和紙

ナマコ(海鼠)
蛇足
□■ナマコ(海鼠)

夏目漱石は「我輩は猫である」の中で、「始めて海鼠(なまこ)を食い出せる人は其胆力に於いて敬すべく、始めて河豚(ふぐ)を喫せる漢は其勇気に於いて重んずべし」と書いています。
そのナマコのお話です。世界には
1,500種類以上もいるようです。

名前の由来
元々、ナマコは単に「コ」と呼ばれていたようです。
それで干したものを「
イリコ」、生のものを「ナマコ」と呼ぶようになったといいます。
珍味のコノワタ、コノコもこれに由来しているようです。

他の説としては、ナマコには人の眼(マナコ)にあたるものがないので、マナコナシとか、ナマナコ(無眼)と呼ばれていたのが訛ったと言うものや、ヌルヌルして捕らえどころが無く、まるで「滑(なめ)りこ」のようだと言うのなどがあります。

中国では、乾ナマコを海の「朝鮮人参」という意味で「
海参」と呼び、滋養強壮剤として珍重しています。 

コノワタ(海鼠腸):ナマコのはらわたの塩辛です。
コノワタの歴史は古く、千年以上前の宮中の記録である「延喜式(えんぎしき)」に「人紅梅」と出ており、珍重されていたようです。
コノコ(海鼠子) :生殖巣を素干しにした物
イリコ(煎海鼠) :ナマコのはらわたを取り去って煮て干したもの。薬用や中華料理の材料などに用いる。平安初期から調物(ちょうもつ:税として納めるもの)とされています。

英語では、形が胡瓜(キュウリ)に似ているので
sea cucumber(海の胡瓜)と呼ばれます。

字が似ている「老海鼠」は読めますか?
今は「海鞘」が普通ですね。海鼠(ナマコ)が年老いて
老海鼠(ホヤ)になると考えられていたことによるようです。

古事記にもナマコは出てきます。
天照大神(あまてらすおおみかみ)が天の岩屋戸に隠れた時、岩屋戸の前で踊りをおどった女神、アマノウズメノミコトがあるとき、魚たちを集めて「われに従うか?」と質問したところ、ナマコだけが返事をしなかったので、ミコトは刀でナマコの口を切り開いたと書かれています。

生態
・ウニやヒトデなどと同じ棘皮(きょくひ)動物、表面のイボイボは小さな骨片です。
腹面には管足(かんそく)が三列。柔軟な管状の肉で水の出し入れが出来ます。
移動時は水を吸ったり吐いたりして管を収縮させ先端の吸盤を海底の岩や砂に吸いつかせます。

・20本ほどの触手に囲まれた口で砂や泥を吸い込み、その中のプランクトンなどの有機物を食べます。消化器官は口から排泄口までつながる一本の腸だけです。

ところで、最も深海で見つかったナマコは、フィリピン海溝の底で水深10,497mと言いますから驚きですね。

■雑学
冬至ナマコ
ナマコは内海の浅い海に棲息して、晩春から初夏にかけて産卵します。
その後は、深海に移動して定着し、海底に穴を掘って絶食
夏眠します。
そして、水温16度以下になると夏眠から覚めて冬の活動期に入ります。
と言うことで、味が増すのは寒い間で、通は冬至の頃に採れるものを「冬至ナマコ」と言って珍重します。

食用にする海鼠は「棘皮動物ナマコ網楯手目マナマコ科マナマコ属マナマコ」で、このマナマコには体色でアカナマコ・アオナマコ・クロナマコの3つに分けられています。
関東では暗緑色の
アオナマコが好まれます。砂地に住み、肉が柔らかいのが特徴です。
一方、関西では赤褐色の
アカナマコが好まれます。岩礁に住み肉が硬めです。

コンドロイチン
コンドロイチン配合の目薬って聞いたことありませんか?
コンドロイチンは、目の角膜にも含まれているため、不足すると眼精疲労や、視力低下を引き起こすんです。
他に高血圧や関節の老化防止に効力が高いともいわれます。
化粧品にも入っているのがあります。

このコンドロイチンをナマコは含んでいるのです。
他には、ウナギ、ドジョウ、魚、モツの煮込み、豚の骨や 鳥ガラのスープなどにも含まれています。

腸はき
ちょっとした刺激でも肛門から消化器管をはき出す「腸はき」をします。
でも、約3週間で元通り再生するといいます。
パラオでのは、手づかみで捕らえ胴の先端を切って腸を取り出し塩をまぶして食べるそうです。
胴の方は海に捨てるとか。再び腸が再生するのを知っているのですね。
でも、その間、海鼠は食事はどうするのでしょう?

目次へ


和紙