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五味
■□五味

今日は「五味」の話です。

人間の感じる味ですが、昔から、
(すっぱい)・(にがい)・(あまい)・(からい)・(しおからい)の五種の味と言われてきました。
ただ、この中で”辛い”は味覚ではなく痛覚によるものだそうです。辛味の成分が口の中の粘膜を刺激したものです。
そういえば、”渋い”と言うのも有りますね。これも辛味と同じで、触覚と痛覚が絡み合った感覚だそうです。

では、五味にならない。^^;
いえいえ、大丈夫です。
旨味(うまみ)が五番目の味覚です。この旨味は日本人(池田菊苗:脚注)の発見(1908年)です。旨味成分はグルタミン酸(コンブや野菜など)、イノシン酸(鰹節など)、グアニル酸(シイタケなど)ですね。英語でも”umami”と言うそうです。

このグルタミン酸とイノシン酸又はグアニル酸を一緒に使うと相乗効果で七倍もの旨味を感じることになるそうです。料理にはこの二つがうまく入るように工夫すると、よりおいしくなります。

昨年、米のマイアミ大でこの旨味を感じる受容体を、舌にある味蕾(みらい)の中に発見したというニュースがありました。これで、旨味は第五の味覚としてはっきり認知されたことになります。
ところで、なぜ日本人が旨味を発見したかと言うと、日本人は外国人に比し味蕾の数が多く、微妙な味に敏感だからだと言われています。

現在では
味覚センサーと言う装置が開発され食品会社での商品開発や品質管理にも利用されているようです。

この、味覚に異常をきたすのが
味覚異常です。近年、年間14万人のもの人がかかっている恐ろしい症状だそうです。
味覚異常は、亜鉛欠乏の初期症状です。肌や髪の毛などに影響が出たり、「立ち眩み」や「免疫不全」を引き起こすこともあるそうです。
現代人のように不規則で、栄養の偏った食生活を続けているとどうしても起こりがちな症状です。
以前テーマに取り上げた牡蠣が最も
亜鉛を含む食品です。心配な人は牡蠣を食べましょう。といってもそろそろ季節はずれですね。^^;

そうそう、五味はもう一つ、牛乳を精製する過程で順次に生じる五段階の味をさす言葉でもあります。つまり、
味・(らく)味・生酥(しょうそ)味・熟酥味・醍醐味です。
酪はヨーグルトで、酥はチーズというところでしょうか?
で、醍醐味ってどんな味なんでしょうね? でも、醍醐味って言葉だけは良く使いますね。

ところで、
世界三大珍味って知ってます?
フォワグラ、キャビア、トリュフ、の三つです。

フォワグラ(仏foie gras)はfoie:肝臓、gras:肥えたという意味です。
雄のガチョウにとうもろこしをポンプで無理に食べさす、と言うより押し込んで、肝臓を脂肪肝の状態にしたものです。かわいそうですね。
お酒を飲みすぎのお父さんの肝臓もフォアグラ状態じゃないですか?

キャビアはちょうざめの卵です。最近世界的に品薄だとか。でも、北海道で養殖を始めているそうですよ。

最後は
トリュフ。かしやならなどの木の根元の地中に自生する食用のきのこです。独特の強い芳香が特徴で、味よりも香りを楽しむ素材です。黒トリュフと白トリュフが有ります。豚や犬に探させるのは有名ですね。
ロッシーニは白トリュフをキノコのモーツァルトだと評しましたし、バイロンはいつも机の上に置いて創造性を高めたといいます。

では、
日本の三大珍味は?
江戸時代初期の通説で、「越前のウニ」「長崎のカラスミ」そして「知多のコノワタ」が三大珍味と言われています。

ウニは生殖巣(卵巣)を食べます。海栗・海胆と書くのは丸のままのもの、雲丹・海丹と書くのは塩漬けにした加工品を指します。

カラスミ(鯔子)は、ぼらの卵巣を塩漬けにして干し固めたものです。形が、「唐墨」(中国製の良質な墨)に似ているので、こう呼ばれるようになったそうです。長崎県野母崎産のものが最高級だとか。

コノワタは海鼠腸と書くようにナマコの腸で作った塩辛です。あの柔らかい食感と、口一杯に広がる旨み。酒飲みにはたまらない食べ物ですね。
今は岡山、能登産が有名です。

最近は、この三大珍味もいろいろ説が出てきているようですが・・・。^^;

注)
池田菊苗博士はドイツ留学の帰路、ロンドンに寄り、あの夏目漱石の下宿に2ヶ月ほど滞在します。彼は化学者でありながら英文学、漢文学の素養も深かったのです。孤独に苦しんでいた漱石はともに語り合うことのできる友人を得て心を慰められたといいます。

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