和紙

蛇足
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蟹と日本人
「か」は食べられるもの、「に」は泥で、泥の中に住む動物を意味します。
日本近海には1,000種類ほど住んでおり、中でも
タカアシガニは世界最大の大きさを誇っています。

蟹は
古事記などにも出てきて、古くから食用にされていたようです。
しかし、万葉集の時代までは、小さな蟹を食べていただけのようです。
江戸時代になると、ワタリガニ(ガザミ)などが食べられるようになります。
明治以降になって、水深100m以深に住む蟹が獲れるようになります。
大正時代には、
蟹工船(大正 3年から)が盛んになり、船上で缶詰にして輸出されていました。
小林多喜二の小説「蟹工船」は有名ですね。

蟹では無い蟹
皆さんが蟹と思っているもので、蟹の種類でないものがいます。
タラバガニハナサキガニ(ヤドカリ科)、ヤシガニ(オカヤドカリ科)などです。
分類的にはカニ(短尾類)ではなくヤドカリ(異尾類)です。
タラバガニなど脚の数を数えてみると、2本少ないですよね。

と言う事で、蟹の缶詰の90%はタラバガニなので、正確には「ヤドカリ缶」というべきです。^^;

タラバガニの名前は、鱈(たら)の獲れる場所に生息していることから、タラバガニ(
鱈場蟹)と呼ばれるようになったと言います。

カニ缶の紙
ところで、蟹の缶詰には白い紙が入っていますね。
あの紙は「
硫酸紙(酸性パーチ)」と呼ばれるもので、蟹缶の中のガラス状のものが発生するのを防いでいます。
蟹に含まれてる成分と缶の鉄や錫とが化学反応を起こしてできるんだそうです。
もし、出来ても毒性は無いので問題は無いそうです。

自切(じせつ)
トカゲの「尻尾きり」と同じように、蟹も危険な目に会うとはさみ脚や歩脚を自分から切り落として逃げます。これを自切といいます。
切れる場所は脚の付け根から2番目の関節で、切り口からは体液は流れ出さないし、数回脱皮をすると元に戻ってしまいます。

ですから、生きた蟹を茹でる時には、注意しないと脚が取れてしまいます。
防止するには、はさみ脚を含むすべての脚を折り曲げてゴムや糸でしばってからゆでるといいようです。上海蟹など凧紐で縛ったまま茹でますね。
それが面倒な人は冷蔵庫で安楽死させてから茹でるといいようです。

蟹の産地でも、脚が切れた蟹が出ます。その時は、綺麗に整形して(他の余った脚を付ける)いるそうです。でないと商品価値がなくなってしまいます。

■雑なお話
蟹味噌って何でしょう?
正体は「中腸腺」といって、他の動物でいうと「肝臓とすい臓をあわせた臓器」にあたります。
実際、脂肪やグリコーゲンが豊富だそうです。

蟹の数え方
一杯、二杯ですね。
これは、江戸から明治にかけて蟹が大量に獲れて、蟹が今ほど高くなかった時代、漁師の間では秣槽(まぐさおけ)ほどの丸い槽を単位として取引された名残だそうです。
最も、今では一匹を一杯と随分量が少なくなっていますが・・・。

アサリの中の蟹
アサリ貝を食べるとき、中に小さな蟹が入っていることがありますね。
あれは、てっきり貝が蟹を食べているのだと思っていました。^^;
蟹の名前は
オオシロピンノ、カクレガニ科の蟹です。貝に寄生して餌を横取りしているんだそうです。

★蟹と言えば
横歩きと思っていません?
確かに、多くの蟹は横に歩きます。
しかしクモガニ類、コブシガニ類などでは、脚の付け根に余裕があり甲の周囲が角張ってなくて脚が自由に動かせるので前に歩きます。タカアシガニは脚が長く前後左右に歩けます。
もっと凄いのは、アサヒガニやカラッパ類で、後ろに歩きます。前方には脚やハサミが邪魔で歩きにくいんだそうです。
そして、極め付けは、ワタリガニ類。一番後ろの足(第4歩脚)がオールのようになっていますよね。
歩くよりも泳ぐほうがはるかに得意な蟹です。

★病気の
は英語でcancer、大文字で書くとCancer、十二星座の蟹座です。
この言葉はサンスクリットのkarkata(蟹)からラテン語になった言葉です。
癌をこう呼ぶのは、癌のふくれた血管が蟹の脚に似ていたからだそうです。
紀元前五世紀から四世紀の古代ギリシアの医者、
ヒポクラテスが名付けたとか。

蛇足ですが、有名な
蟹星雲は「おうし座」にあります。
1054年に爆発した超新星ですが、今見ると蟹のように見えることからこの名があります。


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