
僕が仕事から疲れて帰ってくると
妻は
「おかえりなさい」
の代わりに
「牛乳は?」
と たずねる
ボクは我が家の牛乳係 毎日牛乳2パック 毎日牛乳2パック 買って帰るのが役目 うっかり忘れてこようものなら 妻の発作が起きる。 「牛乳!牛乳!」と叫びながら走る 家の周りを三周半 その後何事も無かったように 落ち着きを取り戻すけれど 夜になると 「あたしは牛乳がないと生きてゆけない,生きてゆけない」 そう寝言でぶつぶつくり返す。 ボクは我が家の牛乳係 毎日牛乳2パック 毎日牛乳2パック 買って帰るのが役目 時々ボクは思う。 ああ妻よ。 いっそ妻よ。 オカダユリコが死んだ 今川焼きの行列に並んでいて あと少しで 自分の順番が回ってくるという まさにその時に 出血多量で力尽き その場に倒れこんでしまったのだ 人々はオカダユリコを踏みつけにして 今川焼きの列を進めた ところで私は オカダユリコを知らない なのに夢から目覚めた私は オカダユリコのために涙を流していたのだ そう 私の夢の中で 人々に踏みつけにされ 今川焼きを食べ損なったまま 息絶えてしまった オカダユリコのために 涙を 今でも私は 今川焼き屋の前を通るたび (本当はどこにもいないものである架空の人物) オカダユリコを 思い出してしまうのだった牛になれ!
オカダユリコ