イアン・リビングストンのインタビューから(その2)


 イアン・リビングストンのインタビューを読んでいると、当時の自分を思い出す。
 私がゲームブックを知ったぐらいの時、ほぼ同時にTRPGに興味を持った。しかし実際にTRPGをプレイしたのは、それから5年後のことだ。実際に遊んだこともないのに、興味をそれだけ保てたのは、FFシリーズがTRPGに興味を持つような内容であったからだ。FFシリーズからTRPGに興味を持った人間は、私だけではないだろう。私は彼のインタビューの中に、D&Dの紹介の次にゲームブックを手がけている、という記述を見つけた。FFシリーズはTRPGの普及に、少なからず貢献したであろう。

 ウォーロックという雑誌があった。ウォーロックの魅力はゲームブックの記事であった。さらにゲームブックからTRPGを知るきっかけが用意されていて、ゲームブックとTRPGをつなぐユニークな雑誌であった。今もう一度、ゲームブックとTRPGのお互いが、手を組んで盛り上げていく体制ができないものかと思う。私などは正直、TRPGのシナリオは高価で買う気はしない。しかしシナリオをゲームブック方式に書き改めることによって、買った本人もプレイヤーとして楽しむことができる。そんな作品だったら私は購入を検討する。ただ、ゲームブックを直接シナリオにするにはいささか工夫が必要だ。背景や舞台、登場人物の説明が中心になるだろう。
 ……まぁこういったことは無理にする必要はない。ウォーロックが存在した時から、ゲームブックはTRPGより自由度に劣るから、TRPGのほうがゲームとして優れている、という意見は少なからずあった。人の意見はそれぞれあって、各自が自分の意見を貫いていけばそれでいい。私のこの意見は、そうなれば面白いことが一つ増えるかな、なんて軽い考えからきたものである。

 ゲームブックに話を戻すが、FFシリーズみたいなものを日本人作家が作れたらいいなと思う。ひとつの世界観を元に、何人かの作家がゲームブックを作るのだ。FFシリーズは途中からそういった試みを盛り込んでいった。例えば「盗賊都市」と「死のワナの地下迷宮」に出てくる兄弟の領主、そしてトロールの家族。「雪の魔女の洞窟」では「火吹き山の魔法使い」と「運命の森」とを、地理と時間を意識して登場させている。ここまではイアン・リビングストンの作品だが、スティーブ・ジャクソンも「ソーサリー」シリーズにおいてキャンペーンを成功させているし、「モンスター誕生」において「火吹き山の魔法使い」「バルサスの砦」に出てくる魔法使いの名前を出している。こういったリンクは、読者にとって刺激となる。

 ……今書いていて気がついたことがある。「火吹き山の魔法使い」は唯一、リビングストンとジャクソンの二人がリンクを重ねている作品である。リビングストンは火吹き山の地理に、ジャクソンは魔法使いにリンクさせている。ひょっとすると、リビングストンは迷路の部分を担当し、ジャクソンは登場人物を担当していたのではないだろうか。「運命の森」のループ構造は「火吹き山の魔法使い」と酷似しているし、「火吹き山の魔法使い」に出てくる、サボり癖のある魔法のスコップとつるはし、なぜかボートを作っている骸骨などは、ジャクソンの匂いがする。
 以前から「火吹き山の魔法使い」はどのように分担して作られたのか気になっていた。ひょっとするとこれで説明できたのかもしれない。(注)

 自分の思い出も盛り込んだために、全体的に文章が散漫になってしまった。申しわけない。
 イアン・リビングストンのインタビューは、やはり第一級の資料であり、非常に刺激になった。ゲームブックは彼にとって、インタラクティビティ(双方向機能)の表現方法のひとつであった。彼が新作を出したら、ぜひ読んでみたいと思っている。

(2002年4月14日)

 (注)後日セプタングエースさんから、次のような指摘がありました。
>新しく載ったコラムも読ませていただきました。『火吹山の魔法使い』の成立
>過程については、『タイタン』のまえがきにも記されていますが、前半(地底
>の川より前)をイアンが、後半(川以降)をスティーブが書いた、というのが
>公式に知られております。それを承知された上での推理なのでしょうか。もち
>ろん、最終的な調整をどちらがしたか、という問題など、いろいろ考えること
>はできますね。

 全く知りませんでした。「タイタン」は持っているので、ちゃんと調べればわかることでした。
 ご指摘ありがとうございました。


 追記
 兄弟の領主がでてくる作品は、「死のワナの地下迷宮」と「迷宮探検競技」です。自分のコラムを読み返していて間違いに気がつきました。お恥ずかしい限りです。このコラムは間違いが多いので書き直したいぐらいです(泣)。

(2002年11月29日)


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