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ガラテヤの信徒への手紙
ガラテヤのしんとへのてがみ Letter of Paul to the Galatians


新約聖書におさめられた書簡のひとつ。パウロがローマの属州ガラテヤ地方の諸教会にあてて書いたものである。研究者の多くは、54年前後に書かれた手紙と考えている。ただし、パウロ自身が設立したこれらの教会がガラテヤのどこにあったのかは、いまだにわかっていない。

執筆の動機は、モーセの律法とユダヤ教の儀礼の厳守を説くユダヤ人キリスト教徒の影響が、ガラテヤの信徒の間に強まってきたことだった。ユダヤ人キリスト教徒は、律法と儀礼に厳格なあまりに、キリスト教の根本原理であるキリストに対する信仰を軽視し、その結果、パウロの使徒性と権威に挑戦していた。

パウロは、キリスト教をユダヤ教の一分派にしかねないユダヤ人キリスト教徒の教説を否定するために、律法の実行ではなくキリストへの信仰が救いの必須条件であることを、この手紙の主題にとりあげている(3〜5章)。そして、自分が使徒であることと自分がつたえる福音がただしいことを証明するために、使徒職と福音はイエス・キリストの啓示によってあたえられたものであり、自分の権威はユダヤのキリスト教徒にも承認されていると主張した(1〜2章)。結びの言葉(6章11〜18節)は主題のくりかえしだが、口述筆記されたとみられる本文とは対照的に、明らかにパウロ自身の手で書かれたものである。

「ガラテヤの信徒への手紙」はおもに信仰主義を説いていることから、神学者の着想の源となってきた。またしばしば、律法の束縛からキリスト教徒を解放するマグナ・カルタとよばれる。この手紙によって、パウロはキリスト教をユダヤ教から切りはなし、キリストによってこそ救いがえられるという教えを確立したからだ。1章と2章にはパウロの経歴に関する情報もふくまれているため、歴史的にも価値がある。

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