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哀歌
あいか Lamentations


1.プロローグ

 旧約聖書の一書。「エレミヤ哀歌」ともよばれる。ギリシャ語訳聖書以来、「エレミヤ書」のあとにおかれているが、ヘブライ語原典では第3部におかれている。

2.著者

 言い伝えでは、古代イスラエルの預言者エレミヤの作とされているが、現代の聖書学者は、2人以上の無名の詩人の作と考えている。1〜4章はおそらくひとりの詩人によって書かれ、最終章は、のちの作家か編集者がつけくわえたと思われる。また、本書が現在の形にまとめられたのはバビロン捕囚(前586〜前538)の時代とみられている。

エレミヤの作とつたえられるようになったのは、前250年ころに成立した七十人訳聖書以来のことで、この聖書にはエレミヤが著者であることをしめす序文がくわえられていた。エレミヤを著者とした根拠は、「歴代誌」下35章25節の誤解によると思われている。ここには「エレミヤはヨシヤを悼(いた)んで哀歌をつくった……歌は「哀歌」にしるされている」と書かれている。だが「哀歌」そのものには、ユダヤ王ヨシヤの名は登場しない。

3.内容

 「哀歌」は、ユダ王国の崩壊とバビロニアによるエルサレム神殿の破壊以降に書かれた5編の詩からなる。それらは、国家の悲劇を記念して毎年おこなわれた追悼の式典で朗読するために編集されたと考えられている。最初の4編の詩(1〜4章)はアルファベット詩の形式で書かれている。1、2、4章は古代の葬送の歌の形式で、それぞれ22節あり、各節がヘブライ語のアルファベット22文字のことなる1文字ではじまる。3章はひとりの孤独な詩人に擬人化されたユダ王国の嘆きの歌で66節からなり、同じアルファベットが3節ごとに頭につけられている。5章は集団の嘆きの歌で、22節からなるが、アルファベット詩ではない。

5編の哀歌はすべて、神が神の民をその罪のためきびしく罰したと感動的にかたっている。と同時に、神の慈悲をよびもどし、神が怒りをといて堅固になったイスラエルをとりもどしてくれるよう祈っている。そしていっぽうで、侵攻してきた国々を「その仕業(しわざ)にしたがって」(3章64節)罰するよう、神に熱心にもとめてもいる。

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