ハリウッド映画の法則


 なんといっても映画にとって一番大切なことは、見たことのない映像を観客に見せることである。それが映画のクライマックスシーンとなる。
 ハリウッド映画の脚本は一定の法則にのっとって制作されている。これによって観客の感情をコントロールし、クライマックスシーンを盛り立てることができるというわけだ。
 そんなに難しい法則ではない。指示に従ってイベントを配置すれば大筋ができあがる。あとは整合性に注意すればいい。これでほぼストーリーは完成する。


 ハリウッド映画の脚本は三幕に分けられている。

第一幕・主人公がストーリーにかかわってくる
 主人公の環境・葛藤・欲求などが描かれる(内的な要因)。
 ストーリーにかかわるきっかけ(事件など)が示される(外的な要因)。
 内的な要因と外的な要因が組み合わさって動機となる。主人公が一貫してとる行動の根源、あるいは主人公を突き動かすものが動機である。

第二幕・物語が変化する
 主人公の行動は簡単に実らない。困難を解決しても、それ以上の困難が降りかかってくる。そしてこれが観客にクライマックスへの期待を抱かせることになる。
 物語が大きく変わる仕掛けが発動する。
 その仕掛けのひとつは、主人公の動機の変化である。主人公が本当に必要としていたものを発見し、主人公の動機がそれに変化する。
 もうひとつは、状況の変化である。クライマックスまでのカウントダウンが始まる。これによって主人公と観客は強迫観念を共有する。
 また後々にクライマックスにかかわってくる仕掛けや小道具などを、どこかに提示している。

第三幕・解決する
 今までみたことがない映像をクライマックスにもってくる。
 主人公は何かを決意する。主人公が進んで行う、という点が重要視される。
 クライマックスで終わってしまっては、観客は昂ぶった気持ちの持っていきように困ってしまう。実は最後のシーンには観客をクールダウンさせるという目的がある。これによって観客は映画が終わったあとに席を立ちやすくなる。


 ここからは私の考えを書こうと思う。

 映画はクライマックスを劇的に演出するために組み立てられている。
 そしてクライマックスから逆算して色々なものが作られていると私は思っている。カウントダウンやサイドストーリーの存在はその一部である。
 しかしながら観客はクライマックスの映像について知らない。そこで主人公に動機を持たせ、主人公を取り巻く状況を説明し、主人公を映画のガイドに仕立てていく。
 ちなみにきっちり30分で第一幕が制作されているようである。

 やがて状況が大きく変わる。同時に主人公の動機が変化する。動機の変化には観客の目からみてもっともな理由がないといけない。
 ここからクライマックスを盛り上げていく流れに突入する。主人公の動機の変化は、まさにこの流れに観客を叩き込むためにあるといっていいだろう。
 そして主人公と観客が強迫観念を共有させるように仕向けていく。おそらく感情移入はここから生じてくるのであろう。

 これまでクライマックスとは見たことのない映像をみせることだと書いたが、爽快感を伴う映像であれば代用が利くかもしれない。
 クライマックスのあとは主人公の動機をクリアすることになる。達成感を強調すれば、動機はクリアされる。


 売れるものには、ちゃんとした構造がある。クライマックスシーンを見たことがない○○と置き換えれば、ハリウッド映画以外にもある程度応用が利きそうである。物語やゲームのシナリオを自作する時の参考になれば幸いである。

(2002年6月25日)


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