和紙

キツネ
蛇足
□■キツネ(狐)

■狐の語源としては「
日本霊異記」(平安初期に成立した仏教説話集:僧景戒撰)では「来つ寝」となっています。
しかし、異論も多く、鳴き声に由来する「キツ」から来ていると言う説を取るのが、多いようです。
ネは尊称・愛称の意味の一種の接尾語。
コンコンと鳴くのでは? 古い文献には「キツキツ」とか「クツクツ」と記されているそうです。

■狐といえば
お稲荷様ですが、
もともと稲荷(稲生(いななり)」の変化)は五穀を司る神として信仰された宇賀御魂命(うかのみたまのみこと)のことです。
狐との関係は、宇賀御魂命の別称である御饌津神(みけつかみ)を三狐神と書き誤ったことに由来するようです。

話は変わって、花火と言えば、
鍵屋と玉屋。花火が上がった時の掛け声として今でも知られていますね。この二軒は江戸時代の花火屋です。
お稲荷様には防火の御利益があるとされ、鍵屋と玉屋もお稲荷様の氏子でした。
一般に稲荷の狐は、宝珠や巻物のような八宝といわれるめでたい宝物をくわえていますが、鍵屋の狐は鍵をくわえており、玉屋の狐は宝珠(玉)をくわえていたといいます。

いまでも、稲荷神社の入り口に狛犬(こまいぬ)代わりに座っている二匹の狐が鍵と玉を足で抑えているのがありますね。

関東で有名なのは、
王子稲荷です。
毎年大晦日の晩に関八州の狐が集まり、盛大な忘年会を開き、油揚げを食べ、王子の頭領から位をいただくとされています。
関八州の稲荷神社の総社で11代将軍家斉(いえなり)が8棟の社殿を寄進してから江戸の名所になりました。初午に詣でると火難除け商売繁盛のご利益があると言われます。

王子の狐」と言う落語もありますね。
悪い人間に騙されひどい目にあった狐の話。「狐は七化け、狸は八化け」、どうも人間の方がその上をいっているようです。

■近頃、平安時代の天才陰陽師として名高い、
安倍晴明が若い女性の間で流行っていますね。
小説家や漫画家が、超美形に超格好良く書いたのが原因? ^^;

彼を祭る『
晴明神社』は昨今の風水ブームや漫画の影響で訪れる人が急増しているそうです。
ここの絵馬は五角形の各々の頂点を結んだ星型で、五芒星とか、晴明桔梗紋と呼ばれ、魔力を持つ図形とされる形をしています。

彼の出生は浄瑠璃や歌舞伎で有名なお話です。
彼の父は、安倍保名(あべのやすな)で、母(
葛乃葉)は狩で追われていたのを保名に助けられた白狐とされています。
狐は古来から、霊力を持つ動物として崇められており、白狐の母を持つ晴明は、天才陰陽師として君臨したと言うのです。

大阪で
狐うどんを“しのだ”と言うのは、葛の葉の物語の中
「恋しくばたづね来てみよいづみなるしのだの森のうらみ葛の葉」
と書き残された和歌よりでているそうです。

■では、狐の関係する言葉
狐裘(こきゅう)は狐の腋(わき)の下の白毛皮でつくった皮衣で、中国では、上等なものとして珍重されたようです。

☆「
千羊の皮は一狐の腋に如かず、千人の諾諾たるは一士の諤諤(がくがく)たるに如かず 」と言う言葉があります。
「安い羊の毛皮を千枚そろえたところで、 狐の脇から取れる高価なひとつまみの毛には及ばない。イエスマンが千人いたところで、諤諤と直言する一人の部下には及ばない」 という意味です。

☆史記の孟嘗君伝の「
鶏鳴狗盗」の故事にも出てきます。
秦の昭王に捕えられた斉の孟嘗君は、既に王に献じてあった狐のかわごろもを狗(いぬ)の真似をする食客に盗み出させます。
そして、それを王の寵姫に贈り、そのとりなしで釈放してもらいます。
のがれて夜半に函谷関に着きましたが、そこには鶏鳴までは開門しない掟がありました。そこで、鶏の鳴き真似の上手な食客に鳴き声を出させ、群鶏をそれに和させるようにして開門させて脱出することができたというお話です。

鶏の鳴きまねをして人をだましたり、犬のようにして物を盗んだりする卑しい者の意味。また、どんなくだらない技能でも、役に立つことのある例えとされます。

晏嬰(あんえい)の狐裘
斉の晏子が一枚の狐の皮衣を三十年も着ていたという故事から、きわめて倹約なことのたとえに使われます。

狐拳(きつねけん)
三すくみ拳の一種です。
庄屋は鉄砲 (猟師) に勝ち、鉄砲は狐に勝ち、狐は庄屋に勝つというルールです。
時代劇映画などに出てくることがありますね。座って対戦し、庄屋は正座して両手は膝の上、狐は両手を耳の後ろにかざし、鉄砲は左手を伸ばして右手で引金を引く、という動作で形を示します。
三味線に乗ってにぎやかにやるお座敷遊びです。

狐は益獣です。田畑を荒らす野鼠や兎をとります。また肉も美味しくないようです。
毛皮のために獲られたのでしょうね。

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