ゲームブックの限界と弱点


 今回のコラムは、ゲームブックをインターネットサーフィンや他のゲームと比較することによって、ゲームブックの限界や弱点を提示している内容となっている。正直あまり触れたくない内容なのであるが、これを把握しておかないと競争に敗れてしまうであろうと私は思っている。


 ゲームブックは、本である。
 今回は本を使ってゲームをすることについて、考えてみようと思う。
 一般的にゲームブックはただ本を読むだけでなく、指定された項目に飛んだり、メモをとったりするという作業を行う。項目というものはページでも小節でもなく、ひとかたまりの文章のことである。ひとかたまりの文章を鎖でつないでいるような構成でゲームブックは成り立っている。鎖をたどっていく感覚は、パソコンでネットサーフィンをしているような感覚に近い。
ではゲームブックで行う二つの作業について、一般人はどう思うか。おそらく面倒なものだと思うであろう。

 パソコンでネットサーフィンをしているときや、ゲーム機でアドベンチャーゲームやサウンドノベルを遊んでいる時、人は席(場所)を固定している。他人が移動してくれと頼んでも動かないであろう。それだけ集中力を働かせることのできる環境にあるといえる。この状態ならメモをとることは苦にならないだろう。
 ではゲームブックはどうか。なまじ本の体裁を取っているだけに、席を固定しなくても読むことができる。ゲームブックが文庫本で販売されていた時、電車の中でもゲームができるという売り文句があったが、メモをとることはかなり難しいかっただろう。サイコロを振るなんて言語道断だ。余談ではあるが、サイコロを振ることは意外に場所を取るものだ。カメラのフィルムケースの中にサイコロを入れるという手もあるが、他人の視線が気になるところである。

 また、あちこちをめくりながら本を読むという作業は特殊である。それはかなり難しい本を読むときに、かつて読んだところを何度も何度も振り返って読む、という光景に近いものがある。どんなに易しいゲームブックでも、難しい本を読んでいる時の作業を強制している、ということを考える必要があるだろう。

 そして、これが一番大事なところだと私が思っているところであるが、ゲームブックが本である以上、本そのものの性質を考えなくてはいけない。普通本を読むときは、両手で本を持つ。手を離してしまったら、本は閉じられてしまう。これはゲームブックにとって強制終了を意味する。少なくとも興をそがれるだろう。ゲーム機のコントローラーやパソコンのマウスは少し手を離したところで、ゲームが終了と言うことはない。ゲームブックではメモが取りにくいという原因は、こういうところにあるといえる。

 ゲームブックが本であるということの長所については、以前書いたように主人公と読者との距離が近いこと、過程や結果を楽しむことなどがある。しかし上記のようにゲームブックが本である以上、本の弱点がそのままゲームブックの弱点になっている。本を落としてしまった時に、読者が瞬時にどれだけバックアップが取れるか、ゲームブック製作者は気を配るべきである。次回は本を落としてしまった時のバックアップについて、製作者はどういう工夫を凝らすべきか考えてみたい。

2002年1月8日
2002年2月8日修正


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