作家略歴・代表作 宮部みゆき(みやべ・みゆき)

1960(昭和35)年、東京都生まれ。隅田川高校卒業
1987
年の『我らが隣人の犯罪』第26回オール読物推理小説新人賞受賞
1989年『魔術はささやく』日本推理サスペンス大賞
1992年『本所深川ふしぎ草紙』吉川英治文学新人賞
1992年『龍は眠る』日本推理作家協会賞
1993年『火車』で山本周五郎賞

1997年『蒲生邸事件』日本SF大賞

1999年『理由』第120回直木賞
受賞

『かまいたち』『レベル7』『長い長い殺人』『鳩笛草』『クロスファイア』


ステップ・ファザーステップ 1993年3月刊 講談社 ★★★★★

「あるところ」からだけ頂く泥棒の俺は仕事の途中で災難に遭い(ドジリ) 13才の一卵性双生児に助けられる。 しかし、命拾いをして、ムショ入りを免れたかわりに、駆け落ちした両親 の代わりに生活費を稼ぐのと、父親の代理を務めなければならなくなってしまった。 いつまでも、「お父さん」呼ばわりする、双子達に奔放される7つの連作集。  
1999.2.11


魔術はささやく 新潮社 1989年12月刊  ★★★★★
ちょうど10年前の作品である。 色褪せたセピア色の紙が年代を感じさせたけれど、今でも何人もの人に愛読されているんだろう予約待ちでこの本を読む事ができた。背表紙の宮部みゆきの写真と、ミステリー好きだというコメントが若々しい。 主人公日下守が幼い頃、父親が横領の末失踪した。そして今、母の亡き後叔母夫婦の家に居候している。 その叔父が仕事でタクシーの運転中に、ひいて死亡させてしまった。 事件の後におきる近所の中傷やいたずら電話やの中に「殺してくれてありがとう」「殺されて仕方のないことをしてる」といういたずらにしてはおかしい電話がかかってくる。 その死亡した女性が、一見何のつながりもないようなある女性二人の死亡にも関係のある事がわかり、知らず知らずに、守は事件の渦に入っていく。 そして守は、昔唯一の友人であった人から教わった腕でこの女性についての手がかりを探し出し、もう一人殺人が行われるのを知っていくのである。次の殺人を止めようと必死に頑張っていくうちに、自分の父親の過去、謎の人物、全て知りたくなかった事を知って行く。そして、最後に究極の選択を迫られるのである。 推理小説ながら、人の心の強さや弱さを感じさせる本。 特に、主人公守の感性が強く心にささる。  
1999.4.11



蒲生邸 毎日新聞社 1996年9月刊行 ★★★★
 
またもや、宮部みゆきの本を借りる。 私は、ミステリー作品はライトユーザーである。 小学校時代に図書館の本棚から江戸川乱歩とルパンシリーズを読んだ程度である。 そんな私がなぜこの作家が好きかと問われれば、主人公に感情があることだと思う。 あたり前じゃないかと言われそうだが、話の展開ばかりに重点がおかれて、 個々の人物が浮かび上がらない本だと、私はあきてしまうのだ。 (なんたって恋愛小説好きだから) その点宮部みゆきは、一読者として、あきのこない話の展開と、隠された謎に浸りながら、 主人公と共に怒りも哀しみも、切なささえも味わっていけるから私は惹かれるのである。 締めくくりが上手な作家は、一流だと思う。 ここからあらすじ 表紙に描かれた、邸宅と割烹着を着た女性、そして5時をさす時計。 それがこの本の最初であり最後であり、全てである。 予備校受験の為に、東京都平河町の小さなホテルに泊まった孝史は、 ホテルに飾ってあった写真から、そこがかつて「2.26事件」に自決した蒲生大将軍の邸宅だったことを知る。 そして、おりしも2.26事件当日の早朝、ホテルは火災になり炎にまかれそうな所を、同じホテルに泊まっていた暗い 男に助けれたのだった。 しかし、そこは雪のふりしきる昭和11年の2.26事件当日の蒲生邸の庭であった。 助けてくれた男、平田は時間旅行能力者であったのである。 ここ昭和11年の蒲生邸の使用人としてなりすますはずでった平田と共に、孝史は2.26事件と蒲生大将軍の 自殺にかかわっていくのである。 使用人ふきのやさしさを感じながら。