さんの短歌(八)
BGM=toroimerai

  2002.5.23  174-175

ふと思い立ち上がれどもその先を思い出せぬは呆けのはじめか

パソコンに向かう背には妻が居て孫らの服縫う会話なき午後

  2002.5.24  176-177

黄昏が好きとふ女の面差しはどこか寂しさ持ちて哀しも

朝まだき疼く足をば放り出し妻の身体に乗せて治まる

  2002.5.27  178-179

デブぎょろ目ふくれっ面に痩せっぽち赤ら顔居る水槽愉しむ
舞阪弁天島の水産試験場の水族館を訪ねる。

水槽を空飛ぶ如く泳ぎ行くエイの腹見りゃ面白き顔

  2002.5.28  180-181

どの家のテレビアンテナBSも「右にならえ」で同じ方向く

ピラカンの向こうに蜜柑そして栗赤めガシあり若葉光りて

  2002.5.29  182

講義室私語はなくなり静かとふ時代移りてメール私語になる

  2002.5.30  183-184

孫が手に葉っぱを持ちて「ジイちゃん、いいこと考えた」とふ新しき言葉

久々のパイプオルガン聴き入れば重厚な音五感をふるわす

  2002.6.2  185

真直ぐなる松の新芽の素直さを吾が心にも欲しいと思ふ
 「欲しい」だけが口語体ですが、ここはつぶやきのようなものですから、これで違和感がありませんね。言葉というものの不思議さです。(「欲しとぞ思ふ」でもいいのですが、堅い感じですね。)

添削:
「真直ぐなる松の新芽の素直さと若さを心に保ちつづけむ」(あおぎり先生指導)

  2002.6.2〜3  186-189
山陰三朝温泉・松江の旅

堀川を舟は静かに進み行き見上ぐる天守は更に聳える

青鷺はじっと水辺に佇みて青銅像と区別しがたき

ビルは建ち車は走る城下町時代の移りを天守は見守る

せせらぎと河鹿(カジカガエル)の声は心地良く夢の縁へと誘い込み呉る

大山の形の移り楽しみて車少なき米子道行く

  2002.6.6  190

全身の透視写真を見せながら「切るしかない」とふ鬼医者の夢

  2002.6.9  191-192

ロシア戦ガッツポーズの首相あり背には山積み法案の見ゆ

早朝の庭に草抜く妻が居て声掛け遣れず只窓から見る

 2002.6.11  193-194

梅雨入りの宣言ありて雨激し忽ち蟻の巣穴に染み込む

梅雨入りの宣言等は要らぬと思ふ雨多ければ梅雨と思へば


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