和紙

クローン
蛇足
昔から不老長寿は人間の願いだったようで、あの秦の始皇帝も長寿の妙薬を求めて
徐福を派遣しています。
どうも彼は日本にたどり着いたのか、日本各地に徐福伝説が残っています。
その長寿の夢を掻き立てるクローンの話題が最近多いですね。

■テロメア(Telomere)
テロメアって聞き慣れない言葉でしょう。
テロメアは遺伝子DNAの端にある繰り返しの配列です。TTAGGG(*)と言う配列が何度も繰り返しています。
これは、細胞分裂する度に短くなっていきます。 テロメアがある長さより短くなると、細胞はもう分裂しなくなってしまいます。
ですから、テロメアは「
命の回数券」と言われ、老化と深い関係にあります。
細胞の分裂は通常、50〜60回だそうです。

(*)遺伝子はアデニン(A:Adenine)、グアニン(G:Guanine)、チミン(T:Thymine)、シトシン(C:Cytosine)の4種の塩基分子で書かれています。

よく「
お肌の曲がり角」と言われますが、この時期は細胞分裂が30数回目あたりだとか。肌の質は、テロメアの長さに関係しているみたいです。
このテロメアの長さは細胞が受けてきた紫外線や寒暖などの物理的刺激や栄養状態などの影響を受けます。そのため個人差が大きいようです。

■テロメラーゼ(Telomerase)
もし、テロメアを長くすることが出来れば、細胞の寿命を伸ばすことができます。
そして、それをやっている細胞があるのです。
がん細胞です。
がん細胞ではテロメラーゼと言う特殊な酵素が、テロメアを伸ばしているのです。

実は、普通の細胞にもテロメラーゼを作る遺伝子はあるのですが、生殖細胞などの特殊なものを除いて働かないようになっています。
このテロメラーゼを働くようにした実験によると、半永久的に分裂しつづける細胞ができたそうです。
テロメラーゼによってテロメアを長くすると細胞は機能的にも若返るといいます。
逆に、がん細胞のテロメラーゼを不活性に出来れば、がん細胞の増殖はなくなります。そんな薬が研究されており、来年にも臨床実験に入ると言います。

■クローンとテロメア
クローンは1997.2.23日の羊ドリーの誕生で脚光を浴びるようになりました。
ところで、クローンのテロメアはどうなっているのでしょう?
ドリーのテロメアは、親とほぼ同じ長さで、同年代の普通の羊より20%短いと発表されました。
しかし、その後、アメリカでクローンネズミのテロメアが短くなっていないとの発表があり、日本でもクローン牛のテロメアが短くなっていないことが確認されました。
どうも、生殖細胞ではテロメーラーゼの働きでテロメアの長さが一定に保たれていると言うのが定説になってきているようです。

いま、人間のクローンについては世界中で禁止の方向に動いていますが、一部、クローン化を進めている研究団体もあるようですね。

ルパン三世「ルパンVS複製人間」(1978年)では、クローンの度重なる複製で劣化の話が出てきましたね。
シュワルツネッガー主演の「The 6th day」(2000年)は記憶まで複製されると言う恐ろしいお話でした。

なお、クローン第一号の生物は1958年のニンジンだそうです。

■クローンは複製か?
遺伝情報を複製するので、完全なコピーができそうですが・・・。
実は免疫細胞の一種B細胞などは遺伝子が他の細胞と違う構成をもっており、こういう細胞は複製されずにクローンが独自にもととは違う細胞を形成するのだそうです。
また外見や性質には後天的な環境などにより左右される部分が大きいと言います。

実際、遺伝子的には全く同じ
一卵性双生児をみれば、一目瞭然ですね。
ですから、厳密な意味ではクローンはもとの親の複製とは言えないようです。

■体細胞クローンの問題
体細胞クローン動物は流産や死産が多く、また短命となる例も多いようです。
これは、性染色体上の遺伝子の機能異常が主因の一つだそうです。
体細胞クローンづくりに使う体細胞はすでに分化し、遺伝子全体の一部しか働いていません。
これを、核を取り除いた卵子に入れて、無理やりに初期状態に戻して、いろんな遺伝子が順番に働く発生プログラムを再起動することになります。
この過程で性染色体の遺伝子機能の制御がうまくいかずに、流産や死産につながっている可能性が強いそうです。

■雑
★桜の開花が一斉なのは?
山桜は種で増やすので開花時期は一本ずつばらばらです。
しかし、
ソメイヨシノは接木によるクローンなので同時期に咲くのだそうです。
ちなみに、日本古来の桜は8種類だそうです。 植物、特に果物などでは接木などが多いですね。

先日テレビでやっていましたが、リンゴの
フジは原木が1本で、後はすべて接木によるものだそうです。
偶然出来た新しい品種から採れた種は必ずしも親と同じ性質の果物を実らせるわけではありません。
ですから品種を固定するには接木によらざるを得ないようです。

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