和紙

蛇足:このしろについて
■□「大江戸長屋ばなし」(興津要:PHP文庫)に次のように載ってました。

このしろ:コハダの成魚”このしろ”は「このしろは初午ぎりの台に乗せ(柳多留)」という句もあるように、二月の初午の祭礼に供せられた。(注)
しかし、焼くと、人間を焼くような匂いがするといって、武士が切腹をする際の供魚とされ、縁起が悪いと嫌われていた。
ただ、一尾が二三文という廉価であったため、庶民の食膳にはのぼった。

また、河豚の項に
「河豚・このしろ、我等若年の頃は、武家は決して食せざりしもの也。(中略)河豚、毒魚をおそれて也。二魚とも卑賤の食物にて、河豚の価一隻銭十二文ぐらい。(中略)近畿は、二魚とも士人ももてはやし食うゆえに、河豚は、はしり一隻二百銅、三百銅にして、賤民の口へは思いもよらず。」(「塵塚談」1814年)

(注)
2001.04.20
このしろは安い魚だったんですが、初午の日には、これを二尾お稲荷様にお供えします。
子の代、つまり手習子の代わりという意味で、この日に寺子屋入り(入学)する子供の幸せを祈るお供えです。つまり、駄洒落です。^^;

■□「
江戸こぼれ話」(文春文庫)によると
物堅い武家では外食や店屋物は下品として利用せず、江戸っ子が熱狂した初鰹などもほとんど無縁の存在であった。そのうえタブーも厳しく、このしろ、ふぐ、まぐろ、西瓜などは食べなかった。

■□
国語大辞典(小学館)によると
このしろ:コノシロ科の海魚。全長約25センチメートルに達する。イワシ型で、体高が高く、背びれの最後の軟条が長く糸状にのびている。背側は青藍色で黒い斑点列があり、腹部は銀白色を帯びる。本州中部以南の沿岸に分布し、海藻の多いところにすむ。幼魚をジャコ、シンコ、10センチメートル前後のものをコハダ、ツナシなどと呼ぶ。美味で、鮨種などにする。
古来、焼くと死臭がするとして嫌われ、種々の俗信がある。
江戸時代の武士は「此の城を食う」に通じることから忌み嫌って食べない習慣があった。

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