すべての動物は草食だった?


 エホバ神は人類と動物がパラダイスで仲良く暮らすことを意図して、それらを創造しました。聖書にはこうあります。

  「地のあらゆる野獣と、天のあらゆる飛ぶ生き物と、地の上を動き、そのうちに魂としての命を持つすべてのものに、あらゆる緑の草木を食物として与えた。」(創世1:30)

 創造の当初、動物はすべて草食で、現在見られるような弱肉強食はありませんでした。しかし人類の反逆後、エホバは独立の道が人間や動物や地球にどれほどの損害が及ぶかをすべての者が知るよう、一定の期間、それ(人間の独立)を許すことにしました。すると、当初はおとなしく草食であった動物たちのなかには、別の動物を襲うものが現われだし、現在の食物連鎖が成立しました。

 しかし間もなく到来するパラダイスでは、動物たちの間にも本来の平和が回復されます。

 「そしてライオンでさえ、雄牛のようにわらを食べる。そして乳のみ子は必ずコブラの穴の上で戯れ、乳離れした子は毒蛇の光り穴の上にその手を実際に置くであろう。それらはわたしの聖なる山のどこにおいても、害することも損なうこともしない。」(イザヤ11:7〜9)

(「目ざめよ」誌1983年1月8日号他に基づく)

 


 上記は食物連鎖をしている自然界についての、協会の聖書解釈による起源説明です。ライオンやオオカミを始めとするすべての狂暴な肉食動物は、元来おとなしい草食動物として創造されたと協会は言います。しかしこうした主張を聞いた人が、次のような疑問を感じるのは自然なことです。

 「ちょっと待ってください。ゾウやキリンなどの草食動物の歯と、トラやライオンといった肉食動物の歯には、明らかな違いが見られるではありませんか?草食動物は草をすり潰すのに適した平らな臼歯を持つのに対して、肉食動物は獲物を噛み殺すのに適した鋭い犬歯を持っています。また爪も、草食動物は平爪ですが、肉食動物では狩りをしやすい鈎爪です。もし今の肉食獣が草食として創造されたのなら、なぜ神はある動物に肉食に適した犬歯や鈎爪をお与えになったのでしょう?私にとっては、聖書の説明はあまりに美化されている感じがして、とても事実とは思えませんが…。」

協会の答え

 こうした疑問に対し、協会は「目ざめよ」誌1983年1月8日号11ページ、「殺すための造りではない」という副見出しのなかでこのように答えていました。

 

 「神は創造に際して実に多種多様な特徴をお与えになったので、その多くは新たな状況に適応して生存していくのに役立つよう用いることが可能でした。例えば、ほとんどの動物は、今日に至るまでそうであるように、草食のままにとどまりました。その一例は恐ろしいきばをもったゴリラです。そのきばは今でも大きな植物を引き裂いて食べるのに用いられています。…がんじょうな歯を持つ動物は、きっと食べにくいものを常食としていたのでしょう。その歯はそうした食べ物に合った造りになっていました。」
 しかし自然界には、「鋭い歯や爪」以上に洗練された、「殺すための造り」としか思えない複雑な構造を持つ動物が、数多く存在します。

「殺すための造りではない」?

 ここでは猛毒を持つ毒蛇について考えてみましょう。毒蛇の毒牙は、まるで注射針のような精巧な構造をしています。その根元には猛毒を分泌する毒腺があります。分泌する毒にもいくつかの系統があって、しびれや筋肉の麻痺、呼吸困難をひきおこす神経毒、筋肉や血管を破壊する出血毒、血液凝固を妨げる毒などがあり、これらは複雑な化学物質です。

 毒蛇は、まず獲物に噛みつき毒を注入し、獲物を無抵抗な状態にしてから、ゆっくりと獲物を飲み込み始めます。蛇の下アゴの骨は、獲物をまる飲みできるよう伸縮自在の構造になっており、びっくりするほど大きく口を開くことができます(大型の蛇はイノシシやシカさえも飲み込みます)。

 コブラのなかには失明させる毒を、敵の目を狙って2〜4メートルも飛ばす特技を持つものもいます。さらにマムシやガラガラヘビはその頭部に、1000分の1度の温度変化も感知する細胞の塊をもち、それにより温血動物の居場所を感知します。これらが、「殺すための造りではない」なら、何のための造りでしょう?

 他にも「殺すための造り」としか思えないものとして、同じように毒牙を持つ毒グモやそのネット状の巣、巨大なノコギリ状のアゴと猛毒の針で敵を殺すブルドックアリ、驚異的な瞬発力と粘着性を持つカメレオンの舌など、その例に枚挙のいとまはありません。

身を守るための造り

 また、捕食者が存在するから必要となる、身を守るための特殊な造りを持つ動物も数多くいます。ジャングルの昆虫は若葉や枯れ葉や花や蛇などへ非常に巧妙な擬態を行っていますし、ほとんどの動物は保護色によってカモフラージュしています。さらに特化した護身機能を持つ動物はたくさんいます。

 不気味な警告色で彩られたヤドクガエルは、1gで10万人を殺せるほどの猛毒を持っています。 デンキウナギは800ボルトもの電流で馬をも気絶させます。 ハリモグラは剣山のような表皮で外敵から身を守ります。 フグは青酸カリの1000倍の猛毒テトロドトキシンを持っています。 おとなしそうに見えるカモノハシも爪に猛毒を持ち、犬も殺します。 ミイデラゴミムシは、おしりから100度もある毒ガスを噴射します。 スカンクも、猛烈な悪臭と刺激性のある液を肛門腺から分泌します。 護身用の武器を持つ動物は数え切れないほど存在します。

消化器系統の違い

 さらに、草食動物と肉食動物の消化器系統の造りは根本的に違います。例えば草食動物の牛は、固い植物を吸収するために、反すう(食い戻し)可能な4つの胃を持ち、段階的に消化します。また牛の胃は植物繊維(セルロース)を分解するための酵素を生成し、そこには分解を助ける微生物がいます。

 一方肉食であるライオンは胃を一つだけ持っていて、そこからは酵素と殺菌作用のある塩酸が注がれます。もしライオンが、イザヤ書にあるように「雄牛のようにわらを食べる」動物として造られたのであれば、牛のような内臓をしているはずですが、実際には違います。

食用でない植物

 また、植物界を見ても、聖書の記述との矛盾が見られます。創世記にはこうあります。

 「わたしは、全地の表にあって種を結ぶすべての草木と種を結ぶ木の実のあるあらゆる木をあなたがたに...そして、地のあらゆる野獣と、天のあらゆる飛ぶ生き物と、地の上を動き、そのうちに魂としての命を持つすべてのものに、あらゆる緑の草木を食物として与えた。」(創世記1:29,30)

 しかし多くの植物にも、動物に食べられないようにするための工夫が見られます。きのこには毒性のものが数多くありますし、シダ植物の多くも動物が嫌う化学物質を合成しています。また裸子植物の多くはトゲや頑丈な殻で武装しています。さらに、粘着性の触手や罠のように閉じる二枚葉で昆虫を捕らえ食べてしまう、食虫植物などの逆パターンもあります。

「エホバの意図」と合わない

 エホバがすべての動物を草食として創造されたのであれば、こうした捕食や護身のための造りは創造されていないはずです。食う食われるの関係がないなら、このような機能の存在価値がないからです。

 自然界は、まさに弱肉強食・生存競争の世界です。聖書の美しい創造論では、彼らが備える補食や護身のための特殊構造の存在は、説明がつきません。

 協会の出版物には、こうした驚異的な捕食や護身の特殊構造を持つ動物が創造者を賛美するものとして紹介されています。しかしそれは、自らが説える「愛ある創造説」とは矛盾するものではないでしょうか?(例えば「進化か創造か」の第12章「だれがそれを最初に行ったか」には、デンキウナギの発電やガラガラヘビの熱感知が紹介されています)。

 でもある人はこう考えるかもしれません。「わたしたちが見ているのは現在の動植物です。昔の楽園時代における彼らは、今と体の様相が違っていたかも知れないではありませんか。」

 この疑問に対する答えは、次の記事から得られます。 

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