和紙

蛇足
■□
今日は硬い「
」のお話です。

「もののけ姫」に出てきた"
踏鞴(たたら)製鉄"ってありますね。あの技術が日本刀などの製品を産んだのです。
たたら製鉄はふいごで風を送り、木炭を効率よく燃焼させ、原料の砂鉄を還元して鉄を作る方法です。

しかし、日本刀に使われる
玉鋼(たまはがね)を作るのは大変なのです。砂鉄10tで玉鋼が1t、そのうち上等の刀に使えるのは、たった100kgなんだそうです。おまけに炭を12tも使います。
このたたら製鉄が盛んだったのが中国地方です。そう言えば、種子島も盛んだったんです。ですからポルトガル人が鉄砲を伝えたとき、わずか1年あまりで技術を習得することが出来たのです。

人間が鉄を使用するのは、今から6,000年ほど前のことです。隕鉄(いんてつ)などを使ったのだろうと言われています。鉄鉱石からの鉄を作るようになったのは紀元前1,200年頃からだと言われています。

ところで、現在、私達が使っている鉄の起源って、知っていますか?
地球が誕生して10億年くらいの間は、地上に降る雨は酸性雨で、地中の鉄を溶かし鉄イオンとして海に流れ込みました。つまり鉄はイオンの形で海水に溶けていたのです。

地球は最初、空気中や水中に酸素なんてありませんでした。
それが
シアノバクテリアと言う、光合成をする藍色細菌が出て、酸素を盛んに出したのです。その酸素が海水中の鉄と反応して酸化鉄の形で沈殿して、今私たちが使っている鉄鉱床になったのです。
35億年前〜6億年前(ピークは25〜20億年前)のことです。その後、水中や空気中に酸素が増えてきて、酸素を呼吸する生物が発生したのです。

地球環境を劇的に変えたのがこのシアノバクテリア
です、そして今、劇的に変えようとしているのが人間なのです。前者は生物にとって良かったのですが、後者はどうでしょうか? 少なくとも人間自身にはよく無さそうですね。

このシアノバクテリアはミトコンドリアと同じように、植物細胞に共生して、
葉緑体の元になったとされています。

では、たたら製鉄に語源を持つ言葉を紹介します。
地団駄(じたんだ)を踏む
これは”地踏鞴(じたたら)を踏む"が音便変化したものと言われています。
踏鞴は普通、ふいごと呼ばれて、金属の精錬や鍛造をする時に、火力を強めるため、古代から使われていた簡単な送風機のことです。そして、大型の踏鞴を地踏鞴といいました。この地踏鞴で何本もの足が交互に踏み板を踏んでいる様子が、怒りや悔しさに地を踏み鳴らす格好に似ている事からこの言葉が出来たといわれています。この地踏鞴、”もののけ姫”に出てきましたね。

駄々(だだ)ここねる
子供があまえてわがままを言うことを駄々をこねると言いますね。
この駄々は地団駄が語源です。じだたら→じだんだ→だだ。なお、駄々は当て字だそうです。
「いやだ、いやだ」の略と言う説もあります。

踏鞴を踏む(たたらをふむ)
勢い込んで打ち込んだり、または突いた的がはずれたために、力があまって、から足を踏むことを言います。この格好が踏鞴を踏む時の格好に似ているからです。お芝居などで使いますね。

代わり番こ(かわりばんこ)
踏鞴を踏むのは熱く苦しいので交代で行わないと倒れてしまいます。この踏鞴を踏むための順番を番、人間を番子と言いました。つまり交代しながら仕事をする事を総称して番子といったのです。

次に鍛冶屋さんと鋳物工場に由来する言葉を
相槌(あいづち)
鍛冶などで師匠の打つ間に弟子が槌を入れることや、互いに槌を打ち合わす事を相槌と言いました。両者の呼吸が合わなければ良い物が出来ないので、他人の話に調子を合わせる意味になったのです。

頓珍漢(とんちんかん)
物事が行き違う事やちぐはぐな事、訳のわからないことを言いますね。
頓珍漢は当て字です。鍛冶屋の相槌の音が語源です。交互に打って、一緒に打つことはないことからです。

おシャカになる
物が壊れたりする事を「オシャカになる」といいますね。
この語源は4月8日の花祭り(お釈迦様の誕生日)からきているというのが有力です。
鋳物工場で、ふいごの火が強すぎると鉄が駄目になってっしまいます。これを江戸弁で「しがつよかった(火が強かった)」といったのが、4月8日と音が似ていたのでオシャカになるとしゃれたと言うのです。
金具職人と言う説もありますし、阿弥陀の像を鋳るはずのものが、釈迦の像を鋳てしまったという説も有ります。
でも、少し出来すぎた話のような。^^;

では、最後に「鉄」と言う漢字について。
会社名では”金”を”失う”に通じるというので「鐵」という古い漢字を使っているところがありますね。この「鐵」と言う字の右側は「まっすぐ突き刺す」の意味です。つまり「鐵」は金属製の武器を表す漢字だったのですね。
また、金偏に矢を書く会社もありますが、これは鏃(やじり)の意味になり、間違いだそうです。

目次へ


和紙