングの設計を主とした会社なのだろう・・・ 「で、この子が最もその会社で頑張っているわけだ・・・」 僕は、関心のなさそうに言う・・・ 雑誌には、一人の女性が写っていた・・・ そう・・・ 惣流・アスカ・ラングレーと・・・ なんとなく・・・嫌な予感はする・・・ 「ん?そう言えば、まだ、今日のニュース見てなかったな・・・」 そう言うと、またパソコンの電源を入れた・・・ うちは、新聞をとっていない・・・ 読むのが面倒だし・・・ 多分、夜遅くからだと読む気にはなれないだろう・・・ だから、何事もパソコンからニュースを取り入れる・・・ 「あれ?もう、アスカからメールが来てる・・・何々・・・今週の日曜か・・・」 アスカのメールには、今週の日曜の昼に逢いましょうと書いてあった・・・ 「まぁ、断る理由もないし・・・いいよって書いておくか・・・」 僕は、返事のメールを書く・・・ 「今週の日曜か・・・案外楽しみな日になるかも・・・」 そして、ふと思い出した・・・ 「そう言えば、あの会社って、うちの会社が吸収しようとしている所だったような・・・」 僕の心の隅に何か小さなザワメキが起こったのもその時だった・・・ そして・・・日曜日・・・ 「さて・・・行こうかな・・・」 僕は、駅へと向かった・・・ アスカとは、駅で待ち合わせ・・・ 彼女とは、偶然にも同じ県に住んでいるようだ・・・ 「でも・・・惣流・アスカ・ラングレーと、アスカは違う人・・・だよね・・・」 駅に向かいながらそんな事を考えていた・・・ その考えはなんとなく、ヤバイ方向に答えが出そうな感じがするが・・・ 「えっと・・・ここら辺か・・・」 僕は駅の目の前にいる・・・ 駅の近くには噴水のある広場があるから、そこで待ち合わせ・・・ と、言う事になっている・・・ 「さてと・・・何処・・・だろう・・・」 僕は辺りを見回す・・・ 噴水の近くにいた人は・・・ 髪の毛が紅茶色の女性だった・・・ だが、何処かで見覚えがある・・・ 「こりゃあ、なんかヤバイ雰囲気だねぇ・・・」 そう・・・ 惣流・アスカ・ラングレーがいた・・・ 「で、まさかとは思うけど・・・あの子じゃないよね・・・」 だが、周りには誰もいない・・・ ここの広場は結構良い場所なのだが、あまり注目されない・・・ こんなのでいいのだろうか・・・ 仕方無しに、惣流・アスカ・ラングレーに話し掛ける事にした・・・ 「えっと・・・アスカさんですか?」 僕は、思い切って、話す・・・ 前の女性は一瞬、驚き目を丸くし、 「そうですけど・・・アナタがもしかして、シンジ?」 シンジ・・・そう、僕の名前でもあり、HNでもあるのだ・・・ 「はい、どうも初めまして」 僕は、平静を装いながら笑顔で挨拶をする・・・ 困り者だ・・・ 惣流・アスカ・ラングレーが・・・ アスカであったなんて・・・ そして、アスカにしては、僕の存在が悪い方だなんて・・・ 惣流の会社と、うちの会社は元々、合併しようとしていたのだが、 今では、うちの方が力が強く・・・吸収する事になったのだ・・・ だが、あの会社は、吸収がいやらしい・・・ それは、そうだろう・・・ 自分達の仕事を盗られてしまうも同然であるから・・・ 吸収されたら、今までのような仕事は出来ないだろう・・・ 「さ、喫茶でもいきましょ!」 アスカが微笑みながら言う・・・ やっぱり、来ない方がよかったかな・・・ 「うん・・・分かった・・・」 僕は、そのままアスカの後ろについていき、喫茶店へと向かった・・・ 喫茶店では、日常会話が行われていた・・・ モチロン、会社の吸収についてもである・・・ 「うちの会社がピントなのよね〜、実質的には失業者も出るみたいだし・・・」 アスカは頭を抱えながら言う・・・ 「うん・・・大変だね・・・」 「まぁね・・・ところで、シンジは?」 「僕?」 「そう・・・」 僕か・・・ どうしよう・・・ 素直に言うべきか? 言った方がいいのだろう・・・ 「僕の会社は、ある会社を吸収しようとしてるんだ・・・」 「へぇ・・・うちと逆の立場ねぇ・・・」 「うん。でも、良い事なのか分からないよ・・・」 「まぁね・・・良い方向に進のならいいけど・・・ねぇ・・・」 「うん」 「ところで、何処の会社なの?」 「・・・うん・・・惣流株式会社・・・」 「・・・アナタのとこだったのね?」 「まぁね・・・だから、もう僕には逢わない方がいいと思うよ・・・」 僕は立ち上がり、勘定を払い、店を出た・・・ 「ちょっと、待ちなさいよ!」 アスカも急いで追いかけてくる・・・ 「どういう事よ!勝手に出て行って!」 「だって・・・言わば君の敵なんだよ?」 「どうしてよ?」 「自分の会社を潰されていい思いはしないでしょ?」 「そんな、事・・・仕方ないわよ・・・」 「それに、今日で終わりにしようと思っているんだ・・・」 「何がよ・・・」 「メールの交換・・・」 「なんで?」 「僕は・・・海外に転勤する・・・」 「・・・そ・・・」 「だから、じゃあね・・・」 僕はそう言うと、アスカに背中を向けた・・・ 転勤と言う話は嘘ではない・・・ 今まで、その話を受けなかっただけだ・・・ そして、彼女を忘れるため・・・ なんとなく、だけど・・・彼女を気にしていたのだから・・・ 僕は君の悪者にはなりたくない・・・ せめて、仲間ぐらいにはなっていたかった・・・ でも、会社のため・・・ 自分の社会への人生のためには、こんな事もしなくてはいけないんだ・・・と思う・・・ それから、3ヶ月後・・・ 予定通り、会社は吸収された・・・ 僕は、今、アメリカにいる・・・ まだ、帰る予定もない・・・ 帰るのも気がない・・・ ずっと、ここの方が気が紛れる・・・ パソコンを開く・・・ 「今日も来ているね・・・」 やはり、パソコンの中までは変わらなかった・・・ そう・・・ アスカとのメールのやり取りは行われている・・・ 彼女はあの後・・・ 僕を追いかけてきた・・・ そして、僕の背中に向けて体当たりをして、僕を気絶させた(汗) そして、目を覚ました場所はアスカの部屋・・・ そこで、アスカはいろんな事を語ってくれた・・・ 「あの会社は祖父の会社で、ただ勝手に継がされただけ・・・だと」 アスカの祖父も他界していて、もう、別にどうでもいいらしい・・・ 今は、自分と話す事だけが生きがいだと・・・ 「アタシのお願い・・・聞いてね・・・メルアドはかえないでね」 アスカは微笑みながらそう言った・・・ 最後に・・・ 「何故?それは、アタシが・・・アナタの事が・・・好きだからよ」 約束通り、僕はメルアドをかえてはいない・・・ 毎日、メールのやり取り・・・ 彼女は、僕の会社でもかなり優秀な成績だそうだ・・・ もしかすると、もうすぐ、僕と同じ場所に転勤だそうだ・・・ 案外、待ち遠しい・・・ 馬鹿シンジへ どう? 元気してる? アタシは元気よ! 来月には、アナタのところと同じ場所に行くから! でも、運悪く住む場所の手配は出来なかったそうよ! だから、アタシの部屋・・・確保しておいてね! え?何処かって?それは・・・ アナタの家よ! 将来のお嫁さんのお願いを聞いてね! アスカ Fin 後書き ふぅ・・・ どんなに書いても・・・ you’ve got mailが書けない・・・ Ryukaさんリクエストでした・・・ KEN