和紙

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梅は学名を『プルナス・ムメ・シーボルト・エト・ツッカリーニ』(Prunus mume Sieb.et Zucc)と言います。ここにも、
シーボルトの名!
バラ科サクラ属の落葉高木です。英語ではJapanese apricotと言うそうです。

万葉人は好んで庭に植え、その花を楽しみました。この時代、花見と言えば梅です。
その色は雪かと見まちがうほどの真っ白な梅を好みました。ですから、約百二十首も読まれている
万葉集の歌の梅は白梅といえそうです。

ところが、平安時代になると、
枕草子に「木の花は梅、濃くも薄くも紅梅」とあるように、紅梅が好まれるようになります。

有名な歌に「
夜来香(いえらいしゃん)」というのがありますが、この香りは、暗闇にほのかに香り来る梅の香りだそうです。

さて、
梅の語源にはいくつか説がありますが定説はありません。
1.梅の古代語はムメで、ムは群がり咲くもの、メは可愛いもの。
2.中国産の薬用の烏梅(うばい)は中国読みで「ウメー」なので、そこから来たと言う説
3.「ウ」は熟(う)む、「メ」は実で、熟実「うむみ」の意味だとする説。
4.「ウ」は接頭語で、「メ」は梅の韓音だとする説などです。

梅の
原産は中国で、日本には奈良時代に遣唐使(630〜894)が中国から薬用(漢方薬)の「烏梅(うばい)(脚注)」という形で持ち帰り、当時から食薬として珍重されたものが最初と言われています。
同じ頃入ってきた梅の木は、日本の風土気候によって、中国の梅とは品質の異なる日本独自のものに生まれ変りました。
中国の梅は「
杏梅」、日本の梅は「酸梅」といわれ、日本の梅はすっぱく、有機酸の含有率の多いと言われています。

梅と言えば
梅干ですね。
でも酸っぱいのに非常に強いアルカリ食品なのです。梅干は体内で消化され、含まれるアルカリ性のミネラル分が働くためです。
「すっぱさ」のもとは、『クエン酸』という有機酸によるものです。
このクエン酸が健康に良い、さまざまな効用を発揮するのです。

梅の実に毒があるって本当?
青梅自体の中には、青酸化合物の1つである、アミグダミンというのが含まれているので、生食というのはあまり良くないようです。でも、青梅を梅干しに加工することによって、アミグダミンがベンズアルデヒドという逆に今度は抗菌パワーをもった成分に変わっていくそうです。

★昔から
梅干とうなぎは食べ合わせが悪いと言われていますが?
実は迷信ですが、そんな迷信が出来た理由は、いくつか説があります。

梅干が脂っこい食べ物をさっぱりとさせる性質があることから、折角のうなぎの栄養分が梅干によって消されてしまうと誤解されていたと言う説。

また、うなぎを食べた後に梅干を食べると、口の中がすっきりします。そこで、交互に食べるとうなぎの脂っこさをあまり感じることなく、つい食べ過ぎてしまうと言う説などです。

★ここで、昔から言われてるちょっとした「知恵袋」を紹介しますね。
頭が痛いとき・・・こめかみにちぎった梅干をはっておく。
肩がこったとき・・梅干をすりつぶして布に塗り湿布の様にあてておく。

理由は、筋肉が凝っている状態の「筋収縮性の頭痛」の場合、原理は肩凝りと同じなので、血行が良くなれば、頭痛が解消されます。そこで、梅干しをツボに貼った場合、PH1.7という強い酸が、皮膚を刺激し、ツボ刺激として作用して、血行が促進されるそうです。
でも、見た目は悪そう。^^;

★「Vol.35 紙」に出てきた
王仁(わに)が仁徳天皇の即位を祝って詠んだ歌に
「難波津に咲くやこの花、冬ごもり今を春べと咲くやこの花」と言うのがあります。
この花は梅です。そしてこの歌から名づけられたのが大阪市
此花(このはな)区です。

★「
梅の木学問」と言う言葉があります。
梅の木は生長が早いけれども、結局大木にならないところから、にわか仕込みの不確実な学問と言う意味です。
この反対が「楠学問」です。楠は生長は遅いのですが、着実に大木になるところから、進歩は遅くても、堅実に成長していく学問の意味です。
皆さんは、梅? それとも 楠?

(注)
烏梅(うばい
半熟の梅の実を火で黒くいぶしたもので、薬用や染料に用いられます。
"烏"は黒の意味です。同じ意味で用いられるのに、囲碁の事を"烏鷺(うろ)の戦い"と言うのや、黒くねじれたお茶の意味で"
烏龍茶(ウーロンチャ)"などがあります。


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