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士師記
ししき Judges


旧約聖書の一書。「士師」とよばれていたイスラエルの指導者たちをとりまく出来事がかたられているため、この書名がつけられた。預言者ヨシュアの死の直後から預言者サムエルの誕生前までの歴史が記述されている。それは、およそ前13世紀のイスラエル人のカナン征服の終了から前11世紀の王制の開始までにあたる。

言い伝えではサムエルの作とされているが、現代の聖書学者は本書を複数の資料から編集されたものとみている。「デボラの歌」(5章)などは、旧約聖書の中でもっとも古い部分とみられ、17〜21章は、バビロン捕囚につづく時代、前538年以降に聖職にあった編集者がつけくわえたと考えられている。本書の大部分(2章6節〜16章31節)は一般に、前7〜前6世紀の「申命記」的編集者の作品と考えられている(→ 申命記:モーセ五書)。

「士師記」は3つに分類される。第1部(1章1節〜2章5節)はヨシュアの死にはじまり、イスラエルのカナン征服を簡潔にまとめる。しかし、その内容は「ヨシュア記」の記述とことなる。たとえば「ヨシュア記」では、イスラエル族はヨシュアのもとで団結し、カナン人を征服または殺しているが、「士師記」では、イスラエル族は各支族がわかれてたたかい、それぞれ部分的にしか領土を占領できなかったと書かれている。ここでカナンの先住民を全員殺すか、あるいは追放できなかったことが、イスラエル民族の不幸のはじまりとされている(2章1〜5節)。

第2部(2章6節〜16章31節)には、イスラエルの民が背信の罪をくりかえし、何度も諸国の民にひきわたされたこと、そのつど民族をすくうために英雄があらわれたことがしるされている。これらの英雄は本文では士師とはよばれていないが、彼らのほとんどは何年かの間、イスラエルをおさめたと書かれている。ここに登場するおもな士師は、オテニエル(3章7〜11節)、エホデ(3章12〜30節)、デボラ(4〜5章)、ギデオン(6〜8章)、エフタ(10章17節〜12章7節)、そしてサムソン(13〜16章)である。ほかにも6人の比較的重要ではない英雄の功績が簡潔にのべられており、9章はまるまるアビメレクにあてられている。アビメレクはギデオンの息子で、「3年間イスラエルを支配下においていた」が、「70人の兄弟を殺して、父にくわえた悪事」のために殺害された。

第3部(17〜21章)では2つの話がかたられている。ひとつはダン族がライシュに移住したこと、もうひとつはベニヤミン族とイスラエル諸部族の抗争の話である。その抗争は、レビ人の側女(そばめ)がベニヤミン族数人にもてあそばれたことが発端となった。

「士師記」は、イスラエル民族のカナン征服からサムエルの時代までの出来事や社会の状態を知ることができるため、聖書の中では史料的価値が大きい。また、ヘブライ文学のきわめて古い部分がのこされている点も貴重である。

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エホバの証人の間では「裁き人の書」として知られている書です。


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