和紙

クジラ
蛇足
□■鯨(クジラ)

クジラというとすぐグリーンピースなどの過激な運動が注目されますが、感情的にならずに、実態を充分把握しておくことが大切です。

クジラの語源
クジラの語源は、口広(くちひろ)が訛ったとか、黒白(くろしろ:下の鯨幕を参照)がクジラになったとか説があります。
鯨の字のほうは、京は大きいと言う意味、つまり大きな魚の意味です。

クジラとイルカ
クジラとイルカは同じ仲間です。両者の分け方は厳密では無く、大体、体長が 3.5〜 4m 以上をクジラといい、それ以下をイルカと言います。
最大なのはシロナガスクジラで30m、最小はコガシラネズミイルカの1.2mです。

クジラの種類
クジラは約76種類いて、大きく「ヒゲクジラ」「ハクジラ」に分けられます。
ヒゲクジラの仲間は10種
 セミクジラ科、コセミクジラ科、ナガスクジラ科、コククジラ科
ハクジラの仲間は約66種(分類学者によって違う)
 マッコウクジラ科、コマッコウ科、アカボウクジラ科、マイルカ科、イッカク科、 ネズミイルカ科、カワイルカ科

ヒゲクジラのヒゲは、上あごの皮膚が変化してクジラヒゲになったもので、ヒゲは絶えず伸びては先端から欠けて新陳代謝をします。
ヒゲクジラはオキアミや小さい小魚などの群をなす小動物の集団をヒゲで濾(こ)しとって食べます。

クジラの進化
クジラは偶蹄目(ぐうていもく)に属する動物(メソニックス)から進化しました。
約 5000 万年前、パキケタスという最古のクジラが出現します。後ろ足がまだあり、短めの四肢には水かきがあり、全身毛におおわれていたと考えられています。(注)

現存する動物では、ラクダが一番近縁だと従来から言われていました。
しかし、最近の遺伝子分析によると
カバに一番近いことがわかったそうです。

偶蹄目:脚の指が二本または四本の偶数です。
一般に草食性で、胃の数が複数の場合が多いようです。
イノシシ、ラクダ、ウシ、シカ、キリンなどがいます。
クジラも四つの胃があります。(アカボウクジラは15個)

商業捕鯨禁止の本当の理由
生存数の少ないクジラは徐々に捕鯨禁止になってきました。
1936年〜 セミクジラ、ホッキョククジラ
1948年〜 コククジラ
1963年〜 シロナガスクジラ
1966年〜 ザトウクジラ
しかし、1972年の国連人間環境会議でのアメリカの突然の「全ての商業捕鯨を 10年間禁止」提案可決、やがて、1982年商業捕鯨全面中止へとつながります。
1978年以降、捕獲が認められていたのはミンククジラだけだったのですが。

では、1972年になぜアメリカはこう言う提案をしたのでしょう?
それは、
ベトナム戦争でアメリカが行った自然破壊に対する国際的非難をクジラでかわすという政治的判断であったと言います。

科学的根拠があれば、納得できますが・・・
ミンククジラの捕鯨禁止については国際捕鯨委員会の科学小委員会でさえ科学的根拠が無いとしています。(南氷洋だけで、1970代始め:7万頭→1990年頃31万頭、)

絶滅が危ぶまれるシロナガスクジラなどの回復は思わしくありません。
そして、これら減少したクジラの穴を埋めているのはミンククジラで、ミンククジラの増加が絶滅が危ぶまれるクジラの増加を妨げていると言う可能性も大きいといいます。

一方、アメリカは自国民にホッキョククジラの捕獲を認めています。確かに年二十数頭と少ないのですが、全体の生息数が約7000頭(1990年頃)を考えると決して無視できる数字ではありません。
新田次郎の「アラスカ物語」はイヌイットの捕鯨に関する話が出てきます。

感情的な捕鯨禁止が招くもの
海洋汚染でクジラの胃の中からビニール等の異物の発見も多くなっていますし、化学物質の影響も調べる必要があります。
しかし、アメリカでは海獣保護法(1972年)でクジラに触ることさえ法律違反と言う事で、実態把握のための発信機取り付けさえ手続きが大変といいます。
実際、カルフォルニアでのアシカよる漁業被害にアメリカは一切手が出せない状態です。
政府が利用した過激な環境保護団体が逆に政府を突き上げる状態が続いているのです。
良識ある科学者は、このような現状では天然資源を損なわれ環境は保護できないとしています。 

本当に、放って置くのが正しいのでしょうか?
人間が、クジラの数のバランスを壊さず、環境を汚染してない状況下では正しいのでしょうが、これだけ乱獲をし、環境を汚染してしまった現状下での放置は、将来に深刻な問題を生じる可能性が充分考えられます。
日本もクジラの保護が必要だと言っているのです。
ただ科学的根拠に基づき、クジラを含めた漁業資源の永続的な利用を使用と主張しているのです。

日本の開国とクジラ
江戸幕府による鎖国を破り開国させたのは、太平洋のクジラ漁でした。
ジョン万次郎も捕鯨船に助けられました。
18世紀〜19世紀半には、アメリカ式捕鯨(母船上で油を取るので長期間捕鯨が可能)が盛んになります。
昔から日本近海はマッコウクジラの良漁場として知られていました。緯度的に全てのマッコウクジラの回遊可能域にあたるのが理由のようです。
そのマッコウクジラを追っていた、欧米の捕鯨船団が燃料や食料補給のために、江戸幕府に開港を迫ったのでした。

■雑学
ゴジラ
昭和29年に東宝映画でデビュー、円谷英二の特殊撮影で怪獣ブームの先駆けとなりました。
名前は、ゴリラとクジラを合わせて作られたと言われています。

潮吹き
鼻孔から出す空気が、空中で急に冷やされるため水蒸気が凝結して白く見えるのです。決して潮を吹いているのでは、ないんです。
ただ、一部背中の海水が一緒に吹き上げられますが、量的には少ないようです。
この潮の吹き方でクジラの種類がわかります。中でもマッコウクジラは特徴的で左斜めにブワーと一本出ます。鼻の穴が一本でS字状になっていて、頭の左先端にあるためです。

鯨幕
お葬式など、凶事に用いられる黒と白の幕のことです。
クジラの背中が黒く、腹が白いところからと言う説とクジラの皮と脂肪層との黒白が重なっているのに似ているとする説があります。

鯨波(げいは、とき)
戦場などで、多くの人が一度にどっとあげる、鬨(とき)の声のことです。
鯨が、波をおこし水を吹き立てるさまに見立てたのが語源のようです。

(注)
2001.09.20追記
パキスタンの4700万年前の地層から鯨の祖先の化石が見つかったそうです。
この化石は鯨の祖先が偶蹄目だったことを示す決定的証拠と言われ、鯨の祖先はカバの仲間に近い動物だったと、論争に決着がついたようです。

目次へ


和紙