和紙

お酒
蛇足1
蛇足2
□■お酒

■お酒の
語源は色々あります。
説1:もともと「
栄え水」と呼ばれていたものが、サカエ→サケエ→サケとなったとする説。
   「古事記」などに「さかみず」と言う表現で出てきます。
説2:「
避ける」と言う表現に基づくというもの。「風寒邪気を避ける」のがサケ。
説3:「
クシ」と言う古語から転じたとする説。

■日本の
お酒の歴史
魏志倭人伝
(三世紀頃)に「人と性、酒を楽しむ」の記載があります。
古事記」には、三、四世紀に酒作りが大陸から伝来したとあります。
当時のお酒はどぶろくのようなものだったようです。

万葉集」にも多くのお酒の歌があります。
特に
大伴旅人(665-731)の讃酒歌十三首は有名です。
讃酒歌の第三:「古の七の賢しき人たちも 欲(ほ)りせしものは酒にしあるらし」。
古(いにしえ)の七の賢(さか)しきとは中国の晋の時代の竹林の七賢のことです。

一方、一般庶民は
山上憶良(やまのうえのおくら:660-733)の「貧窮問答歌」に糟湯酒(かすゆざけ)というのが出てきます。
お酒を作った後の糟をお湯で溶いて塩を肴にすすっている。みじめ・・・。^^;

澄んだお酒は江戸の初期、大坂の鴻池が臭木(久佐木)の
灰を投入する方法を採用してからといいますが、どうもこれは後の世の作り話ではないかとのこと。

■では、お酒を愛した偉人のお話を少々。
★まず、上に出てきた、
竹林の七賢
中国の晋の時代(265-419)に、俗世間をさけて竹林に集まり、お酒を飲み琴をひき、清談をした七人の隠者です。

魏の太祖(曹操)が禁酒令を出した時、お酒とは言いにくく、白酒を賢者、清酒を聖人と呼んで隠れて飲んでいたといいます。

若山牧水は一日の酒量が1升と言う、大いにお酒を愛した詩人です。
  「人の世に楽しみ多し然れ共、酒なしにして何の楽しみ」
  「白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけれ」
などは有名ですね。

★五代目古今亭
志ん生の酒好きも有名で、その逸話は数知れず。
有名なところでは、酔って高座にのぼり眠ってしまうこともしばしば。
客も良くしたもんで、「疲れているんだから寝かせておきなよ」
落語を地でいくようなお話です。

★詩仙と言われる
李白
「何者か?」と聞かれ、「酒屋なら私を知らぬものは無いんだが・・・」と自慢するほど、年中、泥のように酔っていたとか。
でも、酔っていても「李白一斗詩百篇」と言われるほど、詩はチャンと読んだというからすごい。
玄宗皇帝と楊貴妃の牡丹の宴では、泥酔していながら、楊貴妃をたたえるに詩を作った話は有名です。
辞書を引いても、第二義に「大酒飲みのこと」と載っています。

★鯨海酔公と呼ばれた土佐藩主、
山内容堂(豊信:とよしげ)。
司馬遼太郎の「酔って候」の主人公です。
西洋でも魚のように飲むと言いいますが、その上を行く鯨。どれほど飲んだのでしょうね。

ヘミングウェイは第二次大戦中、二つの水筒を下げていたと言います。
一方にジン、もう一方にベルモット。これでカクテルを作って飲んでいたとか。

お酒の強い弱いは遺伝によって決まります。
厳密に言うと12段階ぐらいに分かれるらしいのですが、大雑把に分けると3つのタイプになります。
エタノールパッチテストでNN型の人は酒豪タイプ、DN型の人は、ほどほどに飲めるタイプ、DDタイプの人は、全く飲めない下戸タイプです。

私たち日本人は40%がお酒に弱いタイプです。
ヨーロッパやアフリカ、オーストラリアの人達は全員が飲める体質です。
世界の中で酒に弱い体質はモンゴロイド系の人々だけなのです。
ちなみに私はウワバミがあきれるタイプです。(^_-)

■お酒に関する言葉は数え切れないほどあります。それだけ人々に愛されてきたんですね。
泥酔
この言葉は唐代の詩人、杜甫の「酔如泥」が元になっているといいます。
ところで「泥」ですが、これは南方の海にすむ虫の名前です。
この虫、骨がなく海中では生き生きしてるんですが、陸に上がると苦しみのた打ち回る。
その状態が酔っ払いが苦しくてのた打ち回る様に似ていると言うわけです。

上戸、下戸
秦の始皇帝の時代の話です。
万里の長城を築く時、寒い上の方の門(上戸)を守る兵士には体を暖める酒を配り、それほど寒くない平地の門(下戸)を守る兵士には甘いものを配ったことに由来するといいます。

別な説では、奈良時代の律令制で一戸のうちに6、7人の成年男子(正丁:せいてい)のいる家を上戸、それ以下の家を下戸と言いました。
そして、「庶民婚礼、上戸八瓶、下戸二瓶」といわれ、金持ちの上戸は八瓶の酒を、下戸は二瓶の酒を振舞ったことから、酒の飲める量に使われるようになったといいます。

ちなみに、水を瓶に入れるときの
漏斗(じょうご)はこの上戸が語源だと言います。
江戸時代の図解百科事典「和漢三才図会」には「漏斗。これを上戸と名づくるは、よく呑むなり」とあります。う〜ん、駄洒落。^^;

くだらない
江戸時代、上方で作られた酒を「下り酒」といいました。
上方の酒は品質がいい上に船や馬に揺られ更に味が良くなったようです。
一方関東周辺の酒は「地回り」と言われ「下らない酒」はうまくないと言われ、やがて「くだらない」と言う言葉の意味を持つようになりました。
上方のものが珍重されたのは酒だけではなかったようで、「下り××」といろいろな物が呼ばれたようです。下り醤油、下り菓子、と言うように。

トラ、ささ
お酒のことを「ささ」といいます。これはお酒を意味する「竹葉」が元になっているといわれます。
一説には:中国の漢の時代に劉石という人がいました。
継母が彼をいじめいつも残飯を食べさせました。時には食べられない状態だったので家のそばの木の股に捨てました。ところが、この残飯が偶然醗酵したのです。そこで、竹の葉で覆い酒を作って国王に献上したそうです。この酒のことを竹で覆ったので「
竹葉」と呼んだといいます。

で、一方、酔っ払いのことをトラと呼びますが、これはササにつきもののトラと言うシャレからです。
他にも、酔っ払う時間が寅の刻(午前4時から6時)と言う説や吉原の流行語「とられん坊」から来たとする説(花魁にお酒を飲まされ騙されてお金をふんだくられた男を指す言葉)などがあります。
  
左利き
江戸時代初期に出来た言葉です。
金鉱山で働く人は右手を槌(つち)を持つので槌手、左手を鑿(のみ)を持つので鑿手と言ったそうです。鑿手=飲み手で酒飲みのことを左利きと言うようになったといいます。

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