ノアの大洪水-本当に起きましたか?


 かつて最初の二親の子孫が増え広がった頃、地上には悪があふれ、エホバ神は人間を造ったことを「悔や」まれました。そして神は今から4400年ほど前、「全天下の高い山々をことごとく覆う」ほどの大洪水によって、地上にいた全ての人間および陸棲動物を溺死させました。しかし神は前もってつがいの動物を巨大な箱船に入れるよう、義人ノアに指示していました。そして大洪水後、アララト山に漂着した箱船から、陸棲動物は再び世界に殖え広がっていきました....。(創世記6,7,8章)

 協会は聖書のこの記述を、B.C.2370年に起きたすべて文字通りの実話であると主張しています。しかし現実の自然界はそう単純ではありません。もしこの話が本当だとすると、実に様々な問題点が浮上することになるのです。


  コアラはいかにしてオーストラリアに移住したのですか?

 コアラやカンガルーといった有袋類はとてもユニークで、わたしたちを楽しませてくれます。彼ら有袋類がオーストラリア固有の動物であることは皆さんもご存じでしょう。しかしこのことは、上の大洪水の話からすれば少々おかしなことなのです。

 まずコアラやカンガルーたちが、いかにして現トルコのアララト山から、はるか赤道を超えた海の彼方のオーストラリア大陸に移住したかが問題です。当然ながら、泳いでいったとは考えられません。またオーストラリア原住民のアボリジニーが家畜としてなぜか有袋類だけを選び、、100種以上いる彼らを船で連れていったとも考えられません。

 大洪水直後はユーラシア大陸とオーストラリア大陸が陸続きだったかもしれないと考える方がおられるかもしれませんが、そのような想定も無意味です。陸続きだったにせよ、有袋類ということ以外何の共通点もないコアラやカンガルーやフクロオオカミたちが、一致団結してオーストラリア部分に集合することはやはりどうしても不自然です。さらに、すべての動物はアララト山から殖え広がったはずなのに、有袋類がユーラシア大陸に一切残っていないことも不自然です。

 有袋類がオーストラリアに限定的に生息していることには、もっと別の科学的な説明が必要だと思われます(一般には、オーストラリア大陸は遥か昔にユーラシア大陸と分離されたため、そこの生物は独特な進化を遂げたとされています)。

 


洪水層はいずこに?

 洪水が起これば、必ず洪水層ができます。これは、洪水によって巻き上げられる泥や土砂などが堆積してできるものです。もしわずか4300年前に、地球を呑み込むほどの大洪水が起きたのなら、各大陸に共通する大規模な洪水層が見られるはずですが、そのようなものはどこにも見当たりません(小さな富士山の火山灰さえ関東ローム層として残っています)。

 むしろ地球は、わずか4400年前に大洪水など起きなかった証拠で満ちています。例えば現在の地球には、約130個の巨大な衝突クレータが見られます。アメリカのアリゾナ州にある、5万年前の隕石落下で出来た直径1キロのメテオ・クレーターもその一つです。もし、4400年前に破壊的な大洪水が起きたのなら、このような5万年も前の衝突跡など、濁流よって浸食されるか、洪水層の泥の中に埋まってしまったに違いありません。。もしB.C.2370年に大洪水が起きたとするなら、それら130個のクレーターすべてはこの4400年間に、人間が地上で生活している間に隕石衝突によって出来たものということにになります。

 また地上には、グランドキャニオンやフィヨルドやなど、洪水以外の力によって、何百万年もの歳月をかけて出来た地形があります。それらは何事もなかったかのように、今日まであり続けています。


エデン時代から流れ続けるユーフラテス川の不思議

 大洪水を生き残り、今なお存続し続けているものがあります。ユーフラテス川です。

 「さて、川がエデンから発していて園を潤し、そこから分かれ出て、いわば四つの頭となった。…第四の川はユーフラテスである。」(創世記2:10〜14)

 これまで触れてきたように、大洪水はエデンの園を破壊し、その破壊的な水圧により高い山脈や深い海溝、5つの大陸が形成されたと言われています。また地球を呑み込むほどの大洪水が起きれば、押し流され巻き上げられた土砂が堆積して巨大な洪水層が出来るはずです。

 こう考えてみると、アダムの時代から流れていた川が壊滅的な大洪水を生き残ってそのまま21世紀まで流れ続けるものとはとても思えません。

 


マンモスの遺体は大洪水を証明しますか?

 「進化か創造か」の203ページには、大洪水の証拠として、シベリアの永久凍土から発見されたマンモスの胃から、緑の植物が発見されたことが書かれています。この事実から協会は、マンモスが暖かい場所で緑の草木をはんでいる時、突如冷気を伴った大洪水に見舞われ、急速に凍結したのだろうと推測しています。

 しかし、もしマンモスが温暖な地域で緑の草木をはんでいたとしたら、長い毛を生やして寒さに適応している必要はありません。寒さに適応しているということは、やはりマンモスは初めから寒い場所にいたのです。そしてそのマンモスの胃に緑の草木があったということは、ある程度寒い場所でも育つ植物があったということに他なりません。

 シベリアのような寒い土地で死んだ動物が腐食せずに永久凍土に埋まり、その死体がその後良い保存状態で発見されたからと言って、それが全世界的な大洪水を証明するものにはなりません。

 また協会の理論によると、洪水前は、地球はアダムが裸で生きられるほど暖かく、エデンの園を地球全体に拡大することが予定されていたため、灼熱の砂漠や極寒の永久凍土などは存在せず、そうした過酷な自然環境は大洪水による気候の大変動によって生じたことになっています。しかし、温暖だった大洪水以前に、寒さに適応した毛の長いマンモスがすでに存在していたというのもおかしな話です。

 *...ちなみにこの時発見されたマンモスは4400年前のものではなく、科学的分析の結果4万年も前のものとみられています。

 


「船」の字は大洪水から来ている?

 ノアの大洪水では、ノア夫妻とその三人の息子とそれぞれの妻の計「八つの魂」が生き残りました。そこで、中国の漢字でふね(ship)のことを「船」と書くのは、「八つの口がふねで生き残ったから」といった話が「洞察」の本などで説明されています。では「鉛」という字はどうなのでしょう?「沿」という字は何なのでしょう?

 


ピラミッドは洪水以前に建てられている

 大洪水は今から4400年ほど前に起きたとされていますが、その時すでにエジプトにピラミッドが建っていました。 (年代はすべてB.C)

  • 6000年ごろ 西アジアにジャルモ文化(農耕、牧畜の開始)
  • 4000年ごろ エジプトの都市国家
  • 3500年ごろ シュメール人の都市国家
  • 3000ごろ  エーゲ文明おこる
  • 2850年   エジプト第一王朝
  • 2781年   太陽歴の創始
  • 2600年代  クフ王、最大のピラミッド建設
  • 2500ごろ  インダス文明おこる
  • 2500年ごろ ウル第一王朝
  • 2370年 ノアの大洪水
  • 2350〜2180年 アッカド時代

世界各地にある洪水伝説については?

 協会は大洪水を裏付ける根拠として、世界各地に類似した洪水伝説が多数あることを挙げています。人類は大洪水を忘れなかった、というわけです。もしかしたら、かつて人々の記憶に深く印象づけられるような大きな洪水は起きたのかも知れません。しかしそれは決してB.C.2370年に地球を丸ごと水で覆うようなものではないでしょう。

 興味深いことに、イギリスの考古学者・サー・レナード・ウーリーが1928年にウル(アブラハムが住んでいたとされる都市)を発掘中、偶然に洪水層を発見しました。それはちょうど、聖書が大洪水の起きた時期と主張する4000年ほど前のものでした。

 しかしこれは世界的なものではありません。古代メソポタミア地方はユーフラテス川とチグリス川の氾濫によって、しばしば局地的な大洪水の被害を受けていたのです。そこで実際にあった話が誇張され、粉飾され、各地に伝播したと考える方が自然ではないでしょうか?

 それに、メソポタミアから粘土板として出てきた4000年前のギルガメシュ叙事詩の大洪水と、せいぜいB.C.3世紀の写本にまでしかさかのぼれない聖書の大洪水の酷似については、年代的に言って聖書の方がまねをしたと考えられています。

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