-エンカルタから見る-
詩編
しへん Psalms


旧約聖書の一書で、150編の賛歌や詩をあつめたもの。5巻に分類されており、各巻の末尾には区切りとして栄唱がつけられている。この構成は、おそらくモーセ五書にならったものであろう。ヘブライ語原典では、「テヒリーム」(賛美、賛歌の意)というタイトルで、第3部、諸書の冒頭におかれているが、キリスト教の聖書では「ヨブ記」と「箴言(しんげん)」の間におかれている。

「詩編」には独唱のために書かれたものと会衆による合唱のためにつくられたものがあるようだ。その多くは音楽家によって書かれ、楽器奏者への音楽的な指示もふくまれている。「神を賛美せよ」「ハレルヤ」などの会衆の応答は、いまなお礼拝につかわれている。

個々の歌は次のように分類される。天地の創造主としての神や歴史の支配者としての神、エルサレムの王としての神への賛歌、危機にあって救いをもとめる人や、国家の危機や困難に際して民族がうたった哀願と嘆きの歌、王の歌、神への信頼や信仰の歌、知恵の教えと瞑想(めいそう)、そして呪(のろ)いの歌である。「詩編」には多くの文学的形態があるが、その多くは前14〜前13世紀以降のウガリト語(→ ウガリト)の詩の形式をもつ。

「詩編」のうち74編はイスラエルの王ダビデ、12編はダビデの子ソロモン、1編はモーセの作とされている。32編はほかの個人の作で、その他の詩の作者は不明である。古代のユダヤ教会やキリスト教会は、作者をダビデとし、内容によって別の人が最終的に編集したとするが、現代の聖書学者は、より古い詩を編集したものと考えている。全般的に神の呼び名をヤハウェとしているのに対し、第42〜83編ではエロヒムがつかわれていることから、この部分は北イスラエル王国に由来する別の詩集だったとする説もある。「詩編」はおよそ前1300年の出エジプトから前538年以降、バビロン捕囚直後までの長い時代を反映しているとするのが、もっともひろく受けいれられている見解である。

イエス・キリストは、よく「詩編」を引用した。たとえば悪魔の誘惑をうけたとき(「マタイによる福音書」4章6節)や、山上の説教(同書5章7・35節、7章23節)、そして十字架にかけられたとき(「ルカによる福音書」23章34節)などである。初期のキリスト教徒は、「詩編」からの抜粋を礼拝に利用したようだ。5世紀の神学者アウグスティヌスはこの書を「祈りの言葉」とよび、ルターは「聖書のミニチュア」とみなした。

Microsoft(R) Encarta(R) Encyclopedia 2000. (C) 1993-1999 Microsoft Corporation. All rights reserved.


聖書研究デスクへ戻る