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雅歌
がか Song of Solomon


旧約聖書で恋愛詩をあつめた唯一の書。ヘブライ語原典の書名は「歌の歌」。キリスト教の聖書ではふつう「コヘレトの言葉」の次におかれているが、ヘブライ語原典では「ヨブ記」の次におかれている。

言い伝えではイスラエル王ソロモンの作とされている。ソロモンは多くの詩や歌をつくったとつたえられているが、この書が現在の形になったのはおそらく前5世紀〜前3世紀とみられている。だれが書いたのか、複数の人物によって書かれたのか、原作があったのかなどは不明である。現代の学者は、前5世紀以前の、おもに北イスラエル王国でつくられたものがかなりふくまれていると考えている。

聖職者も世俗の者たちも、昔から「雅歌」の解釈にはなやまされてきた。主題があからさまに通俗的であること、それを自然に率直にあつかっていること、自然をギリシャ的に描写していること、自然とエロティックな比喩(ひゆ)をひんぱんにおりあわせていることなど、「雅歌」は現存するキリスト教以前のユダヤ文学とは異質である。さらに、この書には一貫性があまりない。一見したところ統一性があるようだが、これは恋愛というめずらしいテーマによるところが大きく、またそれぞれの詩や断章の形式が似ていることにもよる。それ以外には、ひとりの著者の視点や、容易によみとれる統一的構造など、全体に一貫性をもたせるような手がかりはない。

ユダヤ人律法学者の口伝(くでん)・解説をあつめたタルムードや中世のユダヤ人注釈者は、「雅歌」を神(若者)とイスラエル(恋人)の対話の比喩と考えた。本書が旧約聖書の正典にいれられたのも、同様の理由によると思われる。キリスト教会では伝統的に、花嫁にたとえられた教会に対するイエス・キリストの愛をえがく対話劇と解釈されてきた。このような比喩的解釈にくわえ、19世紀初頭以来、2人以上の登場人物による劇詩と考える学者もでてきた。

より一般的な現代の解釈は、「雅歌」を古代セム族の宗教的儀式に由来するものとしている。だが、今日もっともひろくみとめられているのは、基本的に個人の恋愛詩をあつめた歌集とする解釈である。比喩、戯曲、祭儀、歌集など解釈に関する4つの説は今日でもそれぞれに支持されている。

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エホバの証人の中では「ソロモンの歌」という名称になっています。


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