
アッテンボローの僚友たち
同盟軍第13艦隊(ヤン艦隊)は個性派ぞろい。
朱が朱を呼びなんとも素敵なお祭り集団になっている。(一部例外あり)
ここでは、その素敵な面々とアッテンボローとの関係を勝手に考察してみる。
2.ユリアン・ミンツ
ユリアンとアッテンボローとの関係も、けっこう長い。ユリアンがヤン家の一員となったときにはヤンとアッテンボローはすでに旧知の間柄だったのだから、ユリアンと出会ったのも、当然早かっただろう。
だから、アッテンボローはキャゼルヌと共に、誰よりもよく、ユリアンのヤンに対する気持ちを理解していたと思う。
そして、ユリアンの能力を高く評価していたのも、確かだ。
ヤン亡き後、フレデリカを政治的指導者に、ユリアンを軍事的指導者に、という体制をつくることを幹部に最初に提案したのはアッテンボローではなかったか、と私は思っている。
その理由として、彼はまず、革命家だからだ。
ヤンの死に対するショックは、それこそ人一倍だっただろうし、同時に将来への不安も強く感じたに違いない。
けれど、それ以上の思いで、ユリアンの気持ちを察していただろうし、ヤンの思想をつぶしたくなかったと思う。
そのためには、ユリアンが必要だ、と考えたのではないだろうか。
以下、本文より・・・
――――
「ヤン・ウェンリーなきヤン・ウェンリー軍は、単なる流亡の私兵集団になりさがった。いずれ内部分裂を生じ、自滅するであろう。流血をともなうか否か、遅いか早いか、単にそのちがいがあるだけである・・・・・・」
ヤンの死が公表された後に、そのような観測が流れることになったのは当然だった。ヤンの軍事指導者としての地位をユリアンが継承する旨、キャゼルヌが発表した後、動揺はむしろ増大したように見えた。反応を承知の上で、キャゼルヌは発表したのである。疑問、反発、さらに冷笑の声が噴きあがった。乱気流が、むかうべき方向を見出したわけであった。
「ユリアン・ミンツがヤン・ウェンリ−の養子だからといって、なぜ彼を軍事指導者としてあおがねばならぬのか。彼より階級も高く武勲も多い幹部たちが幾人もいるのに、なぜユリアンのような・・・・・・」
ダスティ・アッテンボローが、辛辣な一声で常識論の壁に穴をあけた。
「なぜユリアンのような亜麻色の髪の小僧に兵権をゆだねるかって?おれたちにとって必要なのは過去の日記ではなくて未来のカレンダーだからさ」
「ですが、彼はあまりにも若くて未熟ですし、第一、皇帝ラインハルトと同一視するわけにはいきませんぞ」
「それがどうした?」
――(徳間文庫「銀河英雄伝説・乱離篇」より)
そして、彼自身は「黒幕」として、ユリアンを支える道を選んだのである。
ユリアンも、そんなアッテンボローを強く信頼していたことは間違いないだろう。
帝国との共存が決まった後、民主共和制の行く末は、この二人の肩にかかっているといっても過言ではないだろう。
つづく・・・?
1.ヤン・ウェンリー
いうまでもなく、ヤン艦隊の大黒柱。「奇跡のヤン」「魔術師ヤン」などなど同盟軍随一の智将(唯一、と評した人もいたが・・・)、である。この人とアッテンボローとの関係は士官学校時代にまでさかのぼる。ヤンが寄宿舎の巡回当番をしていたとき、門限破りのアッテンボローが塀を乗り越えて進入しようとしているのを発見。それを苦笑して見逃してやったことから交友が始まった。
そんなことから、ヤンにとってアッテンボローは、付き合いの長さもあって、キャゼルヌと同様気の置けない友人だろう。
アッテンボローのほうはどうだろう。やはり、精神的波長の合う友人、であり、尊敬に値する先輩だと思う。ヤンが地球教徒の兇刃に倒れた後、強すぎるショックを受けながらも民主共和制の存続のためには(=ヤンの思想のためには)、と考え、幹部たちとともにフレデリカを政治的指導者、ユリアンを軍事的指導者とする体制を作り上げた。このときアッテンボローのはいた名言がある。
アッテンボロー曰く、「人間は主義だの思想だののためには戦わないんだよ!主義や思想を体現した人のために戦うんだ。革命のために戦うのではなくて、革命家のために戦うんだ。おれたちは、どのみち死せるヤン提督を奉じて戦うことになるが、その場合でも、この世に提督の代理をつとめる人間が必要だ。」
まさにこれがアッテンボローのヤンに対する評価だろう。「伊達と酔狂」が向かう方向、それが、ヤンなのだ。