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ダニエル書
ダニエルしょ Book of Daniel


旧約聖書の一書。前606年ごろ、バビロン捕囚でエルサレムからバビロンにつれていかれた預言者ダニエルの記録とされる。しかし、年代などは史実と一致せず、実際には前2世紀の中ごろ、無名の作者によって書かれたという説が有力である。「ダニエル書」が聖書にくわえられたのは後90年ごろ、ヘブライ語正典の第3部「諸書」の中におさめられた。第2部「預言書」にはいらなかったのは、成立時期が遅かったためと思われる。

聖書には「ダニエル書」以外にも、ダニエルにまつわる「スザンナ」「ベルと竜」「三人の若者の賛歌」の3つの物語があるが、ユダヤ教、カトリック教会、プロテスタントにより位置付けに違いがある。ユダヤ教とプロテスタントでは、これらの物語を外典とし、カトリックでは「ダニエル書補遺」として第二正典の中にふくめている。

「ダニエル書」の最初の6章には、ダニエルの6つの物語が列挙されている。もっともよく知られているバビロニア王の夢を解釈した話(4章)のほか、壁に字を書く指の幻を解釈したり(5章)、獅子の洞窟になげこまれたが難をのがれる話(6章)などがつづく。またダニエルの3人の友人は、金の像の崇拝をこばみ、もえさかる炉になげこまれるが、神の救いにより生還する(3章)。後半部にはダニエルの4つの黙示がある。ダニエルのみた幻の多くは、メソポタミアやペルシャの神話にもとづいている。

大きな困難に直面しながら真理をつらぬいたダニエルの物語は、前2世紀ごろ、セレウコスの王アンティオコス5世の迫害をうけていたイスラエルの人々をなぐさめ、はげます目的で書かれたものと思われる。「ダニエル書」の一部は、1947年にクムラン付近で発見された死海写本の中にもはいっている。

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