作りこみ


 ネットで検索していると、色々と参考になるサイトが見つかってくる。
 なんでも一人の力でやるには限界があるので、こうしたサイトを紹介しながら私の考えを述べていこうと思う。

 高性能ゲーム機が登場し、実車をモデルにしたカーレースゲームが発売されている。
 その中から最も評価されているゲームがある。グランツーリスモ(以後GTと略す)というゲームだ。
 高性能ゲーム機は情報の処理能力が高く、GTは実車に比べて遜色のないできであるという評価を受けている。
 私はGTをやったことがないが、この種のゲームはそれなりに画期的なものだと認識している。

 コスティキャンのゲーム論では、「プレイヤーのことを忘れた」リアリティは、プレイヤー同士の交流を阻むものと書いてある。
 しかしながら家庭用ゲーム機のゲームは基本的に一人遊びである。よって一人で遊ぶぶんにはプレイヤー同士の交流について特に考えなくてよい。
 また入力装置(ハンドルやアクセルなど)は受け入れやすく、慣れやすい。それでいて上手い下手が現れて奥深さを感じる。
 そしてゲーム機自体の処理能力の向上。ある意味、珍しくリアリティが売り物のゲームが成立したといっていいだろう。

 今でこそ私はGTを評価しているが、少し前まではそれほど評価をしていなかった。これまで実車をモデルにしたカーレースゲームの売りは、普通の人では所有できない高級車をコレクションすることが一番の喜びであると思っていた。この認識が変わったのは、あるゲーム制作者の言葉であった。その言葉は「作りこみ」である。

 桝田省治という人がいる。ゲーム制作者である。
 彼のインタビューをぜひ読んでいただきたい。
 彼の考えを私なりに要約してみた(ちなみに彼と彼のチームは、カーレースゲームを作っているわけではない)。

・一本道のお話はちぐはぐなモノになりやすい
・成功の理由は、作りこみである
・作りこみとは、人を楽しませようというベクトルの情報量の多さ、密度をさす

 GTの制作者のインタビューも紹介しよう。そのインタビューを読んでみたが、GTはかなり作りこまれたゲームであると私は感じた。
 作りこまれたゲームの中には、入力装置が複雑になったものもあるだろう。しかしGTはカーレースゲームであり、どれだけバージョンアップしても入力は変わらない。GTはこれまでゲームに興味のなかったユーザーを動かし、大成功を収めたゲームである。

 私はゲームブックにも、作りこみが必要であると思う。作りこみは面白さを生むだろう。
 それでいて覚えることは、簡単なものが望まれる。
 火吹山の魔法使いは実にシンプルなルールだった。とはいえ最初は戦闘ルールなどを覚えきれずに、戦闘が起きるたびに私はルールを見直していた。これ以上難しいルールは、初心者に対して高いハードルになるだろう。
 作りこみのいい例は、パンタクル1.01の魔法ルールである。「ゲームブックのやり方は指定されたパラグラフを読むということ」を理解できれば、簡単に魔法を選択することができる。そして数あるゲームブックの中でも最も多彩な変化を楽しむことができる。また平常時、緊急時、戦闘中それぞれ魔法が使えるという万能さもある。加えて何より最初から多くの魔法が使えるというのは楽しい。
 上記の理由から、パンタクルの魔法ルールはゲームブックの中でも、最も優れたシステムのひとつだといえよう。
 これからゲームブックを作ろうと思うものは、こうした優れたシステムを継承していくべきだと思う。要するに面白いものは、パクってしまえばいいのだ。(敬称略)

#桝田省治のコラムはどれもたいへん参考になるものばかりだ。
 リンク先に飛んで、実際に読んでみて欲しい。

(2002年10月20日)


コラム欄に戻る

TOP