和紙

忌み言葉
蛇足
□■忌(い)み言葉

結婚式やお葬式での忌み言葉には悩まされますね。 でも普通の状況でも結構使っているんですよ。
宴会等で「終わり」と言う言葉を嫌って「お開きにする」などもそうです。
日本には、このような縁起の悪いとされる言葉を嫌って別の呼び方をする習慣があります。
言霊(ことだま)思想と結びついているのでしょうか?

そんな「忌み言葉」や縁起を担いだ表現を調べてみました。

忌み名(いみな)
昔、男子は元服して初めて実名をつけました。
女子も婚約成立以前は仮の名で呼び、婚約成立後、本名すなわち「忌み名」を付けました。
この「忌み名」を付ける「忌み名付け」が訛って「
いいなずけ」になり、やがて男女の区別無く婚約者の意味になったそうです。

この本名を忌み名と言うのは、昔は他人がみだりに本名を呼ぶ事をタブーとした習慣によるものと言います。

なお、この「いいなずけ」については、「結納づけ」の訛りとする説、「言い名」の変化とする説など諸説あるようです。

幼名と言えば織田信長の子供の幼名は、奇妙、茶筅、三七、酌、人、五徳など変わっています。
秀吉の場合は、捨(すて)、拾(ひろい)でしたね。

葦(よし)と葦(あし) 
植物の葦(あし)ですが、日本にはいたるところに生えており、
豊葦原(とよあしはら:豊かに葦の生え茂った原の意味)は、日本国の美称です。
ところが、「あし」は「悪し」と発音が同じということで、「善し」と同じ発音の「葦」(よし)に変えられてしまいました。

でも、現在は「あし」の方を使う事が多そうですね。

パスカルの「人間は考える葦(あし)である」は「あし」と習いました。
しかし「よし」も一部頑張っています。 葦簀張(よしずばり)、葦切(よしきり:鳥の名)、葦切鮫(よしきりざめ:魚の名)、葦の髄(ずい)から天井を覗(のぞ)く、etc.

なお、「あし」には、葭、蘆、葦と三種類の漢字がありますが、厳密には生長の度合いによって字を使い分けるようです。
葭:葦のまだ穂を出さないもの
葦:蘆(芦)の生長したもの

★日本の
数字の数え方には二通り有りますよね。  
やまと言葉系:ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ、いつつ・・・・  
漢語系    :いち、にい、さん、し、ご・・・

漢語系に、助数詞の"個"を付けると 一個(いっこ)、二個(にこ)、三個(さんこ)、四個(よんこ)、五個(ごこ)と、四の所だけ、やまと言葉系に変化します。
これも"し"を嫌ったのでしょうか?

七個は"ななこ"、"しちこ"、どちらかと言うと"ななこ"を多く使うような・・・。


昔、「朝、猿という言葉を口にしてはいけない」と全国的に言い伝えられたと言います。
これは猿が「去る」に繋がるからと言うもの。中には「おはようござる」でさえ禁じたとか。
猿を「えてこう」とか「えてきち」と言うのも「去る」を嫌って「得て」や「得手」に置き換えたからだと言います。

で、なぜ「得手」となるのかについては、「得手」とは最も得意なことを意味して、他の者にマサル(優る、真猿)と言う一種のシャレとする説があります。

鏡開き
「開き」は「割り」の忌み詞です。
『守貞漫稿』に「武家にては甲冑に供えたる餅を切ることを忌み、斧(おの)などをもって割る。」とあり、「切る」ということを不吉なこととして避けて、「開く」といって、刃物で切らずに割って食べたようです。


梨(なし)が「無し」に通ずるのを忌んで、「有の実」と言う事があります。
そう言えば、漫画の「こちら葛飾区亀有公園前派出所」で有名な亀有も元々は亀梨(亀無)だったといいます。

スルメ
「する」は「擦(す)る」に通ずると言うので、飲み屋さんでは「あたりめ」と言う事が多いですね。
また、結納では、読みは「するめ」ですが「寿留女」と書きます。
結納では、他にも「勝男武士」なども使います。

★ヒゲを
剃(そ)る
理髪店ではヒゲを「あたる」と言う事が普通のようです。
東京の商家などで「剃(す)る」というのを嫌ったからだといいます。

★他にもあるので列記すると
(すずり)を「あたり石」、
硯箱を「あたりばこ」
擂鉢(すりばち)を「あたりばち」
擂粉木(すりこぎ)を「あたりぼう」
(しお)を「波の花(なみのはな)」  「し」は「死」を連想するので避けた女房言葉といわれます。
お茶を「あがり」は「お茶をひく」を嫌ったもの。(Vol.18 緑茶参照)

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