和紙

タンポポ
□■タンポポ
タンポポはキク科タンポポ属の多年生草本です。

語源
古くは「
ふちな」とか「たな」と呼ばれていたようです。 タンポポは鼓(つづみ)の音を表したものです。昔タンポポは蕾(つぼみ)の形が鼓に似ているから「鼓草(つづみぐさ)」と言われていました。 そして、鼓の音を昔の人はタンポンタンポンと聞いたようで、そこからタンポポと呼ぶようになったそうです。
他にも諸説あります。

西行法師が若い頃、歌の修行をしながら日本全国を旅していた時のことです。
摂津の国の山にある「鼓の滝」を訪ねました。一輪のタンポポが滝のしぶきに濡れ咲いていました。
「津の国の鼓の滝を来てみれば岸辺に咲けるタンポポの花」。
それを聞いていた草刈の少年が上の句を直しました。
津の国の鼓の滝を打ち見れば岸辺に咲けるタンポポの花」。
西行はすっかり感心して、和歌の神が少年に化け歌を教えてくれたと思い、改めて滝を拝んだといいます。

さて、漢字の「
蒲公英」の方ですが、古くは「蒲公草」だったようです。草が英に変わったのは「英」が「はなぶさ」と言うことですから、花の形を表現したと言えます。
タンポポの花はたくさんの小さな花が集まったものなのです。私たちが一枚の花びらと思っているものが一輪の花なのです。菊もそうですね。

さて、難物は「蒲公」ですが、もともとの中国でさえ、わからないのだそうです。

漢方では、開花前の花を摘んで乾燥させたものを
蒲公英(ほこうえい)、また、根を蒲公英根(ほこうえいこん)と呼んでいます。
健胃、利胆、解熱、強壮などの多種多用の目的で広く用いられています。

英語の
dandelion はフランス語の dent de lion つまりライオンの歯から来ています。
葉のギザギザがライオンの歯並びに似ていることからだそうです。
ドイツ語も Löwenzahn で同じです。
ところが、フランスでは「
ピッサリン(pissenlit)」。"おねしょ"を意味しています。
タンポポの葉や根にある成分の利尿作用から、この名前がついたようです。

また、タンポポは「
牧童の時計」とも呼ばれるようです。日が照ると花が開き、日が暮れると閉じるからです。牧童たちは、タンポポの花が閉じると家路についたのでしょう。

セイヨウタンポポと日本のタンポポ
日本のタンポポは、エゾタンポポ、カントウタンポポ、カンサイタンポポなど約20種が自生しています。
セイヨウタンポポは、19世紀末以降に渡来したものです。都会では、セイヨウタンポポの方が目立ちます。
ガク片が反り返っていないのが日本のタンポポで区別は容易です。

有性生殖と無性生殖
タンポポは有性生殖をするものと、無性生殖をするものの2種類があります。
現在知られているタンポポは、ほとんどが無性生殖を行う種類で、有性生殖を行うタンポポはごく狭い地域にしか分布していません。
地中海沿岸、中央アジア、東アジア、南米の一部の地域で、氷河期に冠氷しなかった場所に残された残存種と考えられています。
日本のタンポポはこの珍しい有性生殖をするタンポポです。
セイヨウタンポポは無性生殖なので欧州では「父なし植物」と呼ばれるようです。

生物に性があるのは進化の速度を早くするためだといわれます。事実、生物が性を獲得する以前の35億年前から10億年前にかけての進化の速度はきわめて遅いのです。
現在の原生動物、原虫類、藻類、菌類、陸上植物、動物につながる各系統が一気に枝分かれする時期は、おおむね真核生物が性を獲得した時期に一致するといいます。

ところが、セイヨウタンポポは明らかに最近になって有性生殖から無性生殖に進化しているのです。
セイヨウタンポポは今でも蜜を出していますが、ミツバチがこの蜜を吸いに来ても生殖には役に立っていないのです。
進化の不思議ですね。

タンポポコーヒー
タンポポの葉は、てんぷらや、おしたしにして食べられます。ちょっと苦みがあるそうです。若菜のうちはサラダにもなるそうですよ。
また、根はコーヒーの代用になります。根を干して、フライパンで炒り、コーヒーミルにかければよいそうです。
また、
タンポポワインというのもあるとか。

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