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ヘブライ人への手紙
ヘブライ人へのてがみ Letters to the Hebrews


1.プロローグ

新約聖書の一書。パウロが書いたとされる書簡。

2.作者

 作者についてはこれまで長い間論じられ、パウロ以外のさまざまな人物の名があがった。3世紀のテルトゥリアヌスなど、初期の神学者の中には、使徒教父の作品か、パウロの口頭による教えを書きとめた第三者の作品とする者もいた。これに対しほかの学者、とくにアレクサンドリアの神学者たちは、パウロが直接書いたか、代理人に書かせたかは別にしても、パウロの作品だと主張している。

だが現代の学者は、パウロが作者ではないという点でほぼ一致している。その根拠として、パウロの作品とわかっているものとくらべると、語彙(ごい)、文体、文章の構造、思考パターンに相違がある点をあげている。たとえばこの手紙のギリシャ語は、新約聖書のほかの文章よりも純正である。

3.内容

 「へブライ人への手紙」は、とくにだれかにあてて書かれたものではなく、手紙にふさわしい書出しの挨拶(あいさつ)文もみられない。おもにユダヤ教からの改宗者によまれたものと考えられている。

前半(1章1節〜10章18節)では、神学的な論理を中心に、ユダヤ教に対するキリスト教の優位性を説き、後半の結論(10章19節〜13章25節)では、キリスト教徒に信仰をたもちつづけるよう、熱心にすすめている。キリスト教を優位におく神学的根拠は、次の3点である。

第1に、神の子イエス・キリストは預言者モーセや天使にまさる存在である。モーセや天使は、神と人間の橋渡しをする代行者にすぎないが、神はキリストを「数々の苦しみをとおして完全な者とされ…万物の目標であり源である方」(2章10節)とした。第2に、キリストは「大祭司」(4章14節)であり、「永遠」の祭司(5章6節)であり、「完全な者となられた」(5章9節)ので、あらゆる面で「レビの系統の祭司制度」(7章11節)をうわまわっている。第3に、キリストは大祭司としてわが身を犠牲にし、「すべてのもののためにただ一度」(10章10節)体をささげ、すべてのものに永遠の救済をもたらした。だがほかの祭司は「毎日礼拝をささげるためにたち、くりかえし同じ生贄(いけにえ)をささげるが、けっして罪をのぞきさることはできない」(10章11節)。

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