P.M.8:00  チャコールグレー・コーストに銃声が響き渡る。

『どうだ?!ったか?!』
銃声に混じり、多国籍軍内からそんな声が聞こえる。

「そんなんじゃ、私は倒れないわよ!!」

『ぐはっ!!』『なんだ!!この女!!』
兵士たちが次々と朔羅のケリを喰らい、そしてその場に蹲(うずくま)る。

「重力でケリを強化してるから、腕でガードすると腕が折れるわよ!!あ、でもガードしないと内臓でちゃうかもね〜♪」

『すごい・・・ケリだ・・・あんなケリ・・・人間じゃない・・・』

「ほらほらほら〜!!次々とかかってきなさい!!もうここ臭くているのもイヤだから、こちとら早く帰りたいのよ」

首をこきこきと鳴らしながら、後に引いてる兵士たちを見下ろす。

『ガキが・・・!!なめやがって!!』

 ―ガウン
海岸から、鈍い音がする。

「あらまぁ。あの潜水艦、大砲もついてたんだ」

『目標確認!!発・・・』


―ドン!!
合図を待たずに、爆音が絶え果ての岸に鳴り響く。

『なんだ!!?暴発か!!??』

突如の出来事に、兵士も指揮官も動揺の色を隠せないといった様子である。

「そないな危ないモン、日本に持ってきたらアカンがな。それに、それをたった二人のガキ相手に使うんも、アカンな〜」

『・・・ど、どんな手品を使ったか知らんが、攻撃の手を休めるな!!攻撃を続けるんだ!!』

「大人って頭固いんやな〜。わいのドコをどうみたら手品師に見えるんや?」

「あんたはどっちかっていったら手品師より漫才師よね」

「ん〜。漫才師。いい響きや〜」

なんだかいい気分になってる儘を見て、言うんじゃなかったと朔羅が後悔する。

「それより、一気にカタつけるわよ。早くこのバカとコンビ解消したいし」

「それはこっちのセリフや!!このオトコ女!!」

「あ〜!!また言ったわね!!なんならここでアンタも倒してもいいのよ!!」

「へっ!!返り討ちにしてやるさかい!!どっからでもかかってきー!」

『・・・何やらケンカが始まってますが・・・』

目の前で急に展開された朔羅と儘のバトルに、兵士たちは呆気に取られている。

『今だ!!早く撃つんだ!!』

指揮官の怒号で再び銃声がなり始める。


―ドンッ!

「ったく、五月蝿いわね!!」「五月蝿いやっちゃな!!」

「・・・私ったら、バカに乗せられて本来の目的を見失うとこだったわ」

朔羅が?みかかってた儘の手を振り解く。

「儘はどうでもいいけど、私はウサ耳で清掃なんてイヤだから」

「わいかてイヤや!!」

「あ、そう。じゃあとりあえず、こいつらブチのめしましょうか」

「あんたと一緒っつーのが気に食わんが、しゃーないな」

「気に食わないのはお互いサマ。私はあの能無し共を熨すから、あんたはあの戦艦デカブツを破壊しちゃってちょーだい」

「命令すな!!が、まぁええわ。よう見とき。わいの技術テクを!!」

「燃えるのは結構だけど、中で操作してる兵士まで殺すなよ」

「だから命令するなっちゅーねん!!」

「じゃあ、いくわよ!!」

『奴等、ま、またこっち向きました』
『ひるむな!!撃て!撃つんだ!!』

―ガン ガン


「無駄よ。私の周りには斥力が発生させてある。もうあんたたちの攻撃は私に届かないわ」

十字火の中、朔羅が仁王立ちをしている。

「じゃあこっちからいくわよ〜」

そう言って朔羅が両手を目線まで上げ、指を組み始める。

「“重力圧縮グラビティー・コンプレス!!”」

朔羅が叫ぶと、さっきまで宙を縦横無尽に飛び交っていた銃弾が、突如地面へと方向を変えていく。

『な、なんだ・・・体が重っ・・・』

「早く降伏しないと潰れちゃうわよ〜」

どんどん膝を折って行く兵士たちを前に、朔羅が口に緩い弧を描きながら言う。
「怖ぁ・・・。さぁてと。わいも潰されんうちにとっととお仕事しますか」

潰れている兵士たちを横目に、儘が戦艦の前まで進んでいく。だが、戦艦のほうも黙ってはおらず、儘に向かって砲撃を始める。

「だーかーらー。そないなもんこっちに向けんといてーな。わい怖ぁーてかなわんわ」

儘もまた両手を目線まで上げ、指を組む。

するとその瞬間、さっきまでまったく火の気などなかったチャコールグレー・コーストが、突如火の海と化した。

『!!!?』

「“自然発火”ちゅーてな。この海岸に流れ着いてるガソリンの炭化水素利用して、空気と混ぜこぜして密封し、温度を上げる。すると
さっきまで火の気がなかったとこでも火事が起こるっちゅー寸法や。たかが火事だってあなどっちゃアカンで。わいの炎は、鋼鉄まで
溶かしてしまうさかい。はようそこからでーへんと、あんさんまで火が行きとどいて丸焼きになるで〜・・・はっ!!そないな丸焼き
もって帰ったら、わいがリーダーにウサ耳つけられるやん!アカン!それはアカン!!お願いや!はよう降伏して〜!!」                                                                              

「やっぱりバカはバカか・・・」

すでに降伏した兵士たちを縄でグルグル巻きにしながら、朔羅が呟いた。

 >>P.M.8:30 儘・朔羅 任務完了


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