「史上最高の両性具有セクサロイド」の正体

2002/10/26



 第4版で「具有」の用例に出てきた、「史上最高の両性具有セクサロイド」の正体が、ほぼ判明しましたので、報告します。


 

 ぐゆう【具有】
 資格・性質などを持っていること。
 「史上最高の両性具有セクサロイド」 (第4版)




 まず、この文章を読んで、どうみても新明解の編集スタッフが自分で考えた作例とは思えないので、何か出典があるのではないかと考えました。 当然SF作品でしょう。 


 第3版が出たのが1981年、第4版が出たのが1989年。 この間に出版されたSF小説で、「両性具有のセクサロイド」が登場するものにターゲットを絞れば、出典が特定できるのではないでしょうか。


 そこで、インターネットで検索したところ、大原まり子 『銀河郵便は愛を運ぶ』 (徳間書店、1984)というSF小説を見つけました。


 これは、大原まり子の「イル&クラムジー」シリーズの第一作目で、宇宙の郵便配達員イル・コンシーヴドとその相棒クラムジーの冒険物語なのですが、このクラムジーという人物が完璧な肉体と美貌を持つ両性具有セクサロイドという設定になっています。


 このクラムジーが「史上最高の両性具有セクサロイド」である可能性は高いと思われます。


 もっとも、海外の作品も含めて、両性具有のセクサロイドが出てくる作品は他にもあるでしょうし、「イル&クラムジー」シリーズを読んでいない私には、クラムジーが史上最高かどうか確信が持てません。


 そこで、大原まり子関係のホームページを作っているファンの方に意見照会のメールを送ってみたのですが、不審なメールと思われたのか、今に至るまで返事が返ってきません。






 「こうなったら、本人に聞くのが手っ取り早い!」





 ということで、無謀と思いつつ、大原まり子先生ご本人にメールを出すことにしました。(以下、そのコピー。)




Date:Tue, 15 Oct 2002 01:44:12 +0900 (JST)
From:新明解HP管理人<shinmeiker@yahoo.co.jp>
Subject:新明解国語辞典の用例
To:大原まり子<ohara.mariko@*****.**.**>


私は「新明解国語辞典を読む」という、
三省堂の新明解国語辞典をネタにしたHPの管理人です。
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Soseki/3578/
最近、新明解国語辞典の用例で興味深いものを見つけました。

新明解の第4版で、「具有」という言葉を引くと、
用例に「史上最高の両性具有セクサロイド」とあります。
これは、国語辞典の用例としては、かなり変です。

で、いろいろ調べていて、
大原先生の「イル&クラムジー」シリーズ
に関係しているのではないかとの結論に至りました。

新明解国語辞典の用例は新聞記事からとられているケースが
多いので、おそらく書評か何かからの引用と思われます。

新明解の第4版が出されたのは、1989年ですので、
ありえない話ではないと思います。

ただ、私はSF作品の熱心なファンとはいえないため、
確証が持てません。

お忙しいところ大変失礼とは存じますが、
先生のご意見を承りたく、メールした次第です。

なお、私のHPの
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Soseki/3578/guyuu.htm
をご参照ください。

失礼いたしました。




 正直、返事が返ってくるとは思っていなかったのですが、なんと大原まり子先生から返事が返ってきました


 以下、大原先生の了解を得たので、メールの全文を公開します。




Date:Thu, 17 Oct 2002 09:17:07 +0900
From:大原まり子<ohara.mariko@*****.**.**> 
Subject:Re:新明解国語辞典の用例
To:新明解HP管理人<shinmeiker@yahoo.co.jp>


はじめまして。

HPの方拝見させていただきました。

たぶんイル&クラムジーからの引用ではないかと思います。
確認はしていませんが、他に「史上最高の両性具有セクサロイド」
などという濃い表現があるとは思えません(笑)。

それにしてもよく通りましたね、びっくりしました。




 私も高校生のころはSFファンだったので、「大原まり子」という名前を聞いたことはありましたが、正直作品を読んだことはありませんでした。 (私がSFファンだったころ、女流SF作家といえば栗本薫か新井素子でした。) 

 今回大原先生のホームページを見てびっくりしましたが、大原先生は日本SF作家クラブの会長をされていたこともあるんですね。日本SF界の大物じゃないですか!

 当然お忙しいであろうにもかかわらず、私のメールにちゃんと返事を書いてくれて、しかも私のホームページへの転載も了解していただけるなんて、本当に大原先生はすばらしい方です。 ファンになりました。

 なお、「イル&クラムジー」シリーズは、現在「徳間デュアル文庫」に入っていますが、マニアックな文庫なので、私の住んでいる地方では置いてある本屋がほとんどありません。「イル&クラムジー」シリーズも当然売っていません。注文して取り寄せるしかないなあ…。




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