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ヨハネの手紙
ヨハネのてがみ Epistles of John


新約聖書におさめられた3通の書簡。この手紙と「ヨハネによる福音書」「ヨハネの黙示録」は、ヨハネが書いたものとされているが、異論も多い。もっとも支持されている説は、第2の手紙1章1節および第3の手紙1章1節にでてくる「長老のわたし」が、3通の手紙と福音書を書いたとしている。書かれた時期については、1〜2世紀の移行期ということで、学者の意見はおおむね一致している。

第1の手紙は、ほかの手紙のように挨拶(あいさつ)ではじまって別れの言葉でおわるのではなく、説教という形式をとっている。おそらく、特定の教会や会衆にあてたものではなく、小アジアにある教会にむけて回覧用に書かれたと思われる。

手紙の目的ははっきりとは書かれていないが、「イエス・キリストが肉となってこられたということを公にいいあらわす霊は、すべて神からでた」(4章2節)ことを否定する「偽預言者」(4章1節)への警告であるようにみえる。こうした「反キリスト」(2章18節)の教えとはあきらかに、初期のグノーシス主義をさしている。さらに、偽預言者の「人をまどわす霊」(4章6節)に対抗するようによびかけている。作者は忠実な僕(しもべ)に真の啓示をよびおこさせ、「神は愛」であり、「わたしたちの罪をつぐなういけにえとして、御子(みこ)をおつかわしに」なり、「神がこのようにわたしたちを愛されたのですから、わたしたちもたがいに愛しあうべきです」(4章8〜11節)と説いている。

第2の手紙は、聖書の中でももっとも短い書簡で、「えらばれた婦人とその子たち」(1節)にあてて書かれている。この「えらばれた婦人」は女性ではなく、おそらく小アジアのある教会をさしていると、学者はみている。作者は第1の手紙を要約(4〜9節)したうえで、「この教えをたずさえずにあなたがたのところにくる者は、家にいれてはなりません」(10節)と警告している。

第3の手紙もやはり短く、ガイオ(1節)という人物にあてて書かれている。ガイオは、模範的な教徒と思われる。手紙を書くきっかけとなったのは、別の教徒ディオトレフェス(9節)が「長老のわたし」の権威を否定したことである。この問題はあとで個人的に処理すると、作者は約束している(10節)。

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