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箴言
しんげん Proverbs


1.プロローグ

 知恵と経験についてしるした旧約聖書の一書。ヘブライ語正典の第3部、「諸書」に属する。

2.成立

 聖書研究家は長年、旧約聖書の知恵文学の中でもっとも重要な書と位置づけてきた。賢者として名高いイスラエルの王ソロモン(在位、前961〜前922)の言葉を記録したものと考えられてきたが、実際は、無名の人々によって書かれ、あるいは編集された格言をあつめたものである。これらの作者は一般に、イスラエルで上流階級の子弟を教育する立場にあった賢者たちと考えられている。前5〜前4世紀ごろ、現在の形にまとめられたようだが、中にはソロモン王の時代より古い格言もふくまれる。

3.内容

 「箴言」は次の8部からなる。1章1節〜9章18節がイスラエルの王ダビデの子、ソロモンの箴言。10章1節〜22章16節がソロモンの格言集。22章17節〜24章22節が賢人の言葉。24章23〜34節が第3部の補遺。25章1節〜29章27節が、ユダの王ヒゼキヤのもとにいた人々が筆写したソロモンの箴言。30章がヤケの子アグルの言葉。31章1〜9節がレムエルへの言葉。そして31章10〜31節が有能な妻をたたえる詩である。

第1部には、全編の目的をのべた短い序がある(1章1〜6節)。ここは「箴言」の中でもっとも新しい部分といわれ、全体をまとめた賢者が前4世紀ごろに書いたという説もある。知恵が擬人化されて表現されている部分(1章20〜33節、8章)は「ヨハネによる福音書」の「初めに言(ことば)があった」の原型になったと考えられている。

第2部と第5部は、ソロモンの箴言といわれる。わずかな例外をのぞいて2行詩の形式をとり、さまざまな美徳と悪徳、それらがもたらす結果が説かれている。第2部には「箴言」の中でいちばん古い部分がふくまれている。第3部には、前1000〜前600年ごろのエジプトの「アメンエムオペトの教訓」にならった部分が多く、日常生活での言動に対する格言や忠告がつづられている。第4部は、内容も形式も第3部に似ているが成立時期は不明である。

第6部と第7部は2人の人物によって書かれたと思われるが、詳細は明らかでない。第6部は「ヨブ記」の懐疑的な対話に通じるものがある。第7部には母から息子レムエル王への異性や飲酒にまつわる忠告が、第8部では妻の理想像が、どちらも詩的な文体でしるされている。とくに第8部は、行頭の文字をならべるとヘブライ語のアルファベット22文字がそろう形式をとっている。

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