和紙

茸(きのこ)
蛇足
■キノコ
木の子が語源です。
「茸」の漢字は草が盛んに生い茂る様子を表した会意文字で、「きのこ」は国訓(中国にあった漢字に、日本で違う意味の訓をつけたもの)です。

野山の木陰や朽木などにできる
担子菌(たんしきん)類に分類される真菌植物の子実体(菌類の菌糸が密に集まってできた栄養体)のことです。
言うなればカビに近い仲間で、子実体を作るものが通称キノコで、作らないものがカビです。 世界中には数千から数万種あるといわれ、そのうち1000〜2000種が食用になるといいます。
ただし、栽培されているのは、わずか十数種類です。

■歴史
松茸が日本人の食生活に入ったのは、奈良・平安時代からといいます。
万葉集や古今和歌集に出てきます。

高松のこの峯も狭に笠立ててみち盛りたる秋の香りのよさ (万葉集 よみ人知らず)
 この「秋の香」がマツタケです。

古くは、
くさびら(茸)と言ったようです。
「おまへのくち木に生ひたるくさびらども、あつい物にさせ」宇津保物語(平安中期)

ところで、茸の王様と言えばマツタケですが、貴重になったのはここ40年ほどです。
昔は蹴飛ばすほど採れたと言います。昭和16年12,000トン→平成9年350トン。

■キノコの栄養
水分を除くと約4割が食物繊維です。ビタミンBやカリウムなどを含んでいますが、カロリーはほとんどありません。ダイエットに向いていますが、あまり消化が良くないので、食べすぎると下痢をすることがあります。
因みに日本人のキノコ消費量は2000年に8.2kg/世帯と増加傾向にあります。
そして、日本の林業収入の36%(1999年)はキノコによるものです。

■雑
★冬虫夏草
冬虫夏草という言葉は、現在は、昆虫などから生ずるキノコを総称していますが、本来は、コウモリガの幼虫に寄生する種を指していました。
冬虫夏草と言われるものは、世界中で少なくとも390種(内、日本には約250種)ほどあるといわれています。

冬は虫で夏は草と、転生する生き物を想像したらしく、名前もこのことに由来するようです。
寄生対象としては、昆虫(セミ、ハエ、カメムシ、トンボ、ハチ、アリなど様々)やクモ類、ダニ類などです。
養分を昆虫などから得て寄生生活をし、体内で、菌糸の固まりとなり、やがて虫の体を突き破って、キノコ(子実体)を生じます。

歴史的には、チベットの薬物書の「甘露宝庫」(1400頃)に記載があり、中国では、清朝時代の医学書、「本草従新」(1757)に始めて出てきます。

★サルノコシカケ
「さるのこしかけ」というのは、タコウキン科・マンネンタケ科・タバコウロコタケ科などの菌が作る、樹木の幹などに発生する硬質のキノコに対する総称です。
サルノコシカケという種はないそうです。
でも、ネーミングがいいですね。

■キノコの利用
★抗癌作用
キノコの成分のβグルカンが癌の増殖を抑えると言われ、各種の免疫療法剤が作られています。
シイタケからは「レンチナン」胃がんに有効。
カワラタケから「クレスチン」肺がん・胃がん・大腸がんに有効。
スエヒロタケから「ソニフィラン」子宮頸がんに有効。

また、最近注目されているのが、「
マイタケD-フラクション」と言う、マイタケに含まれる成分です。マクロファージの活動力UPして自然治癒力を高め、癌の再発防止に有効とされています。
マクロファージは免疫細胞の一種で、外から進入した病原微生物や異物に対して攻撃,異物の除去などを行う食細胞です。
また、「
マイタケX-フラクション」は糖尿病に効果があり、コレステロールの合成抑制・排泄促進が見られると言います。

他に、
アガリクスメシマコブも良く話題にのぼりますね。
アガリクスはブラジルで採れるキノコです。
メシマコブは桑に寄生し桑を枯らすキノコです。最近、抗癌作用について本なども出されているようです。

★ダイオキシン分解
キノコには大なり小なり
ダイオキシンを分解する機能があるようです。
これは、キノコが木の繊維の接着剤であるリグニンを酵素で分解するのですが、 このリグニンの分子構造ががダイオキシンに一部似ていることによります。
白色腐朽菌(シイタケ、エノキダケもこの仲間)は能力が大きいようです。

また、マスタードガス(毒ガス)の分解にも利用できないか研究されています。

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