ゲームと物語の交差点その3 偶然について


 ゲームブックは、物語とゲームが入り混じったような作りになっている。
 そもそもゲームにはゲームの、物語には物語の面白さがある。そしてそれぞれに大きく異なった特徴が見られる。
 それらから共通点と相違点を明らかにし、うまく組み合わせることができたら、面白いゲームブック(テキストゲーム)ができるかもしれない。
 私は物語やゲームの作成についてのノウハウを持っていないが、少しでもそれらに迫りたいと思っている。私のコラムがゲームブック作りの参考になれば幸いである。


偶然について

 物語の中に「偶然」はほとんど存在しない。
 いや正確に表現するならば、偶然によって障害が発生することはある。しかし偶然によって物事が解決することなどあってはならないことである。

 面白いストーリーには、演出の効果が計算されている。
 もし偶然によって物事が解決するとどうなるか。
 たちまち説得力が失われ、読者は冷めてしまう。

 ところでゲームの中での偶然は、多彩な展開を巻き起こすものと考えられている。
 物語とゲームでは、偶然の評価に違いがある。これをうまく組み合わせる方法はないだろうか。

 例えばこのような方法が考えられる。
 たび重なる偶然によって新たなエピソードが次々と生じ、後々ストーリーの流れに影響を与える。主人公の手の届かない範囲でエピソードが偶然に生じ、ゲームの展開を毎回違ったものにする。それは物語とゲームの融合の、ひとつのかたちだといえるだろう。
 「火吹山の魔法使い」においてサイコロを振る時は、「勝利・敗北」または「成功・失敗」の結果しかなかった(例外もある)。
 これを継承した多くのゲームブックもそうである。偶然が多彩な展開を生んでいない。ゲームブックの潜在力はこんなものではないはずだ。ゲームブックに偶然を取り入れるなら、多彩な展開を取り入れると面白さが増すだろう。

 「偶然」から話は外れるが、ゲームブックの中で魔法を扱っているものはわりと人気が高い。分岐が多く、多彩な展開がみられるからであろう。
 また「弟切草」などのサウンドノベルには、一度読んだだけでは登場しない選択肢が存在する。これが見かけ上、多彩な展開を生んでいる。偶然以外にも多彩な展開を生むことができる例のひとつだといえる。

(2002年8月31日)

#推理小説では、ハプニングによって完全犯罪が崩れるという展開が存在する。これもまた偶然がもたらす面白さのひとつとして捉えていいのかもしれない。(2002年10月11日)


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