あなたはどんな選択をされますか?
〜エホバの証人の皆さんへ〜


 これまでの記事を読まれて、あなたはどうお感じになりましたか?「真理」を愛している証人の方にとっては、動揺させてしまうような内容だったかも知れません。しかし別にひねくれた見方をしなくても、協会が唱える「真理」には多くの矛盾、無理、一貫性のなさ、不調和、空白、間違いがあることに気付きます。それは協会の教えが、聖書という人間の書物をありのままに受けとめず、それを絶対化・偶像化するものであるからに他なりません。

幸福と真実

 もしあなたが自ら進んでエホバの証人になった方であるなら、恐らくあなたは「霊的パラダイス」に幸せを見い出してきたことでしょう。エホバの証人は、会衆というコミュニティーの中に生きています。そこには年齢や国籍を超えた友愛があり、皆が助け合い寄り添い合って生きています。ほとんどのエホバの証人は純真ないい人たちで、清く正しく美しく生きることから喜びや生きがいを感じています。そこは閉じてはいても、結構広い世界です。世界的な広がりをもつエホバの証人の組織からすれば、世の生活のほうがよっぽど窮屈でつまらないものに思えるかもしれません。しかし今まで見てきたように、協会の教えは真実ではありません。

 真実と幸福は別次元の問題です。真実が必ずしも幸福をもたらすものとは限りません。時には知らないでいる方が良い真実もあります。例えば、ガン告知の問題などです。また、偽りが幸福をもたらすことだってあるでしょう。医療でのプラシーボ(偽薬)効果などがそれです。

 協会は世の宗教を「偽りの宗教」と呼びます。そして真の幸せを感じられるのは自分たちだけで、他の宗教の信者は、決して幸せにはなれないと思っています。しかしすべての宗教は、お互いにそう思っています。例えばある「世の」教会の牧師は、自分たちは「救い」を経験していて真の幸福を得ているが、異端のエホバの証人はハルマゲドンに怯えた憐れな人々だと思っています(もちろん、決してそうとも言えないことは僕もよく分かっています)。

 僕の考えでは、この世に「真の」宗教など存在しません。この考えが正しければ、この世界には、多くの宗教が説くような「意味」などはなく、宗教上の神もいないことになります。個々の人生に宇宙的な意味があるわけでもありません。人間は6500万年前に絶滅してしまった恐竜と同等の存在です。伝道の書が「人間の子らに関しても終局があり、獣に関しても終局があり、これらは同じ終局を迎えるからである。…したがって人が獣に勝るところは何もない。全てはむなしいからである。」(3:18,19)と述べている通りです。

 この世界には何の保証もなく、犯罪や戦争や地震で死んだ大勢のかわいそうな人たちも、復活することはありません。 「賢い者も愚鈍な者と同じく、定めのない時に至るまで記憶されることはないからである。既にやって来る日々のうちに、すべての者は必ず忘れ去られる」(伝道2:15,16)のです。残酷に聞こえますね。しかし僕はこれがこの宇宙の真実だと思います。そして、こうした意味のない人生に「意味づけ」をするのが、宗教の役割だと思います。そういう意味でなら、エホバの証人を含めた無数の宗教には、それなりの価値があると言えるのかも知れません。

エホバの証人であることの問題…

 しかし、ものみの塔によって生き甲斐を得られたエホバの証人にも、JWであるがゆえの問題が生じます。

 主婦の姉妹が未信者の夫や家族に反対され、時には暴力を振われるということはよく聞きます。離婚を迫られたりして家庭が崩壊寸前の姉妹は、いくら当人が「真理」を見つけられたからといって、それが幸せな状態とは言えないでしょう。反対する家族にとってもそうです。協力的な未信者の家族もいますが、「エホバの証人」が半端な宗教でない以上、どうしても認められないない家族だっているのです。実際には好みの問題である宗教のために、家庭が崩壊してしまうのはどうでしょうか。よく親権をめぐって裁判沙汰になり、証人側が勝訴したことが誇らしげ書かれたりすることがありますが、なんだかなという感じがします。

 また、エホバの証人と伝道活動は切っても切り離せません。僕がまだ伝道者でない頃、ある開拓者の家に遊びに行った時、「戦後最大級」と報道された台風が来ているにもかかわらず、その兄弟は「伝道に行ってくる」と言って嵐の中に消えていきました。要求されている奉仕時間を入れる都合上、その日はどうしても行かなければならなかったのです。

 しかし伝道がどうしても苦手な人もいます。伝道とは所詮、この世のセールスや営業、新聞の拡張業務とあまり変わりません。明らかに向き不向きがある仕事なのです。内気で神経質で繊細な人は、家の人に迷惑がられるのは大きな心理的苦痛です。十中八九の家庭が追い返すのですから、区域の網羅のスピードが早まっている今日は、はっきり言っていやがらせに行っているような感覚です(二階でくつろいでいる若者もいれば、風呂に入っている旦那さんもいます)。

 ひと昔前なら組織は「あなた自分が開拓奉仕をしていないことをエホバに言い開きできますか?」と、脅しめいた言葉で多くの奉仕時間を要求してきました。伝道をしなければ最悪感や恐れに苛まれ、規定時間に満たないとそれは問題になります。エホバの証人なら一生やらなければならないこの伝道、もし苦痛に感じている証人がいるなら、それも幸せと言えるでしょうか。

 もっと自由に生きたい2世の子供たちもいます。ただ普通の生活がしたいのに、集3回の集会プラス伝道には必ずついていかなければならず、それにお正月もひな祭りも端午の節句も七夕も関係ないし、クリスマスもだめ、バレンタインもだめ、誕生会も祝っちゃいけない、とにかくこの世の季節感あふれるイベントは全部だめ(あるとしたら夏の地域大会くらい)。国家や校歌、格技も拒否させられ、「世的」なテレビや音楽、映画、さらにはマスターベーションまで悪の対象に…。

 何か「悪い」ことをすれば、幼い頃から言い聞かされてきたハルマゲドンの恐怖が悪夢となって襲いかかり、何か輸血が必要な事態に陥ったら、輸血をしてもらえないゆえに最悪の事態に陥る可能性もあるでしょう。エホバの証人という特異な世界で厳しく育てられた2世の子はその青春も、あるいは人生全体も、親の独断と偏見で選んだ「幸せ」の中に閉じ込められるのです。

 割と幸せなエホバの証人ライフをエンジョイしている人たちにも問題はあります。彼等は「真理」に積極的な分、ハルマゲドンや楽園の到来を現実のものとして信じているため、この世での将来や老後を全く考えません。年金を払うのも渋って貯金もせず、パートタイムの仕事でギリギリの生活(いわゆる「その日暮らし」)をしている若い開拓者は、ちょっと先行きが心配かもしれません。楽園が来るまで、結婚を控えようとしている若い開拓者も大勢います。ハルマゲドンは、いつまで待っても来ないのに…。

世だって結構いい所

 確かに、この世は「神の王国」が約束しているような、永遠の命や真の平和、諸問題の完全な解決は与えてはくれないでしょう。それでも、昔は王侯貴族しか持てなかった自由を、これだけ大勢の一般人が享受できるようになったのは、人間が様々な革命を通して自己犠牲的な努力を惜しまなかったためです。かつては権力者のために働いて死ぬだけの奴隷でしかなかった一般人が、文化的で人間らしい生活ができるようになったのは、世のおかげではないでしょうか?今なら職業も自由に選択できますし、信仰の自由も保証されているからこそ、皆さんはエホバの証人でいられるわけです。また、科学の飛躍的な進歩によって、人間の生活はより便利で快適なものになっています。あなたが今やっておられるインターネットもその恩恵の一つです。個人にこれほど限りない可能性が与えられたことはかつてありませんでした。

 協会は、「終わりの日」である現代を「恐ろしい時代」と言い、1914年以前の時代を「古き良き時代」と呼んだりしますが、本気で過1914年以前に生まれればよかったとは思う人はあまりいないのではないでしょうか。僕としては、今こそ人類の黄金時代で、自分の姿勢次第で十分幸福になれる時代だと思っています。たとえ自分の人生に宇宙的な意味がなくても、自分なりに目標を持って、生きがいを感じることはできると思います。確かにこの世は「神の王国」のように完璧ではありませんが、僕は偽りの希望に裏切られるよりはましだと思っています。

 それに何と言っても、世には自由があります。週3の集会に拘束されたり、伝道に膨大な時間をつぎ込む必要がなくなれば、職業の選択の幅が広がり、やりたかった仕事ができるかもしれません。規制をかけられていた様々な事柄も、本当に自分の良心で決めることができます。どのようなテレビ、映画、音楽、ファッションを好もうが、それも自由です。世の人すべてが「心の不正直なヤギ」で、いつも「ばか騒ぎ」をしていて、「酒や麻薬や淫行に溺れている」わけじゃないことに気づけば、良い友達だってできるでしょう。この世にもハルマゲドンで滅ぼされるには惜しいくらい良い人たちが大勢います。世の人になったとしても、自分が正しいと思う基準は自分で守っていけば、良心的に生きていくことはできるのです。

 様々な理由から組織を離れて、この世界で新しい人生を歩み始めている人たちは大勢います。元エホバの証人同士が、お互いが抱える問題について話し合い、支えあおうという自助団体もあります。例えば、STOPOVERというメーリングリストでは、レールの上をひたすら直進する列車からSTOPOVER(途中下車)した仲間たちが、新しい生き方に向けて築き上げる話し合いをしています。また、エホバの証人の子供たちのホームページは、エホバの証人の子供としての悩みを抱える2世の子たちの助けになるでしょう。

 

あなたの将来

 あなたはどんな選択をされますか。たとえ「真理」が全部嘘だとしても、ひとつの宗教と割り切って、あの人たちと一緒に生きていけるならそれでいいと思われますか。それも一つの道でしょう。

 あるいはまだまだ遅くはない今、新しいスタートを切りますか?矛盾だらけの教理の呪縛から解放され、20世紀の人間にふさわしい自由を謳歌しますか?素直な目で現実を見つめ、今を生きますか?

 時代はもうすぐ21世紀です。あなたが悔いのない未来を送られますように。

-編集者

     

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