和紙

色 その1

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今日は色のお話です。

私は小さい頃から、人間は同じ色を見ても、みんな同じ色に感じているのか疑問でした。変でしょうか?^^;
遺伝子が同じ人間なのだから、多分同じ色に感じているのだろうと納得できたのは大人になってからでした。

しかし、最近の研究結果によると、人間には
赤の感じ方に2種類あるらしいと言う事がわかってきました。視覚細胞のたんぱく質の配列が一部異なり、そのため感じる波長が微妙に違って、ピンクと赤ほどの感じ方の違いが生じるんだそうです。

ところで、色はなぜ
3原色の組み合わせでいいのでしょう、考えてみると不思議なのです。
三原色なんていいますが、色は電磁波の波長の違いです。即ち0.38μm(紫)〜0.77μm(赤)と波長順に並んでいるのに、この中の3つの波長で色が全て出来るんですから。
じじつ、色に感じる細胞を4種類以上持っている生物もいるのです。

話は変わりますが、色の名前にはいろんな由来があります。でも、最近使われなくなってきました。大事にしたいですね。いくつか、挙げてみます。

えびちゃ色(葡萄茶、海老茶)
飛鳥時代、山葡萄のことを”えびかずら”と呼びました。
そして、”えびかずら”の熟した実の色をえび色と言いました(別に伊勢海老の色の意という説もありますが)。
色は赤みを帯びた紫色です。
そのえび色の茶がかった色がえびちゃ色で、黒みを帯びた赤茶色です。
最近女子大生の卒業式でえびちゃばかま(葡萄茶袴or海老茶袴)を穿いた人も多いですね。 

利休鼠(りきゅうねずみ)
北原白秋の歌「城ヶ島の雨」の中に♪〜利休鼠の雨が降る♪とありますね。
この利休鼠、千利休が好んだ緑色を帯びた暗い灰色です。当時、流行色になったそうです。
利休色と言うと、緑色を帯びた灰色。利休茶と言うと、利休色の茶色がかったものをいいます。

はなだ色(縹色・花田色)
このはなだ、青い露草の別名です。この露草で作る染料で染めた色が薄藍色の「はなだ色」です。
藍染めの紺に近い色です。
この色は江戸時代良く使われ、木綿を染めると丈夫で色落ちせず着物の裏地に使われました。
この「はなだもめん」が「はないろもめん」になり「花色木綿」の字があてられました。
落語の好きな人は「花色木綿」の落語を思い出すのでは?
若貴兄弟の花田という名字も元をたどれば露草の名前です。

烏の濡れ羽色
美しい髪の形容に使われる言葉ですね。烏は水に濡れると、黒い羽があやしく青紫色に光ります。
この青みのある黒色が「烏の濡れ羽色」です。「烏羽色」とも言われます。

江戸紫
限りなく黒に近い藍色の勝った紫です。武蔵野で取れる紫草で染められました。
歌舞伎役者市川団十郎が「助六由縁江戸桜」で使う鉢巻に使った事から大流行しました。

やまぶき色(山吹)
山吹の花のような黄色です。時代劇によく、小判をさして山吹色なんていいますね。
これは、小判の色がやまぶきの色に似ていたことから来ています。

うぐいす色(鶯)
うぐいす茶とも言われ、鶯の背の色に似て、褐色がかった黄緑色です。
え?変。そう、皆さんうぐいす色って綺麗な黄緑色を連想してません?
花札の梅の木に止まっている鳥の色を。花札の鳥はメジロです。うぐいすと間違えられているのです。
うぐいすは褐色かかっているのです。

のぞき色(覗)
変わった名前ですが、藍瓶(あいがめ)をのぞいた程度の色の意見で、うすい藍色をいいます。
瓶覗(かめのぞき)ともいいます。

セピア色
このセピア、コウイカ属のイカの名前で、その墨から取る顔料をセピアといいます。
この墨を使った料理がイカ墨スパゲッティです。
昔の写真の技術では表面を硫化処理して黄ばみの防止処理をしました。
その時の色が本当のセピア色(黒っぽい色)だったのです。
しかしなぜか、写真がカラー時代になった後、黄色く変色した写真をさすようになったといわれています。

マゼンタ (2006.04.04修正)
色の三原色の一つ、赤い色です。
1859年6月4日にフランス、サルデーニャ連合軍とオーストリア=ハンガリー帝国軍が北イタリアのマジェンタで戦いました(La Battaglia di Magenta)。戦闘はフランス、サルデーニャ連合軍が勝利します。フランス軍はナポレオン三世が率いており、この戦争での勝利によってイタリア統一を支持する代わりにサヴォイアとニースを獲得しました。戦いのすぐ後に
コールタールから発見された深紅色の染料にこのマゼンタの名前がつけられました。


インディゴブルー
ブルージーンズに使うインドの染料です。この染料は藍の葉を発酵させて作るもので害虫よけになります。
カリフォルニアのゴールドラッシュの時、俗説でガラガラヘビが青を嫌うという理由から、テント用生地のジーンズの色に使われたと言う説があります。

最後に色のつく言葉をいくつか紹介しますね。
Yシャツ
色がついてないって? いいえ、Yはホワイトの聞き間違いです。ホワイトシャツが正解です。

赤の他人
もともと赤という言葉に「まったく」のような強調の意味があります。
真っ赤なウソ、赤っ恥などに使われます。ですから、色とは関係ないのです。

黄色人種
皆さん自分の肌の色を黄色だと思います?
19世紀末ドイツ人の旅行者、リヒトホーフェンは中国を旅行したときなぜか、中国人に脅威を感じ、中国には注意が必要だと、しきりに力説します。注意信号は黄色。そこで中国人は「イエローピープル」にされたしまったと言う説があります。

青二才
「トドのつまり」と言う言葉がありますね。これは魚のボラが、オボコ、スバシリ、イナ、ボラと成長に伴い名前を変え最後にトドになります。そこから、おしまいとか結局の意味に使われます。
ところで、このボラ幼魚時代を「二才」と呼ぶ事があります。これが人間にも流用され、経験の乏しい人間のことを「二才」と言うようになりました。
さらに、”若い”とか”未熟な”と言う意味のある青が頭について「青二才」になったそうです。

紅一点
男性の中に女性が1人だけ混じっている状態を言いますね。これは女性を花に例えたのです。さて、何の花でしょう?
答えは、石榴(ざくろ)です。出典があるのです。中国の宋の時代の詩人、王安石の「石榴詩」です。

万緑叢中紅一点(万緑の叢中紅一点)
動人春色不須多(人を動かすに春色多くを用いず)

色のお話は、もっともっとあります。またいつか”その2”をやりたいと思います。

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