和紙

蛇足
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狸は、昔から、狐と共に、人を騙すとされてきました。
しかし、狐のずるがしこさと違い、なんだか憎めないキャラクターですね。
今日はそんな狸のお話です。

イヌ科の哺乳類で、東アジアに棲息します。
毛皮は防寒用に、毛は上等の筆に利用されましたが、肉のほうは、まずくて余り食べないそうです。
狸汁があるだろって? 狸の肉を大根、牛蒡(ごぼう)などといっしょに味噌で煮た汁ですね。
でも、ふつうは穴熊の肉が使われるそうです。(下の狸汁を参照)
わらべ歌の「あんたがたどこさ」でも、狸を食べちゃうんだけど・・・。^^;

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むじな"は穴熊で、狸とは違います。穴熊はイタチ科、タヌキはイヌ科。
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まみ"は狸や穴熊の類を指したようです。

狸の語源は剣術に使う篭手(こて)、弓道の弓掛、鷹匠の手袋などの総称「
手貫(たぬき)」に由来するといわれます。狸の皮がこれらに最適で、よく利用されたことによります。

狸寝入り
狸寝入りって本当にあるんでしょうか?
猟師が鉄砲で撃つと「コロリ」と倒れ、命中したと思って油断していると、逃げてしまうことから来ているようです。こんなことから「狸は死んだふりをして人を騙す」と言われます。
狸は、突然、激しく驚かされると「失神」のような状態、
擬死が起きると考えられています。
この擬死は全ての狸におこるわけではなく個体差があるそうです。

実は、アメリカの俗語に「
play opossum 死んだふりをする」と言うのがあります。
この
オポッサムも擬死状態になります。
以前テレビでやっていましたが、彼らの天敵、
オセロット(体長1mほどのネコ科の動物)が動かないものに興味を持たない習性を持っているのを利用しているのです。
テレビではオセロットは結局オポッサムを食べずに立ち去りました。
1時間ほどしてオポッサムは目を覚ましました。

オポッサムについて少し。
このオポッサムは北米から南米中部にかけて棲息する
有袋類です。
有袋類の故郷、アメリカ大陸で生き残った唯一の有袋類です。
多産で20匹の子供を産み13匹を育てます。13って半端ですね。お乳が13個しかないんだそうです。
3ヶ月で成獣になり寿命は2年といいます。多産と擬死が彼らを生き残らせたのでしょう。

そうそう、狸寝入りの英語は 
a fox's sleep。ヨーロッパには狸はいませんから、狐なんですね。

■狸に関する言葉
一つ穴の狢(むじな)、同じ穴の狢
漢書の楊ツ(よううん)伝に出てきます。
ある日楊ツは漢の宣帝の信任の厚い人と話していて、失言し官を解かれます。
「どうも良くない君主というのは昔から立派な大臣を認めず、小人を信任する傾向にありますね。秦の国が滅亡したのもそのためでしょう。秦の二世は趙高(ちょうこう)を信じすぎました。最近、匈奴の王が忠臣を殺し、今度は自分が殺されると言う事件がありましたが、これも同じでしょう。昔も今も、皇帝と言うのは、同じ丘で育った狢のように、変わるところがありませんな。」(古与今如一丘之狢)
丘が日本では穴になっていますね。

狸汁はもともとは精進料理です。
肉を食べられないお坊さん達が、せめて名前だけでもと動物の名前を冠したと言われます。
狸汁はコンニャク、ゴボウ、大根などを一緒に煮込んだ味噌仕立ての汁です。
他に「雉(きじ)焼き」は豆腐を焼いたもの。「鴫(しぎ)焼き」はナスの焼き物。
などがあります。

タヌキうどん
関東で揚げ玉ののったうどんやそばが「たぬきうどん」や「たぬきそば」ですが、関西で「たぬき」はキツネうどんのそば版。
関東の「きつねそば」=関西の「たぬき」です。随分違いますね。

眉唾(まゆつば)
インチキ臭いものや嘘っぽいものを「眉唾もの」と言いますが、これは狸や狐に騙されないための"おまじない"です。
これは狸や狐が騙そうとするとき、眉毛の数を数え、その人間の力量や値打ちを評価し、人の心を推察する能力をもつとてました。そこで、数を読まれないため眉に唾ををつけてごまかしたと言います。

他に、平安時代の豪傑、
俵藤太(たわらのとうた:藤原秀郷)が近江三上山での大ムカデ退治の時、このムカデの噴く炎で眉毛が焼けそうになったのを唾をつけてしのぎ、無事ムカデを退治したと言う話があります。そこから、眉唾とは荒唐無稽な話の意味に使われるようになったという説です。

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