和紙

烏(カラス)
蛇足
□■烏(カラス)

今日は嫌われ者、カラスのお話です。

東京では、カラスの増加が大問題です。ゴミの夜間収集が行われていないのが大きな理由です。
種類は
ハシブトガラスで1955年に3千羽だったのが現在は3万5千羽にまで増えています。
首都圏では8万羽以上とか。まだまだ増えそうです。

幕末の英雄、
高杉晋作が作ったと伝えられる都都逸(どどいつ)に、
「三千世界の烏を殺し、ぬしと朝寝がしてみたい」というのがあります。
(2007.06.20)
熊野三山の護符である牛王宝印には三本足の烏の絵が描かれています。牛王札はかつては非常に神聖視され武家の主従の誓いや遊女と主人の間の約束事などを書く誓紙として使われました。そして、この牛王札の誓紙で約束したことを破るとそのたびに熊野三山の烏が一羽ずつ死ぬといわれました。
つまり、晋作は人気遊女の「うの」に、おまえが交わした誓紙などくそくらえだ、この世の烏がすべて死んでもいい、おまえを独占して朝まで一緒にいたいというような意味です。のちに彼女は晋作の愛妾になり、晋作の死後は仏門に入り67歳で亡くなるまで晋作の墓のある東行庵で40年以上過ごしたといいます。
蛇足ですが、晋作の墓はただ東行墓と書いてあります。彼の号、東行は尊敬する西行法師からきています。


枕草子の「さわがしきもの」の段に
「板屋の上にて、烏の、斎飯(とき)の生飯(さば)喰らう」と有ります。
昔から、うるさく鳴いていたんですね。^^;

烏の語源烏の字の成り立ち
カラスの"カラ"は鳴き声の擬声、"ス"は「うぐいす」「ほととぎす」などの「す」と同じく鳥を表わすと言われます。
一方、烏と言う漢字のほうですが、これは、カラスが黒いので、目がどこにあるのかわからないところから"鳥"の字を一画省略したと言われます。
で、問題になるのは部首。点が4つの火を表すレンガの中に入っています。
鳥に入れたほうがいいような・・・?

ヤタガラス(八咫烏)  (注)
古事記に出てきます。神武天皇が東征の時、熊野から大和へぬける山中の道案内をした、天照大神から使わされた烏です。

中国の伝説では、「太陽の中に三本足の烏が棲む」と言われています。
漢代の墓石に「太陽の中の烏」の紋章が刻まれているのがあります。
また、中国古代の地理の本「山海経」にも、白楽天の詩にも登場します。

烏景(うけい):太陽の光。日光。ひざし。
日の烏:太陽の異称。
等の言葉にも残っています。

日本サッカー協会(JFA)のシンボルデザインに登場するボールを押さえている烏も三本足のヤタガラスです。
1931年(昭和6年)の理事会で採用されたものです。
採用理由は上の日中の故事から、ボールを押さえたカラスは日本のサッカーを統治指導するものと考えられたからだそうです。

烏の頭の良さ
カラスは頭の良い鳥です。
頭の良さの指標の一つに、
脳化指数(=脳の重さ/体重)というのがあります。
人は0.89、犬は0.14、猫は0.12、鶏は0.03、鳩は0.02、ところがカラスは0.16と犬などより上なのです。

しかも、都会のカラスは年中食料を獲得でき、複雑な空間に住んでいるので知能が発達してきていると言うんです。
鳴声も20種類程度を使い分けていると言います。

烏合の衆(烏の群れのように、規律も統一もなく寄り集まっている群集)と言う言葉がありますが、都会のカラスは役割分担をし集団で行動するようになっています。けっして烏合の衆ではないようです。

カラスの知恵の報告は色々あります。
・神社の賽銭箱からお金を盗みハトの餌の自動販売機に使いエサを取る。
・道路上にクルミを置き自動車に引かせて割って中身を食べる。
・また、遊びもします。電線や枝に逆にぶら下がる「鉄棒」や滑り台を滑るもの、さらにはビル風に体をまかすウィンドサーフィンなどの報告もあります。
知恵ではないんですが、線路上に石を並べるなど事故につながる行為もしています。

中でも、ニューカレドニアに棲む、
カレドニアガラスは凄いんです。
倒木の中のカミキリムシの幼虫を落ち葉の柄の部分を使って釣ります。
獲物にあわせて材料を選び、加工するんです。
幼虫の口の周辺をつつき、怒らせて、柄に噛み付かせて釣るのです。
チンパンジーの蟻釣りの要領です。人がやってもなかなか上手に出来ないようです。

烏賊(いか) 
烏の字がつくのは変ですね。
これは、死んだ振りをして海面に浮かんだイカが、つつきにきたカラスを捕まえたと言う中国の故事に由来します。
平安中期の漢和辞書「和名類聚抄」(略して「和名抄」)にも載っています。

烏羽(からすば)の表
「日本書紀」に、敏達天皇の御代に高麗から烏の羽に墨で書かれた表を献じてきたというの故事が載っています。今で言う暗号です。
この羽は湯気で蒸し、帛(ねりきぬ)に押しつけると容易に読み取ることができるといいます。
烏羽に書く:はっきりわからないこと、見分けがたいことをたとえていう。

(注)
(た)
あた(咫)の略で、上代の、長さを計る単位の一つです。
親指と中指(一説に人さし指)とを広げた長さをいいます。

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