和紙

香 その2
蛇足
■フェロモンと香
動物性の香料には4種類あります。(1.と2.は現在動物保護のため化学合成されています。)
1.
ムスク(麝香(じゃこう))  
 チベットなどに生息するジャコウジカの雄にある香嚢(のう)から取れます。
2.
アンバーグリス(龍涎香:りゅうぜんこう)  
 マッコウクジラの腸内からとれる蝋(ろう)状の分泌物です。
3.
シベット(霊猫香)  
 霊猫(ジャコウネコ)の生殖腺から取る香料です。  
 クレオパトラが使っていたことで有名です。現在の価格で1回で20万円分も使ったと  か。
4.
カストリュウム(海狸香)  
 ビーバーの生殖腺から取る香料です。

これらの香は単独では決していいにおいではないようです。植物性の香料に混ぜることによって、効果を発揮します。
この動物臭は人のフェロモンと似た構造をしています。
人間の場合、目が大きな働きをしており、フェロモンの役割は少なくなっているようですが、必ずしもゼロでは無いようです。
人のフェロモン(
男性:アンドロステノール女性:アンドロステロン)は腋の下や生殖腺のまわりのアポクリン腺から出ています。
そして、感じるのは鼻の中に有る、
鋤鼻(じょび)器官です。
ただし、脳への伝達経路はいまもって不明だそうです。

カールセーガンはその著「はるかな記憶」の中で、男女が並んで立った場合、女性の鼻の位置が男性の脇の下の位置に来るのは、このフェロモンと関係あるのかもしれないと推測しています。

ところで、世界三大珍味の一つに
トリュフと言うキノコがあります。
土の中に出来るキノコです。 このキノコ探しに雌豚を使うのは有名ですね。(犬も多く使われているようです)
トリュフには、雄豚の唾液に含まれるアンドロステノールを豚の唾液より高濃度に含んでいるのです。ですから、雌豚は雄を求めてトリュフにたどり着くというわけです。
ところで、もう気づきました? そう、人間の男性のフェロモンと同じなんですね。

香水「ミツコ(MITSOUKO)」1919年発売
1909年フランスのゴンクール賞受賞作家、クロード・ファレール(1867-1957)が「ラ・バタイユ(戦闘)」と言う本を出版しました。
この本に登場する日本軍人の妻の名がミツコです。
この本は後に早川雪洲(せっしゅう)、青木鶴子主演で映画化されました。
この映画を見たジャック・ゲランが、このミツコと言う名が大変気に入って香水の名前としたのが由来です。

この小説のミツコは、
クーデンホーフ・ミツコ(旧姓青山)から構想を得たと言われます。彼女は、伯爵夫人としてウィーン社交界で活躍しました。
ミツコはオーストリア・ハンガリー帝国駐日代理公使、ハインリッヒ・クーデンホーフ・カレルギー伯爵に見初められて結婚し7人の子供をもうけます。
そして、次男
リヒャルトは欧州統合の源流的な思想「パン・ヨーロッパ」運動の生みの親として知られています。現在の欧州連合(European Union)の原点です。

■言葉
★Perfume(香水)
ラテン語のPer(〜を通して)とFumum(煙)から来ていて、煙を通して(through smoke)という意味です。
香水のルーツが香りの良い草木を燃やして、その煙の中から漂ってくるいい香りをさしていることを示しています。
ちなみに、英語で香水をつけることは、wear perfume と表現します。

★マスカット
英語で
麝香はmusk(マスク)です。 葡萄のmuscat(マスカット)やmuskmelon(マスクメロン)は、この麝香の香から来ています。
なお、香のマスキング効果などのマスクはmaskの方で別の単語です。
風邪の時のマスクなど、覆うという意味の方ですね。

★鼻持ちならない
「鼻持ち」とは臭気を耐え忍ぶと言う意味で、「鼻持ちならない」とは臭気がひどくて我慢できないことでした。
現在では、がまんできないほど嫌味であると言うような意味に使われています。

★香具師(やし)
難しい言葉ですね。野師とも書いて、祭礼または縁日などで、見せ物や品物を売る人のことですね。的屋(てきや)とも言います。
さて、香具師と書く由来ですが、香具師とはもともとは薬師(やくし)から来ていると言います。薬や香具を売るのに居合抜きや独楽(こま)回しなどをやっていたのがしだいに露天商となったといいます。
香具とは沈香(じんこう)や麝香など、薫物(たきもの)や匂物(においもの)に使う材料やそれを焚くのに使う道具を言います。
香具師が現在でも
神農(じんのう)と言う中国の薬の神様を祭っているのはこういう由来によるものだそうです。

★香(こう)の物
香とは女房詞(ことば)で
味噌のことです。
香の物とは、もともと味噌漬だけを香の物と言ったようです。
のちには糠、塩、粕などに漬けた野菜類をいうようになり、特に大根漬やたくあんを指すようになりました。

目次へ


和紙