和紙

蛇足
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虫の音(ね)
日本人は虫の音を心地よく感じますね、ところが西洋人には雑音にしか感じないといいます。
虫の音を処理している脳の場所が違うからだそうです。
最近は都会で虫の音を聞くことは少なくなりましたが、日本人では昔から、いろんな虫の音を聞いて楽しんでいたようです。

江戸時代は、鈴虫、松虫、カンタン、クツワムシ、キリギリス、カネタタキなどをペットとして飼うのが流行っていました。
特に、寛政7年(1795年)に人工繁殖に成功して、「
虫売り」が盛んになったと言います。

「宵々や只八文のきりぎりす」という一茶(1763〜1827)の句が残っています。
江戸時代のお金は現在のお金に換算しにくいのですが、大雑把に言って、八文は80円〜200円くらいです。
掛け蕎麦(そば)1杯が16文です。

音の活用
日本人は虫の音以外にもいろんな音を楽しんできました。
〇有名なのが「
しし威し」ですね。水が溜まると竹の筒が倒れ水を出し、戻るときに「カーン」と言う音を出します。(注)

日本では昔から獣を「しし」と呼びました。「
猪の獣(いのしし)」が猪、「鹿の獣(かのしし)」が鹿。
今でも鹿のことを単に「しし」と呼ぶことが多いですね。アニメ「もののけ姫」の"ししがみ"も鹿のような格好でしたね。
というより、「しし威し」は漢字で書くと「鹿威し」ですね。^^;
唐獅子(からじし)も外国の動物という意味です。

水琴屈(すいきんくつ)
"つくばい"の下に、底に穴のあいた壺のようなものを逆さまに埋めます。
"つくばい"からこぼれて流れてきた水が、壺の中に水滴となって落ち、チーンという済んだ音を出します。
"つくばい"は茶室の入口などに低く据えた手水鉢(ちょうずばち)のことです。

鳴き竜
日光東照宮の薬師堂にあります。
龍の絵が描かれた天井の下で手を叩くとプルルと龍が鳴いているように聞こえることからこの名がついたといいます。
これは床と天井が音を反射する材料で作られているため音がこの間で反射を繰り返すためにこの様な現象が起きます。

能舞台
能舞台の床の下には、いくつもの甕(かめ)が置かれています。
演者が足で床を踏み鳴らすと音が甕で共鳴し、ドーンと言う重低音がでます。能では、これを効果音として利用しています。
室町時代以来使われているそうです。

■では、音に関する雑学を。
カクテルパーティー現象
酒場など混んでいる場所で、特定の人の声を聞き分けることが出来ますよね。
考えてみると不思議です。周りの人々の声も一緒に耳に入ってきて、鼓膜は全ての音に対して平等に?振動しているはずなのに。
この現象を「カクテルパーティー現象」といいます。
これは、音源の方向を検知して選別する能力と、脳で聴覚からの情報を処理する際に特定の音源の音を選別処理をする能力によるものと見られています。

パンタグラフ
フクロウは獲物を捕まえるとき、音を立てずに飛びます。
羽の前縁が櫛の歯のようにギザギザして後縁には、細かい羽毛が一面に並んでいます。
これにより、翼に沿った空気の流れが整えられて音を出す渦の発生が抑えられるのです。
騒音対策に頭が痛い新幹線は、パンタグラフにフクロウの羽根を真似た凹凸をつけて、騒音の減少を図っています。

サウンドチャンネル
よく、鯨が声で遠くの仲間とコミュニケーションを取っているといわれますね。
じつは、水中で音波の伝わる速度は、水温・水圧・塩分濃度などにより変化します。
そのため、音速が最も遅くなる水深1000m付近に音波が閉じ込められるという現象が起きます。
これをサウンドチャンネルといい、鯨もこのチャンネルを使っているのではないかと言われています。

サウンドチャンネルは場所によって、100〜1000mぐらいの深さに存在しています。
ダイナマイトを使った実験によると、オーストラリア西海岸からカリブ海まで、2万キロを4時間で音が伝わったといわれています。

テープの音が変に聞こえるのは?
自分の声は耳から聞くだけではないんです。一部の音は、頭蓋骨を伝わって聴神経に達します。
ですから、自分の聞いている声は、他人の聞いている声とは違うんです。低音部ほど顕著だそうです。

(注)
2001.06.08
「しし威し」は意味的にはもっと広く、田畑を荒らしにくる鳥や獣を追いはらうための装置で、かかし、添水(そうず)、鳴子、威し銃などを含むようです。
ですから、上で説明したのは「
添水(そうず)」という方がよかったですね。

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