和紙

□■毒

最近はダイオキシン問題が各地で起きていますね。日本の対策は欧米に比べて10年は遅れています。

ところで一般に毒には2種類あります。
毒(毒薬:poison)毒素(toxin)です。
両者に厳密な区別は無いそうですが、だいたい前者には人間が作り出したものが含まれ、後者には生物が作り出したものが含まれます。どちらが毒性が強いでしょう? 圧倒的に後者です。

毒の強さを表す単位
LD50(半数致死量:半数の者が死亡する量)で見てみると。以下の数字はng/kg(体重1kgあたりのナノグラム(10億分の1g))で数字が少ないほうが毒が強いことになります。

あの地下鉄サリン事件等で使われたサリンが20万〜150万、VXガスが2万〜3万です。ところが、今問題になっている
ダイオキシン類(脚注参照)は600。人間が作り出した最悪の毒といわれるゆえんです。

一方、毒素の方はこれがすごい!
あたると死ぬから鉄砲鍋などと言われる、ふぐの毒テトロドトキシンで800、ボツリヌス菌の毒素で10、赤痢菌の毒素はなんと2です。
O157のベロ毒素は赤痢菌と同等の強い毒性があり、赤痢菌の毒素を作る遺伝子を受け取ったのではないかと言われていますが、すごい毒なのですね

歴史上の人物も多くが毒で死んでいます。有名なところで、
クレオパトラ:蛇の毒
ソクラテス :悪法も法なりと言って毒人参の毒をあおった話は有名ですね。
ナポレオン :砒素中毒。壁紙に使われていた砒素を含む顔料シェーレグリーンが原因と言われています。
韓非子   :鴆毒(チン毒)。鴆は中国産の毒鳥で、肉・羽に猛毒を含み、それを浸した酒を飲むと死ぬといわれています。中国の話にはよくこの鴆毒が出てきます。

日本では
徳川家康  :鯛のてんぷらを食べて死んだといわれています。何にあたったのでしょうね。
島津斉彬  :水あたり。毒殺説も根強いですね。
松尾芭蕉  :トリカブトによる毒殺?
        なぜ彼の毒殺説があるのかと言うと、その背景に芭蕉隠密説があります。

そうそう、真偽のほどは不明ですが、
ローマ帝国は鉛の毒で滅びたと言う説があります。
ローマ帝国時代、鉛の毒は認識されておらず、化粧品、食器、ジョッキ、上下水道など、あらゆる所に鉛が使われており、鉛を口にする機会の多かった上流階級に流産や死産が多かったとも、多くの皇帝が鉛中毒で精神に異常をきたしていたなどと言う話があります。

実は日本でも江戸時代から明治時代にかけおしろいに
鉛白と言う炭酸鉛が使われ、役者や女性に鉛中毒が絶えず、また乳幼児が母乳経由で鉛を摂取し脳を冒される事が多く発生しています。将軍家、大名家などで幼児の死亡率が高いのはこのことが関係しているのでしょうか?

では、最後にもう一つ
植物にも毒を持つものが、沢山ありますね。中で意外に知られていないのが
スズランです。新芽がギョウジャニンニクという山菜に似ているため、間違えて中毒を起こしてしまうケースがあります。君影草とも言われるあの可憐さの中に毒があるなんて。
このスズランの根、鈴蘭根として利尿剤・強心剤に利用されます。薬と毒は量の違いなのですね。

(注)少し専門的になりますが、ダイオキシン類とはポリ塩化ジベンゾパラジオキシン(PCDD:通称ダイオキシン)とポリ塩化ジベンソフラン(PCDF)それにコプラナ-ポリ塩化ビフェニール(Co-PCB)の一部を指します。いずれも分子式が似ています。

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