さんの短歌(一)

七年間の学園教務勤務を終えて(平成11年) 1

幾たびの出会いと別れ繰り返し一期一会の教えかみしむ

紫陽花(平成9年) 2

目覚むれば雨だれの音聞こえ来て紫陽花の色冴え居るか

愛犬と話す妻(平成7年) 3

訪ね来し人の気配はあらねども見れば妻居て犬と話せり

キャンプの森にて(平成6年) 4

雨晴れて紅き色増すマンジュシャゲ(彼岸花)川名の森の彼岸中日

散歩途中で(平成6年) 5

痴呆の子か手を取りて行く暗き道母の白髪秋風哀し

卒業式を終え(平成8年) 6

ざわめきの去りし教室に佇みて娘等の名呼べば笑顔の浮かぶ

入院中の歌(平成13年) 7〜13

立冬の病室の中は温かきテレビは映すアフガン難民

妻の押す車椅子にて照れて行く振袖着て待つ孫のもと

草花を色紙にくるみ持ちてくる吾が孫娘の気持嬉しき

赤飯と刺身の夕餉嬉しけれおもえば今日は七五三の日

顔見れば抱っこをねだる孫娘抱いてはやれぬ我が身哀しき

腹減りて夕飯を待つ病室に配膳カートの音は嬉しき

病室の時はのんびり過ぎれども往還を行く車せわしき  

厄払いの参拝(平成14年1月) 14〜15

雨晴れて玉砂利湿る参道を登りて帰りだんご買い来る

名物の厄除けだんご買わずして帰るはご利益無しという妻

猪苗代湖・磐梯熱海温泉(平成14年1月) 16〜17

雪の舞う湖面に浮かぶ白鳥をはるばる訪ね寒さ忘るゝ

露天風呂入れば粉雪降りしきりしばしの幸を妻と分け合う

(平成14年) 18〜19

目覚むれば今の身体に戻り居る夢の中では麻痺を忘るゝ

何ゆえに神は試練を授けしか今も病む身を悔いる朝夕

節分(平成14年) 20

穏やかな節分の宵戸を開けて豆まく孫の眼真剣

上高地の旅(平成6年) 21〜23

焼岳はすでに陽は照り青空にかすかに上る噴煙の見ゆ

肌を刺す冷気浴みつつ歩を進む娘等との会話はずみ楽しも

しらかばの群れる林を妻娘らと冷気浴みつつ木道を行く

学生達の短歌(一)(平成6年〜7年)
  現代短歌研究会より

右側にいつでもあった温かさ離れて分かるその大切さ(麻峰)

浴衣着て川辺のほとり居座れば花火上がるを皆待ちわびている (穂峰)

父からの普通の手紙読み始めなつかしくなり涙がポツリ(静峰)

真夏日は父のオカリナ思い出す静かな音色気持も涼し(静峰)

屋上で今日も夜空を見上げれば誰かも見てる一つの星を(静峰)

試験待ち振るえる指を握りしめ父の笑顔をふと思い出す(穂峰)

励まされ慰められた数々の電話や手紙は心の支え(麻峰)

孫と遊ぶ(平成14年2月) 24〜27

砂場にて孫とケーキを並ぶれば陽射しは既に春を告げおる

片言で吾に指図をする孫の意図に叶わず「ダメ」と言われる

金柑を採って欲しいとせがまれて与えば孫はリンゴと云うなり

砂場にて無心に遊ぶ孫の背に健やかなれと祈る病む身は

還暦(平成14年2月) 28〜30

孫子等が吾が還暦を祝い呉る病む身なれども幸せを識る

ローソクを一気に消さんと思えども胸はつまりて二度で消すなり

この六十年思い起こせば悔いること多きにおよび夜半も眠れず

卒業生(平成七・八年) 31〜33

訪ね来る卒業生を迎えれば昔のことは時効となりぬ

訪ね来る卒業生の面すがし楽しく語らう苦難の頃を

あの頃は叱りつけたる娘等なれど笑まいて訪ね呉るゝは嬉し

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