「OH〜NO〜!to Budですねぇ・・・うっ・・」

背後に殺気を感じた博士は、おそるおそる後方を見る。
「博士・・・話の続きをしまようか」


吏が指の関節をゴキゴキ鳴らす。そして博士の肩をポンッ叩くと、にんまりと満面の笑みを浮かべた。

「Ah〜・・・えっとMr.つかさ〜。暴力はいけませんねぇ」

ひきつった笑顔で吏に講義する博士は、少しばかり後ろによろめいた。

「さぁ!!あの薬、本当は何なんです?!」


吏が博士にくってかかる勢いで叫んだちょうどその時、廊下の向こう側から何者かが走ってくる。

『Doctor!!』


なんとも発音の良い“ドクター”という言葉に、吏は「外人か?」と目を凝らしてみる。

長身の若めの男・・・黒いスーツにダークカラーのレンズの眼鏡をしている。

そして左頬にホクロがある。

「・・・ん?」

吏が顔をしかめた。どこかで見たことある顔に姿・・・。ついさっきまで目の前にいた人物にそっくりである。

「ディック??」

男が吏たちの目の前に走り寄ってきた。吏は少し違和感を感じて、小首をかしげる。

走ってきた男はディックであるような、でもどことなく老けているような・・・ディックより頭良さそうな気品あふれる
紳士で・・・。」

Sorr,Dr.Elbertすみません、ドクター・エルバルト・・・I asked my  Brother私の弟についてお尋ねしたいのですが・・・』

再び発音の良い英語が男の口から飛び出した。博士が「OH!」とアメリカンなりアクションをとり、男のほうに体をよじった。

吏からのがれようとする魂胆は、見え見えである。

Where is Dick?ディックは どこに?

真面目そうな瞳の奥に、何かギラギラ光る野心のような物を感じられる男だ。

「えっ・・・?もしかしてディックのお兄さんなんですか?」

ふいに吏が声を発す。しかし次の瞬間、「日本語、通じないかもしれない」ということに気づきあたふたしだす。

男はというと、不思議そうに吏をじぃっと見ている。

Docter,who is this?博士、こちらはどなたです?

男が口をひらく。吏が名乗る余裕もなく、博士が対話し始める。

This is Mr.Tsukasa Oniyaraiこちらは、儺居 吏。彼はIFC.O、特殊能力部隊のHe Is IFC.O‘s leader of Special Forces.リーダーです。

Oh,you‘re...so...へぇ、君が・・・I hearing a rumor about you everyday.君のうわさは毎日耳にしているよ

「えぇっと・・・博士・・・」


英語があまり得意ではない吏は、訳も分からずに、とりあえず笑って見せながら博士に助けを求める。

Im very happy to make your acquaintance.お近づきになれて大変うれしく思います。My name is Tateshina・Ishmel・Adelphia.私は、立科・イシュメル・アデルフィアと申します。

「君のこと、バカっぽい奴だと言ってるよ〜」

「なっ!!なにぃ?!」

「No!!ドクター、私はそんなこと一言も言ってませんよ!!」

「あれ・・・日本語...」

急に日本語に切り替えたイシュメルに、“日本人?”という疑いのまなざしを向ける吏。
吏に変な目で見られるイシュメルは、“ああ!!”と声を上げ、後ろ頭を掻いた。

「すみません。私、ディックの兄のイシュメルと申します。もしかして、日本語は話せないとお思いになられました?
 私、アメリカにいた期間が長くて、つい英語を使ってしまうんです」


「そうなんですか。いやぁ、良かった...俺英語苦手で...」
ホッと一安心した吏は照れながら、“いやいやどーも”のポーズをとる。少々オヤジ臭い。

「ディーックのことを探しているんだったねぇ。よし、僕がガイドしましょーう!では、Mr.ツカ〜サ、また会えることを
楽しみにしてるよ。グッドラック!!」

「弟ともども以後よろしくお願いいたします」

「アディオス!!君に幸あれ〜っ」

吏からどんどん離れていく二人。吏もにこやかに二人を見送る。


「―――って、ちがーう!!その場の雰囲気になごんでしまった...こっのぉ――博士ぇぇぇぇぇ!!」

『ふわはははははぁーーー!!Mr.吏よ、君はまだまだヤンガーだねぇ』

どこからともなく博士の声がこだまする。吏が博士たちのあとを追うが、二人の姿はすでになく、博士の、人を小バカにした
ような笑いだけが残っていた。





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