和紙

色 その2
蛇足
□■色 その2

■昔、日本では、色を表す言葉は4つしかありませんでした。
その色は「
赤、青、黒、白」です。色を表す言葉に「-い」、「まっ-」が同時に付くものだけです。
緑い、藍い、紫い、などとは言いませんね。

しかし近世以降は色の表現も豊富になってきます。
青系をとっただけでも、青、藍、紺、浅黄、水色、空色、瑠璃色、青磁色。
他にも「色 その1」でお話した、縹(はなだ)、新橋、甕覗き、なども青系ですね。
これは日本人が色彩感覚が発達していて、中間色を好む性向を反映していると言います。

この傾向は
虹の色の数にも表れています。日本では虹は七色ですが、欧米では普通六色です。
藍と紫がいっしょにされています。

青と緑
野菜は緑色でも「
青物」と言いますが、これは青に若いとか、みずみずしいの意味があるためです。
また、自然界の緑は"青"と表現されることが多いようです。
青紫蘇(しそ)、青蛙、青柳、青田、青竹、青葉、青梅、青海苔、など沢山あります。

もう一つ変わった表現に「
緑の黒髪」と言うのがありますが、こちらも、みずみずしい黒髪、艶のある美しい黒髪と言う意味です。

日本で青と緑がはっきり区別されるようになったのは意外と新しく、昭和26年の学習指導要領で青と緑の区別してからだと言われています。

動物の見ている色
牛が赤はわからないとか、犬は信号の色がわからないなどと聞きますが、動物の色の感覚はどうなっているのでしょう?
実は哺乳類で色がわかるのは、霊長類だけだと言います。(注)

これには哺乳類の歴史がかかわっています。
脊椎動物は5億年前の発生当初から色に関する感覚を持っていたようです。
明暗と四原色
しかし、哺乳類は恐竜全盛の時代、夜行性でした。色を見るより、明るさを感じる方が重要だったのです。そのため、この時代、哺乳類は色を感じる機能をなくしたようです。

進化上ずっと昼行性であった多くの魚類、鳥類、ハ虫類はこの4原色に関する機能を失うことなく、現在に至っています。
彼らは人間よりも多くの色を感じているのです。

哺乳類のうち、森林に住み昼行性の行動様式となった霊長類のみが、再度、三原色を感じることが出来るように進化したのです。

構造色
ところで、構造色という言葉を聞いたことがあります?
普通、色は色素などの分子の構造によってで出ています。
しかし、分子の構造に由来しない、つまり、本来色のないものが光の波長程度の小さな構造を持つことにより作り出される色があります。これを「構造色」と言います。

この構造色で有名なのが、南米に生息する
モルフォ蝶です。
メタリックブルーに輝く色を見た人も多いと思いますが、あの羽には本来、色がありません。
光が羽の構造により反射され、あの美しい色を出しているのです。
他にも、タマムシの羽や鴨の羽などにも見られます。

日産は1999年のモーターショウで自動車のボディーにこの構造色を利用した車を出品しました。
構造色は、色素の使用量が大幅に減りますので、それだけ環境にやさしいと言えます。

この構造色ですが、歴史は古くて5億年前のカンブリア紀といいますから、生命らしい生命が出て来て間もない頃から生物は利用していたようです。
発色の原理は、多層膜干渉、光の回析、不規則性による非干渉、色素によるコントラストの増大等が主な要素と考えられています。

宝石のオパールの色も"遊色"と呼ばれ光の回折、干渉現象によるものです。
そう言えば、CDやシャボン玉なども光線のかげんで虹色に輝きますね。

■では、雑学アラカルト
★色でもないのに
色のつく言葉がありますね。
 例えば、音色、声色、顔色などです。
 日本語の「色」と言う言葉には、もともと「調子」「響き」と言う意味がありこれらの言葉はそれらの意味で色と言う言葉が使われています。 

面白い
一説には、昔、巫女が神を祀る祭事で面に白粉を付けて踊ったことからきていると言います。
この"白"は、明るい、晴れ晴れするの意味です。面白いは、目の前がぱっと開けて明るくなる感じを表した語です。

黄色い声
女性の甲高い声を"黄色い声"と言いますね。
お経は平安中期までメロディーがありました。
この音の高低を表すのに、中国伝来の経典の文字には、横に色で印がつけてありました。
音程ごとに色が決まっていて、最も高い音が黄色でした。
現在はこの黄色だけが言葉として残っているのです。

(注)2001.05.02
最近の研究では犬は色が見えているかも知れないとのことでした。

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